どうなってるの?

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《目次》
いまも続く 「慰安婦」誤報の弊害
排除された安倍首相…日本抜きで進む北朝鮮和平シナリオ
動かぬ証拠にも「悪くない」 安倍首相のオツムは大丈夫か
真偽を検証 柳瀬氏答弁「アポがあれば誰とでも」は大ウソ
麻生財務相の珍妙なギャングスタイルこそ現在の日本の姿
北との対話に尻込み 拉致問題から逃げる安倍首相の二枚舌
頭越しに先越され 米国に「拉致」を泣きつく情けない首相
愛媛文書は決定的証拠
悪貨が良貨を駆逐…“忖度競争”の元凶は安倍首相の異常性
麻生妄言でまた墓穴 反省ゼロ政権に森友疑獄の無間地獄
国民愚弄の錯乱集団 “口先批判”だけで首相をかばう自民党
森友自殺者もどこ吹く風 昭恵夫人の変わらぬ脳天気ライフ
民主主義も官僚機構も すべてを破壊したアベ政治の大罪
言論の府は完全崩壊 新聞が書かないデタラメ国会の惨状
(必読)NHKが知る権利に応えているのか 受信料義務化判決の仰天
庶民の年金はカットして…自民党「議員年金」復活を画策
賃金を犠牲にして空前の企業利益 好況大報道のドッチラケ
物価上昇率またも下方修正 黒田日銀“緩和継続”の支離滅裂
報酬は8年で2億円 「商工中金」天下り役人たちのデタラメ
森友6億円値引きでも逮捕者なし 悪党がのさばる無法国家
安倍政権存続こそ国難だ 野党は悪魔とでも組む覚悟が必要
国民感情を逆撫で 日本を壊した4首相のバカ笑い別荘写真
大谷昭宏氏「バカが権力を握っている」と報ずるべきだ
(必読)中国人の邦人虐殺、通州事件を学べ
都政を食い物にした石原慎太郎氏 都知事時代の“黒歴史”
「日本人は教養不足」「習近平を見習え」鳩山由紀夫訪韓妄言録
これが本当の「土下座外交」
「新・東京裁判」再読(阿川弘之)
原爆投下「しょうがない」久間発言
「従軍慰安婦」を米誌に‘広報した’安倍政権広報マン


いまも続く 「慰安婦」誤報の弊害
[Tursday,May22,2018]

慰安婦問題の記事を撤回しても英語版では誤った情報を発信し続け、反省の色がない
■いまだに「性奴隷」が流布
私は、朝日新聞の慰安婦記事が、現在の歴史問題の原因になったと考えています。2014年8月、朝日 新聞は慰安婦に関する「世紀の誤 報」を認めました。そのため、日本 国内で「慰安婦=性奴隷」と考えているのは、今や一部の左派勢力だけだと思います。 しかし、韓国は相変わらず、慰安婦問題で日本を貶めようとしています。そして世界でも、まだこの嘘を信じている人は多いのです。朝日新聞は記事の撤回をしましたが、じつは世界にその事実は届いていません。それどころか、朝日新聞デ ジタル英語版では、いまだに記事の内容とは無関係に、慰安婦とは何かを定義?する表現として、下記のような文言が必ず挿入されています。
「Comfort Women who were forced to provide sex to Japanese soldiers before and during warU(第二次大戦前および大戦中に、日本兵に性行為を強制された慰安婦)」
これを英語のネイティブスピーカーが読めば、「軍隊による物理的な強制連行で性行為を強いられた」と理解するのは当然のことです。売春?という言葉がないため、対価を払われずに性奴隷のような扱いを受けたという印象を与えるのです。
こうした表現の使用は、朝日新聞が撤回した事実と真っ向から矛盾する行為で、むしろ世界中に慰安婦 強制連行・性奴隷説」を積極的に流布していると見られても仕方ありません。
まこの問題について、カリフォ ルニア州弁護士のケント・ギルバート氏や山岡鉄秀氏(AICN代表) が呼びかけ人となって、朝日新聞の印象操作の中止を求める署名運動を行うとともに、朝日新聞に対して、そうした表現を使用しないこと、吉田清治証言が虚偽であり記事を撤回した事実を改めて英文で告知すること、などを申し入れています。
この事実からも明らかなように、朝日新聞は、いくら日本語で記事の撤回をしても、まったく反省しているように見えません。世界に与える影響についても無頓着過ぎます。
はっきりさせておきたいのですが、私はこれまで、慰安婦の存在を否定したことはありません。しかし日本を糾弾している勢力が唱える「20万人の女性を強制連行して性奴隷にした」という主張には嘘がある、と言っているのです。「20万人」が戦中の勤労奉仕団体である「女子挺身隊」と混同した数だということ、日本軍による強制連行が行われた証拠がないこと、慰安婦たちが高額な給料を貰っていたこと、などが明らかになったにも拘らず、いまだに嘘がまかり通っていることを問題視しているのです。 私は2015年7月に、スイス・ジュネーブの国運欧州本部を訪れたのを皮切りに、合計6回国連に足を 運び、「国連女子差別撤廃委員会」などでスピーチを行い、慰安婦の強制性を否定してきました。現地では驚いたことに、日本が「性奴隷国家」であったかのように訴える「反日」日本人の姿がありました。つま 国連でそのような嘘を広めたのは、韓国人でも中国人でもありません、日本人が広めていたのです。
国運では、非政府組織(NGO)の意見が尊重されます。人権派の弁護士が率いる「日本弁護士連合会」
(日弁連)、部落解放同盟系の「反差 別国際運動」(IMADR)、共産党系の「新日本婦人の会」など、いわゆる左派系NGOのメンバーが、国連で人権関連の委員会が開かれるた びに出席し、委員に直接陳述するなどのロビー活動を続けてきました。
一方国連の委員たちは、日本の状況をよく知りません。すると必然的に日本の左派系団体の情報や意見に取り込まれてしまい、その一方的な見方をもとに、反対意見を聞く機会もないまま、最終見解(勧告)という形で、日本政府に要求を突きつけます。慰安婦問題とはつまり、国内の反日勢力によって捏造された問題とも言えるのです。
ならば歪曲された情報ではなく、正しい情報を発信しなくてはならないと考え、「女子差別撤廃委員会」でスピーチすることにしたのです。保守系として最初の訴えです。
スピーチの内容は、朝日新聞の誤った報道と、それによって海外に広まった情報に焦点を絞りました。与えられた時間はたった2分。要約すると次のようなことです。「慰安婦問題の論点は、日本の軍隊が女性たちを強制的に慰安所に連行したかどうかにある。だが女性たちを駆り出して運行したという話は、吉田清治という作家のでっち上げが基となっている。日本の有力紙である朝日新聞は、彼のつくり話を歴史的な証拠として、32年間の長さに亘り、国際的に日本の名誉を貶める報道を続けた。2014年8月、同紙は吉田清治の証言が全くの虚偽であったことを認めた。しかし世界ではまだ、日本は女性を性奴隷とした国であると思われており、ナチスのホロコーストに匹轍する重大な犯罪だと喧伝されている。これが全く事実無根であることを大きな声で断言したい」
すると委員から、「それが事実でないという意見は初めて聞いた。本当なのか?」と質問が出され、後日 「質問書」という形で日本政府に正式な見解を求めてきたのです。
■外務省の答弁
翌年の2月、その「質問書」に対して日本政府からの回答がなされる 「女子差別撤廃委員会」の対日審査が、国連欧州本部で行われました。政府が韓国の財団に10億円の拠出を約束した「日韓合意」がなされた、 約2ケ月後のことです。 これまで政府や外務省は、世界に向けて「慰安婦強制連行は確認されていない」という反論を行ってきませんでした。その場しのぎの謝罪で切り抜けて来ただけです。「日韓合意」もその延長線上にあります。そのため「慰安婦=性奴隷」の嘘が国際社会に拡散され、世界中で慰安婦像が設置されることになったといっても過言ではありません。 国連の「質問書」に対する政府の「報告書」には、「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる『強制連行』は確認できなかった」とだけ書いてありました。正直物足りなく感じたのですが、あるオ ーストリアの女性委員から質問があり、それに対する政府代表団長の杉山晋輔外務審議官(当時)の答弁に、私は驚きました。それが日本の真実を踏まえたもので、朝日新聞の誤報について堂々と述べたものだったからです。
杉山審議官は、強制連行や20万人という数字は完全な間違いで、性奴隷という表現も事実に反すると指摘し、「この本(吉田清治著『私の戦争犯罪』)の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞により事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず、国際社会にも大きな影響を与えた。しかし当該書物の内容は、後に複数の研究者により完全に想像の産物であったことが既に証明されている」と述べたのです。
現地でこの発言を聞きながら、私は心強く思ったものの、同時に外務省は自分たちの責任を上手く朝日新聞に押し付けたな、という印象も持ちました。慰安婦問題が世界で誤解されることになったのは、朝日新聞の慰安婦記事が原因ですが、世界に出回った嘘の話を正そうとしなかった外務省の責任も大きいからです。ちなみに、責任を押し付けられた 朝日新聞は、翌日の紙面で自社が名指しされたことには一切触れず、その一方で、朝日新聞東京本社報道局が外務省に対して「根拠を示さない発言」として遺憾であると文書で申し入れをしています。朝日の体質は変わりません。
結局、対日審査での政府の口頭での発言は委員会の「最終見解」に反映されず、2016年3月、従来と 同様に慰安婦への金銭賠償や公式謝罪を含む「完全かつ効果的な賠償」を行うようにという勧告を出してきました。今さらながら、左派系NGOの情報発信に比べて、いかに保守系がその努力を怠ってきたのかを思い知らされました。 同時に「日韓合意」の不合理さも改めて認識しました。私は、日韓合意はアメリカの意向が反映されたものだと考えています。世界の脅威となった中国と対時するために、日米韓が足並みを揃える必要があるからです。ですが、元慰安婦への謝罪や賠償を前提とした「日韓合意」を踏まえると、「強制運行」や「性奴隷」 が事実でないことを強く主張できなくなります。この矛盾が、日本政府や外務省を弱腰対応に駆り立て、結果的に「日韓合意」後も、次々と慰安婦像が世界に設置される状況をつくりだしているのです。
■朝日新聞への訴訟
朝日新聞に対しては、これまで慰安婦報道をめぐって3つのグループが集団訴訟を起こしてきました。ひとつは「朝日新聞を糾す国民会議」 が2015年1月に提訴したもので、原告団には2万5000人が名を連ね、私も原告として参加しました。 私たちは、「朝日新聞の誤報により日本国民としての名誉を傷つけられた」と主張し、海外在住で反日運動に直面した日本人の陳述書なども証拠として提出しました。しかし裁判所は、「朝日新聞の慰安婦報道が誤報だった場合、旧日本軍や日本政府の名誉を低下させるとしでも、原告ら特定の個人の名誉を傷つけたとは言えない」として訴えを退けました。もともと特定の個人を対象としない名誉毀損は難しいのですが、虚偽の報道が国民全体に与える実害が認められなかったことは、非常に残念に思っています。このほか、同年2月には「朝日新聞を正す会」が「読者らの真実を知る権利を侵害した」と訴え、慰安婦像を設置された米カリフォルニア州グレンテール市近郊に住む日本人らが「朝日新聞の報道で日本人の社会的地位が低下し損害を被っている」として、朝日新聞に損害賠償などを求める訴訟を起こしましたが、残念ながらいずれも敗訴しています。 要するに、朝日新聞の慰安婦報道が国際的に影響を及ぼしたと認めるには十分ではない、というのが裁判所の判断なのですが、私は国連の現場でのやり取りなどを通じて、やはり朝日新聞の慰安婦報道は、国際的 に十分に大きな影響力があったと感じています。
朝日新聞の体質はまったく変わっていないな、と思わせる記事が最近もありました。2018年2月15日 の社説です。タイトルは高校指導要領 木に竹を接ぐおかしさ」というもので、2022年度から実施さ れる高校の学習指導要領の改訂案にいて否定的な見解を述べているのですが、そこに次のような一節があったのです。
〈領土問題に関する書きぶりを見ても、たとえば「尖閣諸島は我が国の固有の領土であり、領土問題は存在しないことも扱うこと」などとなっている。政府見解を知識として生徒に伝えることは大切だ。だが「これを正解として教え込め」という趣旨なら賛成できない)
私はそれを読んで、呆れてしまいました。尖閣諸島が我が国の固有の領土であることは歴史的な事実で、政府見解というわけではありません。 しかも社説の冒頭には、「こと愛国心や領土問題となると政府の立場を強く押し出す」とあります。いった い領土問題に関する記述のどこが、政府の立場を強く押し出しているのでしょうか? ただ高校生に事実を教えようとしているだけです。 この朝日新聞の社説について、私は先日の2月26日の衆議院予算委員会分科会で、「朝日新聞の社説は明らかにおかしいと思う。文部科学省は朝日新聞に抗議を行ったのか?」という質問をしました。これに対する同省の高橋道和初等中等教育局長の答弁は、「文部科学省として抗議は行っていないが、我が国の将来を担う高校生が、自国の領土について、 わが国が正当に主張している立場を正しく理解することは、主権国家における公教育においては当然のことであると考えている」というものでした。もちろん政府も、尖閣諸島が固有の領土であることは歴史的な事実だと認めているのです。
■悪しき人権主義
なぜ朝日新聞は、このような体質なのでしょうか。メディアが反権力の姿勢を持つことはべつに悪いことではありません。ただし事実を検証もせず記事にすることは、反権力とは違います。私が思うに、体質の根本にあるのは「悪しき人権主義」だと思います。 繰り返しますが、慰安婦問題に火がついたのは、吉田清治という人物が創り出したフィクションがきっかけです。それを事実として取り上げたのが朝日新聞です。もし朝日新聞が真実を追求する新聞であったなら、まずは調査を行うべきです。それを 怠ったのは、「日本人は朝鮮半島で悪いことをしてきた」という思い込みと、「それを国民に教えてやるのが我々インテリ大新聞の役割だ」という驕りがあったからだと思います。 多くの反証があったにも拘らず、朝日新聞は2014年まで検証することを怠ってきました。事実を追求しようという真撃な態度がなかった証拠です。そして今なお、冒頭の英文版記事の問題で指摘したように、真撃な反省があるようには見えないのです。
私は昨年10月に衆議院議員に返り咲いたため、国連での活動に参加できなくなりましたが、慰安婦問題はライフワークであり、今後も世界に向けて正しい情報を発信し続けてゆくつもりです。活動をしていく中で、卑劣な脅しもありますが(2018 年2月、ツイッターに「議員を辞めなければ家族に危害を加える」という内容の投稿があり、警視庁赤坂署が脅迫などの容疑を視野に捜査を開始)、国益を損ねる反日プロパガンダに対しては、毅然とした態度で闘っていこうと決意しています。

【新潮452018年4月号】

杉田水脈 ◎衆議院議員
1967年兵庫県生まれ。大学卒業後、住宅メーカーを経て、西宮市市役所勤務。2012年衆議院選初当選。17年には 自民党公認で比例区より出馬、当選する。 著書に『なぜ私は左翼と戦うのか』等。

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排除された安倍首相…日本抜きで進む北朝鮮和平シナリオ
[Tursday,May17,2018]

まさに泣きっ面に蜂だ。急転する北朝鮮情勢をめぐり、蚊帳の外批判にイライラを募らせる安倍首相は自ら外交無策をさらし、恥の上塗り。一方、強気の北朝鮮は拉致問題について朝鮮中央通信の論評を通じ、「解決済み」と再宣言。23〜25日に予定される核実験場廃棄の公開取材では日本メディアを対象外とした。
 史上初の米朝首脳会談を控え、日本抜きの和平構想が着々と練られているともいう。もはや安倍政権は蚊帳の外どころか、排除されているのが実態だ。
■「北京ルートなどを通じて努力」の赤っ恥
 安倍首相が醜態をさらしたのは、11日に生出演した“親密メディア”フジテレビの「プライムニュースイブニング」だ。南北首脳会談で金正恩朝鮮労働党委員長が口にした「(拉致問題について)韓国や米国など周りばかりが言ってきているが、なぜ日本は直接言ってこないのか」という発言をめぐり、真偽を問われた安倍首相は虚を突かれたのか目をキョロキョロ。
「あの〜、金正恩委員長に直接言わないのか、ということであると思います」とトンチンカンな釈明を始め、「われわれは北京ルートなどを通じてあらゆる努力をしています」とシドロモドロだった。
「北京ルート」は在中国日本大使館を通じた各国との接触を指しているのだが、これすらマトモに機能しているのか疑わしい。朝鮮半島情勢に詳しい東京新聞論説委員の五味洋治氏は、日刊ゲンダイのインタビュー(4月6日付)でこう指摘していた。
〈北朝鮮がミサイルを発射するたびに、「政府は北朝鮮に対し、北京の外交ルートを通じて厳重に抗議した」と報じられ、拳を振り上げて怒りを表明したかのようですが、実際は北朝鮮大使館にファクスを送っているだけなんです〉
■いまだに大使館ルートの周回遅れ
 改めて五味氏に聞くと、呆れた様子でこう話した。
「中国の習近平国家主席や韓国の文在寅大統領は金正恩委員長とすでに直接交渉し、6月12日にセットされた米朝首脳会談ではトランプ大統領も直談判に臨む。関係国が首脳外交を展開する中、安倍政権はいまだに大使館ルートで対話の糸口を探っているというのですから、周回遅れもいいところです。CIA(米中央情報局)が中心になって動く米国は、数年前から北朝鮮の交渉担当者と携帯電話で直接やりとりをしていたとも聞きます」
 一方、2度の平壌詣でで米朝会談をまとめたポンペオ国務長官は「北朝鮮が速やかに早期の非核化に向けて大胆な行動を取れば、北朝鮮の繁栄に協力する用意がある」と言及。制裁緩和を飛び越え、経済支援にまで踏み込んだ。どういう腹積もりなのか。
「北朝鮮が保有する核弾頭やICBM(大陸間弾道ミサイル)の一部を国外に搬出させ、北朝鮮が誠意を見せたとの理由で経済的なサポートを始める。これが米国が描く青写真だといいます。コトを急ぐのは、中朝関係の修復によって中国が北朝鮮への影響力を強めるのを懸念しているためで、対北支援に積極的な韓国はもちろん、爪はじき状態の日本も巻き込む算段です。兆円単位の戦後補償が見込める日本は、北朝鮮のヤル気を引き出す重要なファクターですから」(米韓外交関係者)
関係国が米国プランに沿って動きだせば、日本固有の案件である拉致問題の棚晒しは避けられない。拉致問題解決を米朝国交正常化の前提とする安倍政権にとって、悪夢のシナリオだ。
 安倍首相は6月8日からカナダで開かれるG7サミットでの日米首脳会談を模索し、米朝会談直後の再来日をトランプに要請しているようだが、トンデモない手土産を渡されること必至である。

【日刊ゲンダイ 2018年5月15日

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動かぬ証拠にも「悪くない」 安倍首相のオツムは大丈夫か
[Wednesday,May16,2018]

「こんなに国民に平然とウソをつく政権は過去にない」。さすがに自民党のベテラン議員からも驚きの声が漏れているという。
 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題。10日に衆参両院で行われた柳瀬唯夫元首相秘書官(現経産審議官)の参考人招致に続き、14日も予算委で加計問題などの集中審議が開かれたのだが、「記録」という物証に対して、曖昧な「記憶」でグダグダ反論する状態が続く限り、議論が噛み合うはずがない。もはや安倍政権では、どんなに時間を費やしても問題は解決しないだろう。
「ウソは他人を巻き込む。職員には信頼関係で結ばれている職場の仲間や家族がいることに思いをはせてほしい」
 柳瀬の参考人招致を受けて怒りの声を上げた愛媛県の中村時広知事。「相手は10人近くの大勢で、(愛媛県や今治市職員は)メインスピーカーではない随行者」「ほとんど話したのは元東大教授と加計学園事務局」「首相案件になるとは申し上げていない」――とした柳瀬発言はことごとく事実に反するとして猛反論。県職員が面会時に交換し、保管していた柳瀬の名刺を突き付けてウソを糾弾した。
中村知事が示した「動かぬ証拠」に柳瀬も素直に悔い改めて、事実関係を認めるかと思いきや違った。「配慮が足りず不快な思いをさせたのであればお詫び申し上げる」なんて言っていたのだ。配慮が足りないからお詫びする、じゃない。「ウソにウソを重ねて申し訳ありません」だろう。言葉の使い方が間違っているし、しょせん、お詫びは上っ面だけ。本気で謝罪する気はないのだ。
■モリカケ問題の虚偽答弁の背景に安倍政権
 ウソがばれても平気の平左。開き直る柳瀬の姿は「公僕」にはホド遠く、むしろ詐欺師に近いが、そうなった元凶はハッキリしている。安倍首相が国会で「加計学園の獣医学部新設計画を知ったのは今治市が国家戦略特区の事業者に決定した2017年1月20日」と答弁したためで、その整合性を保つためのウソの連鎖によって国会が空転し続けているのだ。
「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」
加計問題と同様、学校法人「森友学園」の国有地払い下げをめぐる疑惑の国会審議が長引いているのも安倍の発言が原因だ。この答弁の整合性を図るために当時、財務省理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官は「森友と事前交渉はない」「売買契約を結んだ際の記録はすべて廃棄した」「記憶にない」を連発。
 ところが、その後、森友と近畿財務局職員とのやりとりを録音した音声データの存在が次々と明るみに出て、森友と財務省が事前に綿密な価格交渉を行っていた事実が判明。決裁文書の改ざんまで発覚して佐川は長官辞任に追い込まれたが、さらに、ここにきて財務省と森友の面会・交渉記録が500ページ近く見つかったというからアングリだ。
 文書には安倍の妻・昭恵氏も複数箇所で登場するらしいが、ともかく「記録はすべて廃棄した」という昨年の佐川答弁は一体何だったのか。こんなメチャクチャな答弁が許されるのであれば国会運営は成り立たない。「国権の最高機関」とは言えないだろう。九大名誉教授の斎藤文男氏(憲法、行政法)はこう言う。
「モリカケ問題で行政官僚がウソにウソを重ねたのは大きな問題ですが、重要なのは、なぜ、そうする必要があったのかということ。それは政権の意向、それもよりによって総理大臣自らが行政に介入し、ねじ曲げた可能性があったからです。虚偽答弁の背景には安倍政権の存在があるのです」
■狂乱政権は一刻も早く退陣に追い込むしかない
「柳瀬さんは記憶を呼び起こしながら誠実に答えていた」
「(加計学園関係者と面談した報告がなかったことは)全然問題ない」
「これまで獣医学部の申請がされなかったことは、はっきり言って『行政が歪められていた』と思う」
 11日夕方のフジテレビのニュース番組に緊急生出演した安倍はこう主張していたが、本気で言っているのであればオツムがイカれているとしか思えない。誰と面会し、何を話したのかというキモの部分は曖昧なのに、なぜか安倍絡みの部分だけはキッパリと否定する。まだらボケのような柳瀬の答弁のどこが誠実なのか。
 そもそも、上司である首相に公務員秘書官が何の報告、連絡、相談もなく、好き勝手に動き回っていたのであれば国家としての体をなしていない。いわんや、「行政が歪められていたと思う」なんて何を論拠に言っているのか。「膿を出し切る」「丁寧に説明する」と言うばかりで何もせず、「証拠」が出てきても屁理屈をこね上げて「俺は悪くない」と知らん顔。「行政を歪めている」張本人のクセによく言えたもので、蛙のツラに水とはこのことだ。
■腐ったリンゴの周りは腐ったリンゴばかり
 批判に対して最初は「そういう事実はない」「証拠を出せ」と言い、証拠や証言などがワンサカ出てくると、今度は「何が悪いんだ」と開き直って正当化する――。腐ったリンゴは傍らのリンゴを腐らせる、じゃないが、今や安倍の周辺は皆、同じパラノイア(偏執狂)的な思考に陥っているとしか思えない。
 柳瀬答弁についても、自民党の竹下亘総務会長は「何か『えっ』という話はどこにもなかった」と平然とシラを切り、森山裕国対委員長も「一定の区切りがついた」などと発言。安倍チルドレンの議員からは「記憶に基づいて話しているから食い違いが出るのは当たり前だ」の大合唱だ。
 公明党の山口那津男代表も党参院議員総会で「(加計獣医学部は)すでに開学をして学生が学び始めている。これらについてどういう意味があるのか。どんな国政上の意味があるのか」とあいさつしたらしいが、この理屈は、どんなにデタラメな政策でもいったん成立したら国民は黙っていろ、という暴論に等しいだろう。
福田淳一前財務次官のセクハラ問題で、「(女性記者に)はめられた可能性は否定できない」と言っている麻生太郎財務相も支離滅裂。安倍政権は重要政策に「女性活躍」を掲げていたはずだが、「セクハラ罪はない」と言い放って二次被害を助長するような発言を繰り返している男が首相に次ぐナンバー2で「女性活躍」を叫んでいるなんて、世界の笑いものだろう。
 安倍の言い分をタレ流したフジをはじめ、一部の御用メディアは「いつまでモリカケ問題をやっているのか」と報じているが、モリカケ問題の本質は、お友達を優遇して政治を私物化し、懲役24年、罰金18億円の実刑判決を受けた韓国の朴槿恵前大統領と同じ。それなのに「安倍サイコー」と提灯報道するから安倍が調子に乗るのだ。政治評論家の森田実氏はこう言う。
「安倍政権は今、モリカケ問題で数々のウソがバレて追い込まれ、つじつま合わせのウソ八百を並べて逃げようとしている。ピンチを脱するために必死にあがいていて気づいていないのでしょうが、はたから見れば狂気の沙汰としか見えません」
精神科医の和田秀樹氏はラジオ番組で、「安倍首相は一般家庭ではなく政治家の家庭に生まれたので、子どものころから『ウソをついてもかまわない』という教育を受けていたのだと思います。とにかく、その場をごまかせればいいという感覚を持っているのではないかと疑います」と指摘していた。この通りであれば、集中審議の前に精神鑑定が必要だろう。狂乱政権は一刻も早く退陣に追い込むしかない。

【日刊ゲンダイ 2018年5月14日

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真偽を検証 柳瀬氏答弁「アポがあれば誰とでも」は大ウソ
[Sunday,May13,2018]

「時間の都合がつく限り、どなたであってもアポイントがあればお会いした」
 柳瀬唯夫元首相秘書官(現・経済産業審議官)に対する10日の参考人招致で、野党議員が一斉に「えーっ」と仰天の声を上げたのが、この答弁だった。
 首相秘書官という重責を担う国家公務員が、アポがあれば誰とでも官邸で面会し、話の中身はメモに取らず、首相にも報告しない。しかも記録も一切残さない――。スパイが大喜びする柳瀬氏のこの発言を確認するべく、日刊ゲンダイ本紙記者はさっそく、11日、官邸にアポの電話を入れた。面会を要望した相手は、柳瀬氏と同じ経産省出身で、国会審議中に質疑者にヤジを飛ばして厳重注意となった佐伯耕三首相秘書官だ。
 最初に電話対応した官邸の担当者は「折り返し連絡する」と返答して電話を切り、3時間ほどして佐伯秘書官付の職員から連絡が来たのだが、いきなり「プレスの方との面会は、取材であるか否かにかかわらず、全てお断りしています」とピシャリ。本紙記者が「取材ではない。柳瀬さんは誰とでも面会していたではないか」と食い下がったのだが、「秘書官は基本的に『裏方』の業務を担当しており、表で取材を受ける立場にありません」と門前払いだったからフザケている。
 柳瀬答弁は何から何まで全てウソだ。

【日刊ゲンダイ 2018年5月12日

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麻生財務相の珍妙なギャングスタイルこそ現在の日本の姿
[Friday,May4,2018]

北朝鮮が核実験と大陸間弾道ミサイル試射の中止を決めた。南北首脳会談やその後の米朝首脳会談を見据えて先手を打った形だが、この間の中朝首脳会談をはじめ、日本以外の関係諸国による粘り強い交渉の成果だったことは明らかだ。
 地球規模の歓迎ムードにあって、日本政府だけは不満タラタラ。アベ首相は一応、「しっかり注視していきたい」と述べるにとどめたが、河野太郎外相は、「国際社会の求める非核化のレベル、ミサイルの廃棄とは差がある」と、言わずもがなのイチャモンをつけていた。
 何のことはない。北朝鮮はもちろん、米中韓ロその他のいずれにも無視され、蚊帳の外に置かれた仕打ちに対する恨み節。だが、それは逆恨みというものだ。
 なぜって、世界のどこの誰が、ああまで下劣な集団を信用する? さすがのトランプ政権も、キャンキャン吠え立てるだけのスピッツ野郎が君臨できるような愚かな国には、米国の戦争を手伝わせる傭兵資源として以外の役割など与えられないと判断したのだろう。
森友、加計、セクハラ……と、山積するスキャンダルを批判する世論や野党に、当のアベ政権やその応援団は、「政治にはもっとやるべきことがある」云々の御託を並べてきた。バカ言っちゃいけない。一連の問題で問われているのは、政権の正統性であり、正当性だ。何によらず、国家社会のありように関わる営みについて、アベ政権が舵取りする資格があるのか、否か。
 ない。公文書を偽造させ、官僚の証人喚問では偽証までさせる。民主主義の全否定に手を貸す官僚機構も同罪で、ここまできたら、もはや政権の正統性どころか、彼らがいいように動かしている日本そのものが、国家の名にも値しなくなった。
 そのアベ政権は一方で、あろうことか他人様の子どもに手前勝手な“道徳”の学習を強要している。働き方を指図したがり、何と税金まで取り立ててくる。狂気の沙汰だ。
 繰り返す。アベ政権は害悪であり、日本の恥である。何ひとつ行う資格がない。彼らに許される行動があるとすれば、それは直ちに消え去ることのみである。
財務事務次官セクハラ事件のさなか、G20へと逃亡した際の麻生太郎副首相兼財務相は、例によって珍妙なギャングスタイルに身を包んでいた。家柄だけのボンボン爺さんのチョイ悪ぶりっ子ほどみっともないものはない。
 恥を知ろう。少しはまともな社会を築こう。あれが現在の日本の姿だ。

斎藤貴男ジャーナリスト

1958年生まれ早大商卒業、英国・バーミンガム大学大学院修了(国際学MA)。『日本工業新聞』入社後、『プレジデント』編集部、『週刊文春』の記者を経て独立。弱者の視点に立ち、権力者の横暴を徹底的に批判する著作を出し続けている。消費税の逆進性を指摘する著作も多数。「機会不平等」「安心のファシズム」「戦争のできる国へ 安倍政権の正体」「ちゃんとわかる消費税」など。

【日刊ゲンダイ 2018年4月25日

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北との対話に尻込み 拉致問題から逃げる安倍首相の二枚舌
[Tursday,May3,2018]

膠着状態の日朝関係が動きだす兆しが見えてきた。南北首脳会談で文在寅大統領から水を向けられた金正恩朝鮮労働党委員長が、「いつでも日本と対話を行う用意がある」と応じたというのだ。それで解せないのが、「拉致問題は安倍内閣の最重要課題」と言ってきた安倍首相の動きだ。金正恩の発言をとうに耳に入れておきながら言及せず、韓国大統領府が発表するまで頬かむりしていた。一体どういうつもりなのか。
 南北会談の翌日(28日)、安倍首相は文在寅から報告を受けたトランプ大統領と約30分間電話会談。その翌29日は文在寅とも約40分間電話会談し、来日した徐薫国家情報院長から80分間にわたって一連の説明を受けた。その都度、安倍首相はブラ下がり取材に応じたが、冴えない顔色で「詳細な説明を受けたが、詳細については差し控えたい」「詳細は現段階で申し上げられない」などと繰り返し、中東外遊に飛び立った。その後、韓国が「日本と対話の用意」という金正恩の意向をオープンにしたのがコトの経緯だ。
急展開する北朝鮮情勢の蚊帳の外に置かれ、慌てて日朝対話を探り始めたのは安倍政権の方だ。圧力一辺倒に業を煮やす北朝鮮はナシのつぶてだったが、ここにきて態度を一変させた。
 横田めぐみさんの母親の早紀江さんは「安倍首相も金正恩さんも同じように会談を望んでいるという、今までで一番明瞭で期待できる内容だ」と顔をほころばせている。普段は過剰なほど成果を誇示する安倍首相が、だんまりを決め込んだのはなぜなのか。
■拉致問題の進展を阻んでいるのは誰?
 元レバノン大使の天木直人氏は言う。
「安倍首相が金正恩委員長の反応を最初に知らされたのは、トランプ大統領との電話でしょう。トランプ大統領と文在寅大統領に拉致問題の提起を頼み込んでいたわけですから、満額回答と言っていい。それなのに自分の口から一切明かさず、喫緊の課題もない中東へ向かった。日朝首脳会談が実現すれば、拉致問題をめぐるウソがばれてしまうからではないか。まさに敵前逃亡ですよ。安倍政権はストックホルム合意に基づく再調査結果を正式には受け取っていませんが、内容は把握しているはずで、安倍首相にとって都合が悪いものだと伝えられている。安倍首相が〈全ての拉致被害者を取り戻す〉と言い続けているのはデタラメである可能性が高いのです」
 風向きが変わった途端、安倍首相周辺から「北朝鮮は日本から経済支援を引き出そうとして、拉致問題で態度を硬化させるんじゃないか」(外交筋)と日朝会談に慎重な観測が流れるのも不可思議だ。
 朝鮮半島情勢に詳しい国際ジャーナリストの太刀川正樹氏はこう言う。
「北朝鮮からすれば拉致問題は解決済み。日本がストックホルム合意による再調査報告書を受け取らないため、宙に浮いたという認識なのです。安倍首相は拉致被害者の象徴的な存在である横田めぐみさんの救出を訴えてきましたが、北朝鮮は死亡という従来結果を覆していない。このタイミングでそうした事実を突きつけられたら、3年以上もウソを重ねていたことが明らかになる。安倍首相は相当なジレンマに陥っているでしょう」
 生存が伝えられる被害者もその家族も高齢化が進む。拉致問題の進展を阻んでいるのは紛れもなく安倍首相本人だ。「拉致問題は安倍内閣で解決する」はやっぱり嘘八百なのだ。

【日刊ゲンダイ 2018年5月2日

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頭越しに先越され 米国に「拉致」を泣きつく情けない首相
[Tuesday,May1,2018]

安倍首相が先週、国会会期中だというのに、わざわざ米国を訪問。内政でつまずくたび、昭恵夫人と手をつないで外遊に出るのは恒例行事とはいえ、今回の首脳会談の目的はいただけない。
 歴史的な米朝首脳同士の初会談を控え、トランプ大統領に「拉致被害者を取り戻したい」とぜひ、金正恩委員長に伝えて欲しい――。そう願い出るため、安倍は国会そっちのけで、米国に向かったのだ。どうして、トランプ大統領に「拉致解決」を頼まなければいけないのか。これでは激動の東アジア外交で、日本だけが蚊帳の外に置かれていると自ら認めたようなものだ。
 安倍首相自らが北朝鮮に渡って、金正恩委員長と直談判すれば、事態は大きく動くはずだ。「拉致問題は安倍内閣の最重要課題」と大見えを切るなら、あらゆる外交ルートを模索して日朝首脳会談にこぎつけるのが、筋である。
小泉元首相が初訪朝し、拉致被害者5人を日本に連れ戻してから、もう16年も経つ。被害者家族の高齢化を考えれば、残された時間は少ない。小泉政権にできたことが、なぜ安倍政権にはできないのか。
 4月初めに米CIAのポンぺオ長官が極秘訪朝。金正恩委員長と直談判し、北にスパイ容疑で拘束された米国人3人の解放を取り付けたのとは、雲泥の差を感じる。そもそも、安倍首相が政権に返り咲いてから5年以上。この間、真剣に拉致問題の解決に取り組んでいれば、何らかの成果を挙げていても、おかしくはない。
 就任からまだ1年3カ月のトランプ大統領に先を越され、自分の頭越しに金正恩との会談を設定された揚げ句、拉致問題を取り上げて欲しいと泣きつくこと自体、非常に情けない話だ。
 トランプ大統領が拉致問題を持ちかけたところで、金正恩委員長に「その問題は解決済み」「約束を破ったのは日本だ」と主張されたら、当事国ではないトランプ大統領は返す言葉もなくなってしまう。
国内政治を見渡せば、公文書改ざん、セクハラと財務省絡みの不祥事ばかり。国民の税金を預かる「国家予算の番人」であるべき役所の足元がガタガタなのに、気にもかけずに安倍首相はお手々つないで夫婦そろって海外旅行とは、その神経を疑う。
 安倍首相は麻生財務相と「盟友」ならば、手をつなぐ相手を間違えている。成果ゼロの米国訪問よりも、麻生財務相と一緒に“最強官庁”を立て直し、官僚を本来の「公僕」の姿へと取り戻させるのが先決だ。むろん、この2人に期待するだけムダではある。

【日刊ゲンダイ 2018年4月27日

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愛媛文書は決定的証拠
[Wednesday,April18,2018]

加計学園問題に関する愛媛文書。愛媛県と今治市、加計学園幹部が二〇一五年四月に首相官邸で当時の首相秘書官・柳瀬唯夫氏らと面談し、県職員が備忘録として書き残した。
 <本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい>
 そんな書き出しであるから、立派な柳瀬氏の指導、助言、あるいは指示である。「国家戦略特区の方が勢いがある」とのご沙汰も。実際、この面会から二カ月後、県と市は国家戦略特区での獣医学部開設を内閣府に申請。提案書は助言に沿った内容ばかりである。
 ところが、柳瀬氏は「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方に会ったことはない」と述べる。記憶が飛んだか、うそか。同じ文書は農林水産省からも見つかった。しかも、愛媛側の来訪が官邸側から文部科学省に伝えられていたことが判明した。県庁職員が架空の話を書くはずもなく、実際に加計学園の計画は実現した。備忘録の真実性は高い。同時に証拠能力としても極めて高い。
 そこに書かれている重要なことはまだある。首相と加計学園理事長が会食したときに、既に獣医学部の新設が話題になっていたことだ。首相の国会答弁で学部開設を知ったのは「一七年一月二十日」と述べている。もはや愛媛文書は、これを覆す決定的な証拠ではないのか。 (桐山桂一)

【東京新聞 2018年4月16日

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悪貨が良貨を駆逐…“忖度競争”の元凶は安倍首相の異常性
[Sunday,April15,2018]

最近、安倍政権が内閣人事局をつくったから、官僚が官邸の意向を忖度するようになったという説が流布している。しかし、これは全くの間違いだ。
 もともと、官僚の人事権は大臣にある。また、内閣人事局ができる前から幹部人事については閣議決定事項で、総理の了解は必須だった。閣議の前には人事検討会議があり、そこでは官房長官と副長官たちが総理にも相談しながら、各省の幹部人事にダメ出しすることができた。つまり、総理は官僚人事にずっと前から介入できたのである。
 ただし、歴代総理は、人事権を抑制的に使ってきた。いわば、人事権という伝家の宝刀をさやの中に収めていたのだが、安倍総理は、これを抜き身のまま振り回し始めた。自分の権限を制約なく使えば何でもできる。彼には内閣人事局など不要なのだ。
 集団的自衛権を違憲だという法制局長官を合憲だという外務官僚に差し替えた人事。内閣の中の法の番人を時の権力者が好きなように動かすなどということは前代未聞。安倍総理の異常性を霞が関中に知れ渡らせた事件であるが、これは人事局創設前だった。
また、安倍政権が前川喜平文科省前次官の素行調査を行い、同氏退職後、その情報を使って読売御用新聞が前川氏の個人攻撃をした。何という恐ろしい政権だろうと官僚たちは怯えきった。
 また、組織としても、文科省が加計学園問題で安倍総理に協力的でなかったために、省全体の天下り問題にメスを入れられた。財務省はじめ他の省庁も天下りは大々的に行っているが、実質的におとがめなしだった。
 一方、某省の次官は、安倍総理になってやりたい放題だと言っているそうだ。役所によっては、安倍総理と対立する案件がなく、その場合は公共事業などが好きなだけできる。最もやりやすい総理なのだ。
 つまり、安倍総理は、やくざと同じだ。官僚としては、目が合わなければ平穏無事。目が合ったら、諦めて総理の言うことに従う。がんを付けられたら終わりだ。
官僚たちのこうした対応は最初は自己防衛目的だったが、常態化すると、官僚の側から、安倍総理に積極的にすり寄って出世しようという動きが出てくる。国民のためになるかは関係なく、安倍総理が喜ぶかどうかが、官僚の行動基準になり、まじめな官僚は出世できなくなる。悪貨が良貨を駆逐する忖度競争である。
 これを変えるためには内閣人事局をなくしてもダメだ。元凶である総理の首をすげ替える。それしか残された道はない。

【日刊ゲンダイ 2018年4月14日

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麻生妄言でまた墓穴 反省ゼロ政権に森友疑獄の無間地獄
[Monday,April2,2018]

国民の意識と乖離した麻生財務相の妄言にはア然だ。29日に参院の財政金融委員会で「森友の方がTPP11より重大だと考えているのが日本の新聞のレベル」と言い放った一件だが、30日も立憲民主党の枝野代表が、「自分の役所でとんでもない不祥事が起きたという当事者意識を全く欠いた暴言。国民のためにさっさと地位を引かれるべきだ」と辞任を求め、批判した。
 野党の怒りはその通りで、「訴追の恐れ」を連発して森友文書改ざんに関するほとんどの証言を拒否しながら、一方で「安倍夫妻の関与はない」と断じた佐川宣寿前国税庁長官の喚問によって、逆に国民は安倍夫妻に対する疑惑を深めている。森友問題や佐川証言をメディアが大きく取り上げるのは当然のことである。
 そのうえ、麻生の発言は間違いだらけ。TPP11はまだ締結されていないし、茂木経済再生相が往復した署名式の場所はペルーじゃなくてチリだ。新聞はどこもきちんと詳報していた。
30日の同委員会でこうした事実誤認について指摘されると、麻生は「森友と比較したのがよろしくないという点については反省する」とは言ったが、「TPPは1面トップになる記事だ」と減らず口を叩き、記者会見では「その程度の扱いなのかね」とネチネチ。揚げ句には「新聞を努めて読まないようにしているから詳しくないが」とまで言ってのけたのだ。
■森友記事を小さくさせるための圧力
「未曽有」を「みぞゆう」と誤読した漢字の読めない大臣だから、「低レベル」は今に始まった話ではないが、今回の一件はただの“おバカ”発言では片づけられない。森友文書の開示請求などでこの問題を追及してきた神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。
「麻生大臣の発言の問題点は2つある。TPP11の開催場所を間違えたり、締結済みと事実に反することを言っているのは、現実が分かっていないということで、それだけでも大臣失格です。もうひとつは、あの発言がマスコミに対する事実上の圧力なのではないかということ。こちらの方が重大です。麻生大臣が本当に新聞も見ずに発言しているとは思えません。報道されているのを知った上で、森友問題の方がTPPより大きく扱われていることを批判している。つまり、森友問題の記事をできるだけ小さくさせるための発言なのでしょう。加計問題でもありましたよね。国会で参考人として立った元愛媛県知事の加戸氏の発言の扱いが小さいと、安倍首相が散々、マスコミに文句を言った。彼らの思考は、マスコミに有利な報道や少なくともマイナスにならない報道をさせて、自分たちに都合のいい世論を形成していくというもの。マスコミも世論もコントロールできると思っているのです」
■民主主義などくそくらえという独裁者の感覚
 そうなのだ。この期に及んでのオレ様気取り。安倍も麻生も自分たちが一番偉いと思って、ハナから野党やメディアをバカにしてきたのである。
 国会では民主党政権時代のことにまで遡って、野党の揚げ足取りをしたり、野党の追及をヘラヘラ笑って聞き捨てたり。森友問題では最初に国有地売却の不透明さを報じた朝日新聞を悪者にして、「裏を取らずに報道した」「朝日らしい惨めな言い訳」と異常なほどの猛攻撃。政権にケチをつけるメディアなんて要らないし、大本営発表をただ垂れ流すだけでいいと思っているのだろう。
 言論の自由や民主主義なんてくそくらえ、という独裁者の感覚だ。それが安倍政権の本質であり、トップがそうだから末端の安倍チルドレンまで同じ傲慢さが染み渡っている。
「だから、まっとうに説明責任を果たす内閣じゃないんですよ」と前出の上脇博之氏は言ったが、麻生の妄言で、国民は悪辣な欺瞞政権の正体をあらためて思い知ったことだろう。
「膿を出す」と言った安倍首相よ、自分こそが膿だ
「疑惑にフタ」の悪あがきが国民に見透かされているのだから、どんなに幕引きを図ろうと、森友問題は終わらない。
「なぜ財務官僚が犯罪に問われかねない決裁文書改ざんにまで手を染めたのか」という理由が明らかにならない限り、安倍政権は無間地獄だ。
 法律のプロは佐川喚問で隠れた落とし穴が見えたと言う。弁護士の大前治氏は「現代ビジネス」の寄稿で、〈なかったという「悪魔の証明」を自信満々にやって窮地に陥った〉と指摘している。不存在を証明する「悪魔の証明」では、全ての存在事実を調査し尽くさなければならないが、「官邸からの指示はなかった」と言い切った佐川氏は、その理由を「私に報告がなかった」からだとした。それでは全ての存在事実を調査し尽くしたことにならず、〈佐川証言は根底から信用できなくなってしまう〉というのだ。
 佐川証言の矛盾は歴然。そもそも安倍昭恵夫人付のノンキャリ職員が財務省の国有財産審理室長にファクスで問い合わせしている時点で、「関与はあった」と誰もが思っている。
上智大教授の中野晃一氏(政治学)はこう言う。
「納得している国民はひとりもいないでしょう。安倍首相は証人喚問前日、『膿を出し切る』と言いました。しかし、佐川氏の喚問では何も出てこなかった。膿は出し切っていないのです。それなのに『自分や夫人が関わっていなかったからよかった』と今は大威張り。どう考えてもおかしいですよね。麻生財務相が『佐川』と呼び捨てにして批判されましたが、その佐川氏も証人喚問で国有財産審理室長の田村氏のことを『田村』と呼び捨てにして、後から思い出したように『田村室長が』と言い直していました。責任を下へ下へと押し付ける。トップの安倍首相がそういう体質なので、政権全体に蔓延しているのでしょう。安倍首相の他人事のような『膿を出す』というセリフに対しては、多くが『おまえが膿だろ』と思っていますよ」
■独善首相だから外交「置き去り」に気づかない
そんなイカれた政権を官僚が忖度し、財界がベッタリ持ち上げるから、イイ気になって、安倍の盟友である甘利元経済再生担当相をして「今の外交課題に対応できるのは安倍首相しかいない」などとホザくのである。バカも休み休み言え、だ。北朝鮮情勢を巡って激動の世界で、気づけば、いまや日本が完全に「置き去り」なのは明らかだ。
 国際ジャーナリストの春名幹男氏が言う。
「『私は正しい』という安倍首相の独善的な性格が、外交でも災いしています。外交では国としての奥深さが必要なのに、米国一辺倒でトランプ大統領の話をうのみにしてしまった。その結果、北朝鮮問題で日本には情報が全く入らず、蚊帳の外に置かれてしまいました。4月17か18日とされる日米首脳会談も本当にやれるのかどうか。トランプ大統領が日本の首相と会っている余裕などあるのでしょうか」
 冒頭の麻生の、TPPと森友の記事を比較した発言は、自民党内で頻繁に聞かれる「国会が森友問題ばかりなので外交や内政が停滞する」という不満の表れでもあるのだろう。
 しかし、停滞させている張本人は誰だ。安倍や麻生の退陣こそがこの国を前に進めることになるのである。

【日刊ゲンダイ 2018年3月31日

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国民愚弄の錯乱集団 “口先批判”だけで首相をかばう自民党
[Friday,March16,2018]

世間を見くびるにもほどがある。森友学園への国有地売却をめぐり、財務省が決裁文書14件、およそ300カ所に上る改ざんに手を染めていた問題で、安倍政権の面々は愚にもつかない猿芝居を続けている。世論が求めているのは、言うまでもなく真相究明だ。誰がなぜ決裁文書を改ざんしたのか。そうする必要に迫られたのか、である。
 にもかかわらず、夫婦ともども疑惑のド真ん中にいる安倍首相は「全容を解明するために責任を果たしてもらいたい」とシレッと麻生財務相に転嫁。財務省トップの麻生は口を開けば「佐川が」「佐川が」を繰り返し、電撃辞任して表舞台から消えた前理財局長の佐川宣寿前国税庁長官ひとりにおっかぶせようとしている。
 改ざん時期や内容を知れば、誰が見ても安倍、麻生、佐川はグルではないか。安倍が国会で「私や妻が関係していたことになれば首相も国会議員も辞める」と答弁したのが昨年2月17日。改ざんが進んだのはこの時期だ。一連の土地取引の入り口ともいえる「特例承認の決裁文書」からは昭恵夫人の動向、カルト的右翼集団「日本会議」と安倍や麻生の関係を言及した箇所が削り落とされた。
こうした事実が公表される前から内閣支持率の急落が始まっている。
 産経新聞が先週末に実施した世論調査では支持率が2月調査と比べて6・0ポイント下がり、45・0%に落ち込んだ。同時期の読売新聞も2月調査から6ポイント下げて48%に下落した。「改ざん」とは書かず、「書き換え」と報じる安倍寄りマスコミの調査でこの数字。この先のつるべ落としは必至だ。
■国会調査委の設置は必須
 それなのに自民党内では倒閣運動も起こらない。
 機を見るに敏な小泉進次郎筆頭副幹事長が「なんで書き換えたのか。それを知りたいと思うのは当然。何が真実か」などと連日、政権のやり方を批判。13日の総務会では村上誠一郎元行革相が「来年度予算、予算関連法案という問題があるわけだから、そろそろ大所高所の判断をすべき時期に来ているのではないか」と内閣総辞職を促し、野田毅元自治相も「財務省の内部で決裁できることではない。国民も分かっている。キチンと対応しないと大変なことになる」と続いた。
もっとも、この2人は「反アベノミクス勉強会」を立ち上げたアベ批判の急先鋒だ。竹下亘総務会長は官邸に徹底的に真相解明するよう申し入れると息巻いたが、調査しているのは改ざんをはたらいた財務省自身。そのドンである麻生は大阪地検による捜査を引き合いに、詳細な調査結果の発表を先延ばしにしようとしている。“共犯者”によるお手盛り調査を容認する醜悪な“同じ穴のムジナ”たちの芝居がかった“口だけ批判”に過ぎない。
 元特捜検事の郷原信郎弁護士はこう言う。
「公文書改ざんで著しく信頼を失った財務省が自前で調査するなんてあり得ないし、調査結果を出したところで国民の信頼を得られるはずがないでしょう。詳細な事実解明には、独立した中立的立場の第三者による調査委員会の設置が不可欠です。当事者の財務省はタッチさせず、改ざんの“被害者”ともいえる国会に『東京電力福島原子力発電所事故調査委員会』のような組織を早急に置き、調査態勢を構築すべきです。重要なのは大阪地検による捜査と、財務省に対する調査をゴッチャにしないこと。〈検察の捜査に協力する〉という理由で、十分な調査を行えない口実を与えてしまったら、真相はこの先もヤブの中でしょう」
 まだ安倍を庇う錯乱集団・自民党はどこまで国民を愚弄するのか。
■加速度的に全国に広がるアベ退陣要求デモ
 どれほど悪あがきをしようが、安倍政権のご臨終は既定路線だ。財務省が前代未聞の改ざんを公表して以降、市民の怒りは燃え盛る一方。安倍政権の退陣を求める抗議集会は加速度的に全国に広がり、参加者も膨れ上がっている。
 官邸前では連日、「公的文書を改ざんするな!」「佐川じゃなくて麻生が辞めろ!」「安倍は辞めろ! 安倍は辞めろ! 安倍は辞めろ!」というコールが響き渡る。立憲主義を無視した安保法の強行。仲間内で甘い汁を分け合う数々のアベ友疑惑への鬱積。公文書改ざんで民主主義の根幹も破壊した。正当性のない安倍政権による究極の国家私物化を考えれば当然だし、手ぬるいくらいだ。
 森友問題をめぐる国会議論が始まったのは昨年2月。“腹心の友”への便宜供与が疑われる加計学園問題も持ち上がり、追い込まれた安倍は通常国会を6月に閉じて逃げ出し、憲法53条に基づく野党の臨時国会召集要求を無視し続けた。ようやく応じた臨時国会は冒頭解散。600億円もの血税を投じた総選挙では、核・ミサイル開発を進める北朝鮮を「国難」と呼ぶ“モリカケ隠し”と野党分裂による敵失で勝利した。
その後の会計検査院による調査報告でも森友への国有地売却額の妥当性に疑義がついたが、検査院にも改ざん文書が提出されていたのである。デタラメの限りを尽くし、それがバレたら下へ下へと押し付けて、知らぬ存ぜぬの頬かむりが許されるはずがない。
■フェーズは変わった
 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「官邸は時間が経てば沈静化するとみているようですが、これまでとはフェーズが変わりました。この国の民主主義をブチ壊した安倍政権に対する憤怒は燎原の火のように広がり、安倍首相を何としても引きずり降ろすという空気が日本中を覆いつつある。週末に向けてボルテージはどんどん上がっていく。官邸や自民党が手をこまねいている間に、反原発運動や安保法反対デモをしのぐ規模に拡大するかもしれません」
 安倍退陣で済むと思ったら大間違いだ。自民党はこの期に及んでも、世論と野党が求める昭恵夫人と佐川氏の証人喚問を拒否し続けている。公明党の山口代表は佐川氏の国会招致について「必要性があれば来ていただく決定も考えられる」と含みを持たせ始めたが、語るに落ちる。「自民党も下野が筋、公明党も一蓮托生」という国民の怒りも凄まじい勢いで広がっている。安倍1強に怯えて口をつぐみ、悪辣に目をつむってきた代償は大きい。

【日刊ゲンダイ 2018年3月14日

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森友自殺者もどこ吹く風 昭恵夫人の変わらぬ脳天気ライフ
[Tuesday,March13,2018

急転直下の展開の連続で、いよいよ安倍政権を窮地に追い込んだ森友疑惑。ところが、政権を揺るがす疑惑の“震源地”でありながら、どこ吹く風なのが安倍首相の妻・昭恵夫人だ。
 朝日新聞が財務省の「決裁文書改ざん疑惑」をスッパ抜いた今月2日以降の夫人のフェイスブックの投稿をみると、反省の色なし。オツムの中はお花畑のような「浮かれっぷり」がヒシヒシと伝わってくる。
 スクープ当日の2日は<能舞台においてアジアのファッションショー。モデルの皆さんが全員足袋を履いているのが印象的でした>などと投稿。昭恵夫人の友人のフェイスブックによると、4日は高級なもので1粒1000円もする「ミガキイチゴ」を堪能していた。「そだねージャパン」のもぐもぐタイムじゃあるまいし、とても国会を騒がせている張本人とは思えない。
 7日は映画観賞を報告。<保護司の仕事、非行に走る少年少女たちを取り巻く環境や思い…多くのことを学び、感じる映画です>と書いたが、まず自分の「非行」に思いを馳せるのが先だろう。近畿財務局の森友担当職員の自殺が判明した9日は、<3月8日は国際女性デー。HAPPY WOMANのイベントに参加しました>などとシレッと投稿していた。
■安倍首相は谷村新司夫妻と会食
 8日昼に安倍首相は官邸に近いホテル内のレストランで、歌手の谷村新司夫妻と会食したが、なぜか昭恵夫人は欠席。この時期に芸能人とランチを堪能する安倍首相もイカれているが、昭恵夫人も相手夫婦がそろっていたのに、失礼だと思わなかったのか。マトモな大人なら持ち合わせている常識が欠落しているに違いない。
 さらに、2014年3月に投稿された森友学園の籠池夫妻とのスリーショット写真を、いまだフェイスブックに公開したままなのも謎だ。森友疑惑を巡って自殺者まで出たのに、今年2月に訪問先で語ったように依然として、「私が真実を知りたいと本当に思う」「何も関わっていない」という認識ならば神経を疑う。
 来週17日にも昭恵夫人は愛知県東海市で「対談会」を予定している。こんな“能天気ライフ”は卒業して、いい加減、国民に真実を語ったらどうか。

【日刊ゲンダイ 2018年3月11日

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民主主義も官僚機構も すべてを破壊したアベ政治の大罪
[Thursday,March8,2018

もはや「問題」なんて生易しい言葉じゃ収まらなくなってきた。森友問題をめぐる財務省の決裁文書改ざん疑惑。事実であれば、日本の憲政史に残る大事件に発展するのは間違いない。「記憶にない」「記録もない」「書類は廃棄した」とゴマカシ続けた揚げ句、国民の代表者である国会議員に辛うじて示された公文書が改ざんされていた疑いが極めて濃厚なのだ。
 これが許されるのであれば、法治国家じゃない。早くから森友問題の取材、報道を続けてきた「日本会議の研究」の著者・菅野完氏は本紙に〈決裁文書改ざんが事実だとすれば、敗戦直後にあらゆる役所が公文書を焼却した証拠隠滅と全く同じ。日本の近代官僚制度も議会制民主主義も完全に腐敗してしまったということ〉と言っていたが、国権の最高機関である国会をないがしろにしたのも同然で、まさに議会制民主主義の破壊につながる暴挙だろう。
「6日調査の方針、留意点などの調査の状況について報告させることになった」
 5日の参院予算委の集中審議で、決裁文書改ざん疑惑を追及された麻生財務相は相変わらずノラリクラリだったが、改ざんを正当化する屁理屈作りのための時間稼ぎだとすれば愚の骨頂だ。
 麻生はまた、大阪地検特捜部が捜査中であることを示唆しつつ「捜査が終わってきちんとして(から)でないと、個別の調査がなかなかしにくい」と言い、詳しい説明は捜査に影響を与えかねない――みたいな口ぶりだったが、バカも休み休み言ってほしい。
 国会質疑と刑事捜査は目的も手続きも全く違うし、刑事捜査中の案件について国会質疑を禁止する根拠法も存在しない。憲法63条は〈内閣総理大臣その他の国務大臣は、議院で答弁又は説明のため出席を求められたときは出席しなければならない〉とあり、過去の政府答弁では、国会法第74条に触れつつ〈(閣僚らは)誠実に答弁すべきもの〉とある。つまり、麻生は国会で誠実に答える義務があり、刑事告発をこれ幸いとばかりに利用して答弁拒否を続けるなんて言語道断なのだ。
■公文書改ざんは官僚の士気低下の表れ
 それにしても、超難関の国家公務員T種試験(総合職)を突破した財務官僚が公文書改ざんに手を染めていたとすれば驚愕だ。
 財務省では「資料をまとめる過程で多少削るなどした部分はあるが、改ざんには当たらない」との声が出ているらしいが、「多少削る」行為を改ざんというのだ。“キング・オブ霞が関”と呼ばれる財務官僚が、気でも狂ったのかと思ったら、財務省以外の省庁も今や凋落の一途だ。
 裁量労働制の適用拡大をめぐる厚労省のデータ捏造問題では、素人でも分かるインチキ数字が次々と見つかった上、厚労相が国会答弁で「ない」と否定していた調査原票が入った段ボール箱が30以上も発見される始末。加計学園の岡山理科大獣医学部の新設認可で迷走した文科省、南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣部隊の「日報」隠蔽が発覚した防衛省……。世界に冠たる存在だった日本の官僚機構の姿は見る影もない。元文科省審議官の寺脇研氏(京都造形芸術大教授)がこう言う。
「どの省庁でも、ふつうは係長、課長、局長の段階で政策立案にかかわる資料の不自然な点はすぐに見つかる。それが見過ごされているというのは現場の職員がいかに政権の意向で動いていて、士気低下が著しいのかということ。財務省の改ざん疑惑はそれが限界に来ている表れだと思います」 ■いったん決めたら、世論批判も国会審議も一切無視の安倍政権
「石が流れて木の葉が沈む」。優秀な官僚機構がならず者の非常識集団に様変わりした理由は分かっている。安倍政権が2014年5月に官邸直轄の内閣人事局を設置し、各省庁幹部の人事を握ったからだ。
 それまでは各省庁が責任とプライドを持って政策の中身を吟味してきた。しかし、安倍政権では「岩盤規制を崩す」「規制改革」の名の下、安倍と近しい“アベ友”で固められた官邸主導の有識者会議が政策の大枠を決めて閣議決定後に各省庁に丸投げ。官邸の“下請け機関”に成り下がった各省庁は、政策が過去の政府方針と相いれなくても、不備が見つかっても、見て見ぬフリをするか、厚労省のようにインチキデータで取り繕うしか選択肢はなくなった。
「おかしい」と正論を言おうものなら、官邸にキバをむいたと判断され、前川喜平前文科次官のようにマスコミに私生活までリークされてパージ(追放)だ。モリカケ問題では、安倍政権に対する霞が関官僚の「忖度」という言葉が話題を集めたが、ナチスさながらの異様な暴力政治、絶対服従の独裁手法がすべての元凶。改ざん疑惑で削除されていたのが「特例的な扱い」「価格の提示」など、安倍の関与をうかがわせる文言だったのが証左だ。そもそも、この5年を振り返ると、安倍政権が破壊したのは官僚機構だけじゃない。特定秘密保護法の強行成立から始まり、歴代の自民党政権ですら「憲法違反」としてきた集団的自衛権の行使容認を強引に閣議決定し、多くの憲法学者や国民の反対を押し切って戦争法を強行成立させた。南スーダンPKO派遣部隊への「駆け付け警護」を付与し、北朝鮮情勢を理由に「米艦防護」などの任務を実行。武器輸出を全面的に認める「防衛装備移転三原則」を閣議決定したほか、委員会審議を途中で打ち切る「中間報告」という禁じ手で現代の治安維持法と呼ばれる共謀罪も成立させた。とにかく、いったん決めたら世論批判も国会審議も一切無視。立憲主義なんてクソ食らえと言わんばかりに押し通してきたのだ。これほどの暴君、極悪政治家は世界でも数えるぐらいだろう。
■安倍暴走を止めるために国民も官僚も決起するべき
 何の恥じらいもなく自分の名前を付けた「アベノミクス」というデタラメ政策でも市場経済は瓦解寸前だ。安倍政権は黒田日銀の尻を叩き、物価上昇率「2年で2%」を掲げて「異次元緩和」と称した大規模金融緩和を実施。年間80兆円をメドに国債の“爆買い”や、年間6兆円規模のETF(上場投資信託)購入を続けてきたが、「2%」は5年経っても一度も達成されていない。「物価が上がれば賃金が上がる」とも言っていたが、実質賃金は第2次安倍政権誕生前の年間391万円から377万円と14万円も減っているのだ。
「アベノミクス」の失敗を糊塗するため、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も“動員”して官製相場で株高を演出してきたが、ここにきて米国の利上げや、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限方針で株価は大暴落だ。元日銀金融研究所長の翁邦雄・法大客員教授は本紙に〈(今や)政府は財政規律を失い、銀行は経営を圧迫され、株式市場や債券市場も日銀による買い支えで歪むなど、金融の不均衡は著しく増している〉と指摘していたが、これがまっとうな見方。安倍政権は議会制民主主義も官僚機構も立憲主義も市場経済も、戦後の日本が築き上げてきた近代国家の礎をすべて焦土化してしまったのだ。そして、それが如実に表れたのが厚労省のインチキデータ問題であり、極め付きが財務省の公文書改ざん疑惑なのだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏はこう言う。
「この5年で安倍政権は一強という状況の下、強権的な手法で民主主義と経済をぶっ壊し、歪めてきた。結果、日本を戦争ができる国に変え、経済格差を広げました。この罪は極めて大きいと思います」
 安倍暴政を止めるには、前川前文科次官のように公憤に決起する官僚の存在が必要だろう。良識ある国民もアベ政治を許さないという強い思いが必要だ。

【日刊ゲンダイ 2018年3月6日

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言論の府は完全崩壊 新聞が書かないデタラメ国会の惨状
[Monday,Feruary19,2018

まったく信じられない話だ。微増ではあるが、安倍内閣の支持率がアップしているのだ。時事通信の調査では、支持率は前月比2.1ポイント増の48.7%。不支持率は1.7ポイント減の31.9%だった。
 多くの国民は、国会でどんな審議が行われているのか分かっていないのではないか。大新聞テレビは伝えようとしないが、国会では安倍政権のヒドさ、デタラメが次々に暴露されている。
 アベノミクスの失敗も証明された。政府は生活保護費のカットを決め、その理由を「生活保護を利用していない低所得世帯の生活水準が下がったからだ」と釈明している。そのことについて共産党の志位委員長はこう問いただしている。
「総理は『安倍政権になって貧困は改善』と宣伝してきたが、『低所得世帯の生活水準が下がった』のなら、貧困は改善は嘘で、アベノミクスは失敗と自ら認めたことになりませんか」
痛いところを突かれた安倍首相はグウの音も出なかった。しかし、このやりとりを知る国民は皆無に近いのではないか。大手メディアは、ほとんど取りあげなかったからだ。
 もし、国民が国会審議の中身をすべて把握したら怒り狂うに違いない。安倍政権の対応はヒドすぎるからだ。なかでも「森友疑惑」に対する答弁は、醜悪もいいところだ。
 もはや、佐川宣寿国税庁長官が国会で虚偽答弁をしていたことは明らかだ。
 森友学園との面会記録を「すべて廃棄した」と言い募り、賃料についても「先方に賃料を示すことはない」と明言していたが、財務省の内部資料に「学校法人を訪問し、貸付料の概算額を伝える」「貸付料の水準は1月に伝えている」と、ハッキリ明記されていることが分かった。
 ところが、麻生財務相は、屁理屈をこね回して絶対に虚偽答弁を認めない。野党をバカにするようにニタニタと笑いながら質問を聞き、答弁席に立つと「あくまで省内での法律相談であって面会記録ではない」「具体的な金額は提示していない」と、佐川答弁は問題なしと強弁しているのだから信じられない。
■野党の鋭い質問は報じられない
 かと思うと、豪華な“外相専用機”を要求している河野太郎外相は、国会審議中にグーグーと爆睡する始末である。完全に国会を軽視している。
 とにかく、この国会は異常だ。野党の質問時間は大きく削られ、質問時間が増えた与党議員はヨイショ質問をつづけている。しかも、野党が安倍政権の急所を突く質問をしても、大マスコミは報じようとしない。
 驚いたのは、立憲民主党の枝野代表が「安保法制」について、衝撃的な事実を明らかにしたのに、ほとんど伝えられなかったことだ。
 昨年11月、政府が「存立危機事態」について裁判所に提出した書面を持ちだして、こう追及している。
「いまにも北朝鮮からミサイルが飛んでくると危機があおられているド真ん中で、政府が裁判所に提出した書面には『現時点で存立危機事態は発生しておらず、国際情勢にかんがみても、将来的に発生することを具体的に想定し得る状況にない』と書かれている」
なんと、国民の反対を押し切って「安保法案」を成立させておきながら、安倍政権は「存立危機事態」は、将来も発生しないと裁判資料で明言しているのだ。あれだけ危機をあおっておきながら、二枚舌もいいところだ。
 ところが、大新聞テレビは、このビッグニュースを伝えようともしない。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「本来、この国会は、もっともっと注目されていいはずです。なにしろ、森友疑惑はクライマックスに差し掛かっている。サスペンスドラマだったら、犯人が崖の上に追いつめられた状態です。誰が考えても、佐川長官の虚偽答弁は明らかですからね。佐川長官の虚偽答弁が証明されたら、いよいよ次は昭恵夫人にターゲットが移る。ところが、国会に対する国民の関心が予想以上に低い。理由は、大手メディアが詳細を伝えないからですよ」
「働き方改革」に関して、安倍首相が偽データに基づいて答弁した問題も、「撤回します」の一言で許されそうなムードだ。
■「国会の無力化」に手を貸す大マスコミ
 大新聞テレビは、自分たちがなにをやっているのか、分かっているのか。なぜ、破廉恥国会の一部始終を伝えないのか。
 安倍首相が総選挙で大勝した後、一番最初にやったことは、野党の質問時間を大きく削ることだった。慣例だった<野党8割・与党2割>の時間配分を、<野党64%・与党36%>に変えている。
 もちろん、モリカケ疑惑を追及される時間を減らしたいという思いもあったのだろうが、隠れた狙いが「国会の無力化」にあったのは間違いない。大手メディアのやっていることは、安倍首相に手を貸すのも同然である。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「安倍首相は、国会を官邸の下部組織にするつもりなのでしょう。政府が提出した法案をベルトコンベヤーのように成立させる機関にする。議会の骨抜きは、必ず独裁者がやることです。議会が無力化すれば、国会審議がつまらなくなり、国民の政治に対する関心が低くなる。独裁者には好都合というわけです。それでも、メディアが権力を監視し、批判をつづければ、国民の政治への関心は維持されます。ところが、日本の大手メディアは批判精神を完全に失っている。野党が鋭い質問をしても取り上げようとしない。国民の政治への関心は低くなり、結果的に権力者が発信するニュースばかり耳にするようになるだけです」
これでは、安倍内閣の支持率も上がるというものだ。憲政史上、最悪の国会となっている。
■「働き方改革」のウソも許すのか
 いい加減、大手メディアは目を覚ました方がいい。欧米先進国のメディアだったら、意地でも破廉恥国会の実態を報じているはずである。
 アメリカのメディアは、トランプから「フェイクニュース」と攻撃されても、「OK、かかってこい」とファイティングポーズを取り、記者を増員してトランプ発言の“ファクトチェック”を続けている。
 なのに、日本の大手メディアの幹部は、夜な夜な、安倍首相とうれしそうにグラスをかわしているのだから話にならない。
 政治評論家の森田実氏が言う。
「ジャーナリズムが立脚すべきなのは“健全な常識”と“正義”です。必要なのは、権力者の嘘は許さないという態度です。権力者の嘘を許したら、必ず国は傾きます。安倍首相は偽データに基づいて“働き方改革”を押し進めようとした。“撤回します”の一言で許される問題ではありませんよ。しかも、与党議員にわざと質問させ、アリバイ的に“撤回します”と答弁し、すぐに他のテーマに移っている。やり方が姑息すぎる。ところが、大手メディアは“撤回”したことで、終わりにしようとしている。なぜ、首相の責任を追及しないのか。10年前、20年前だったら、森友疑惑にしろ、働き方改革にしろ、連日キャンペーンを張っていたはず。このままでは、いずれ大手メディアは存在意義を失い、国民から信頼されなくなるだけです」
 大新聞テレビは、自分で自分のクビを絞めていることに気づいた方がいい。

【日刊ゲンダイ 2018年2月17日

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日銀総裁再任案 問題先送りするだけだ
[Sunda,Feruary18,2018

政府が黒田東彦(はるひこ)・日銀総裁の再任人事案を決めたのは今後も異次元緩和を継続させることを意味する。劇薬あるいは鎮痛剤への依存症といっていい。将来リスクに目をつぶる政権にこそ問題がある。
 「二年で2%の物価上昇目標」が、五年たっても一向に達成が見通せないのだから再任には疑問符が付く。しかし安倍晋三首相にためらいは感じられない。なぜか。
 日銀の異次元緩和はさまざまな副作用を伴う。だが首相は株式市場の機能がマヒしようが、日銀の財務状況が悪化しようが、国の借金が増え続けようが、お構いなしのようである。
 ただ自分の任期の間だけ、今この時だけ経済状況が保ち、自らの信念である憲法改正といった目標さえ成し遂げられれば、それでよしとでも考えているのだろうか。
 日銀総裁に対して金融緩和をやめよといっても、やめられるわけではない。日銀は政府と政策連携協定を結び、それに縛られて2%の物価上昇目標に取り組んでいるからだ。緩和の手法については独立性はあるが、政府方針と異なる政策は採り得ないのである。
 リーマン・ショックからおよそ十年たち、欧米の中央銀行は危機対応の緩和路線から脱し、平常時の政策に動いている。ひとり日銀が置いていかれている。ここで経済危機が訪れると、日銀には政策の余地がほとんどない状況だ。
 振り返れば、黒田総裁は二〇一三年三月の就任直後に世界を驚かせた異次元緩和で円安・株高を演出、企業業績を改善させた。「デフレは貨幣現象」というリフレ派理論に基づき、大量の国債購入で資金供給する量的緩和だった。
 だが、物価上昇目標は達成できず、その後は失速。追加緩和(一四年十月)、マイナス金利導入(一六年一月)、追加緩和(同年七月)、そして量的緩和から金利操作に軸足を移す長短金利操作(同年九月)に転換した。達成時期の延期は六回を数えている。
 むしろ弊害ばかりが目立っている。「国債を発行しても日銀が買い支えるから大丈夫」と財政規律を喪失させた。上場投資信託(ETF)の大量買い入れで株価の価格形成が歪(ゆが)み、企業経営の実態も見えにくくなった。
 要するに、人為的に金利や市場価格を操作しすぎた結果、止めた場合のリスクが膨らみすぎ、やめるにやめられないのではないか。
 政府は景気回復を喧伝(けんでん)している以上、今回の任期切れを機に緩和政策を修正するのが筋である。

【東京新聞 2018年2月17日

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NHKが知る権利に応えているのか 受信料義務化判決の仰天
Monday,December11,2017]

いくらなんでも、この判決は乱暴なのではないか。
「テレビを設置したらNHKと受信契約を結ばなければならない」と定めた放送法が、憲法に違反するかどうか争われた裁判で、最高裁は「合憲」との判断を下した。これで家にテレビを置いている国民は、強制的に受信料を払わされることになった。憲法は「契約の自由」を保障しているのに、お構いなしだ。テレビを買ったら、NHKを見ようが見まいが、有無を言わさず契約を結ばされる。
 しかも、まだ契約していない人は、テレビを設置した時にさかのぼって受信料を払わなくてはならないというのだからムチャクチャだ。昭和40年代にテレビを買った人は、50年分払う必要がある。契約を結んでいない世帯は、約1000万。今ごろ、「マジかよ」と頭を抱えているに違いない。
 なにより、ぶったまげたのが判決理由だ。
なんと「受信料制度が国家機関から独立した表現の自由を支えている」と断定してみせた。NHKサイドが、裁判で「時の政府や政権におもねることなく不偏不党を貫き、視聴率にとらわれない放送をするには、受信料制度が不可欠だ」と訴えた内容を、そのまま認めた形だ。
「ハァ?」ではないか。いったいNHKのどこが「国家から独立」しているのか。NHKが「時の政府や政権におもねることなく不偏不党を貫いている」と、本気で信じているとしたら、最高裁の裁判官は世間知らずにも程がある。NHKの実態をまったく分かっていない。
■なぜ、安倍首相のバンカー転落を報じない
「国家から独立」するどころか、NHKが権力とベッタリだということは、国民だってうすうす分かっていることだ。
 なにしろ、会長自ら「政府が右ということを左というわけにはいかない」と、堂々と口にするような組織である。権力に忖度し、権力の宣伝機関になり下がっているのがNHKだ。権力が嫌がることは絶対に報じない。
「モリカケ疑惑」でも、メディアのなかで一番最初に前川喜平前文科次官にインタビューしているのに、安倍首相に遠慮し、いまだに放送していない。
 トランプ大統領が初来日した時も、NHKの放送はヒドかった。どんな意味があるのか、ゴルフ場に移動するまでを延々と生中継。夜9時の「ニュースウオッチ9」は、画面右上に“シンゾー”“ドナルド”のロゴを掲げ、ゴルフ中にハイタッチしたなどと愚にもつかないことを伝え、いかに2人が「親密」かを宣伝してみせた。あとから登場した記者2人が、「かつてない親密さ」「別格」などとお追従を並べ、日本の「国益」につながるとベタ褒めする始末だ。どこが国家からの独立なのか。ただの宣伝機関ではないか。
 元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。
「2001年、NHKが自民党議員の介入を許し、従軍慰安婦をめぐるドキュメンタリー番組『問われる戦時性暴力』の内容が大きく変わったことが大問題になった。権力に弱い体質は、あの頃とまったく変わっていません。強権的な安倍政権になって、さらに深刻になっている。現場は頑張っています。でも、上が権力に逆らうことを許さない。前川喜平氏のインタビューも、現場は放送したいと思っています。よくもまぁ、NHKは『政権におもねないために受信料制度が必要だ』などと主張できたものです。真に受けた最高裁もどうかしています」
 日米ゴルフ会談のハイライトは、安倍首相が背中から1回転してバンカーに転げ落ちたシーンだ。前を歩いていたトランプ大統領は、振り向きもしなかった。2人の関係がよく分かる。もちろん、NHKはこのシーンを撮っている。なのに、絶対に放送しない。どこが、国民の知る権利なのか。
もう、視聴者は怖くない
 最高裁の判決が最悪なのは、これで権力に弱いNHKの体質に拍車がかかることだ。
 これまでは、NHKも多少は視聴者のことを気にかけていた。あまりに偏った放送をすると、受信料の“不払い運動”が起きる恐れがあったからだ。実際、「放送内容が偏向しているから払わない」と、受信料の支払いを拒否していた国民も少なくないはずだ。国民にとって受信料の不払いは、歪んだNHKの放送をただす数少ない手段だった。「国営放送」ではなく、「公共放送」のNHKは受信料がゼロになったら、立ち行かなくなるからだ。
 しかし、最高裁の「受信料義務化」判決によって、NHKがどんなに権力におもねった偏った放送をしても、ジャンジャン、カネが入ってくるようになった。もう、視聴者のことは気にする必要がない。
 もはや、NHKが気を使う必要があるのは、権力だけだ。
「NHKは公共放送でありながら、まるで国営放送のように権力にがんじがらめにされているのが実態です。理由は、予算の承認や経営委員の人事権を国会に握られているからです。さらに、放送事業者に政治的な公平性を求めた“放送法4条”が足かせになっている。NHKが常に権力の顔色をうかがっているのは、そのためです」(川崎泰資氏=前出)
 受信料の不払いは、国民が「公共放送」であるNHKを牽制する武器だった。しかし、国民が圧力をかける方法はなくなってしまった。
 はたして、最高裁はどこまで状況を分かって判決を下したのか。なぜ、権力を批判しない大本営発表に、国民が強制的にカネを払わされなくてはならないのか。
■スクランブルをかければ義務化は不要
 そもそも、最高裁は考え方が古すぎる。
放送局がNHKの1局しかなかった時代は、テレビを買うことがイコールNHKを見ることだったから、受信料を義務化されても国民は納得しただろう。しかし、今ではチャンネルはいくつもあり、スマホでも見られる時代だ。「民放しか見ない」という国民がいても不思議ではない。
 それに、今では技術が進み、契約者だけが番組受信できるような特殊な信号を乗せるスクランブル放送も可能なはずだ。どうして、最高裁は安直に契約を義務化してしまったのか。
 市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」で共同代表をつとめる醍醐聰東大名誉教授はこう言う。
「受信料の支払いを義務化するにしても、定額一律料金ではなく、せめて“基本料金”と“従量料金”の2本立てにするべきです。水道代も電気代も、基本料金と従量料金の2本立てになっています。しかも基本料金も何段階かに分かれている。基本料金と従量料金なら、NHKの放送を見ない人は支払いが少なくて済む。そうなれば、NHKサイドも、視聴者を無視した番組作りはやれなくなるはずです。定額一律料金のまま受信料の支払いを義務化したら、NHKは視聴者のことを気にしなくなりますよ」
 最高裁の判決によって、ますますNHKの番組は劣化していくことになりそうだ。安倍首相の高笑いが聞こえてくる。

【日刊ゲンダイ 2017年12月9日

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庶民の年金はカットして…自民党「議員年金」復活を画策説
[Manday,December4,2017]

選挙で約束した「社会保障の拡充」とは、自分たちの年金のことだったのか。
 自民党が、議員特権の復活を画策している。国会議員互助年金(議員年金)だ。14日の総務会で、「議員の待遇が悪いと優秀な人材が集まらない」「地方議員も議員年金がなくなって困っている」などと、議員年金の復活を求める意見が相次いだという。
 竹下総務会長も会見で「若くして出てきている国会議員たちが退職したら全員生活保護だ。こんな国は世界中になく、そこは皆さんにも認識してもらいたい」と言い、議員年金の復活に理解を求めたが、冗談じゃない。庶民には増税や年金保険料増額、医療費の負担増などを強いておきながら、選挙に勝ったら真っ先に自分たちの待遇改善を言い出すなんて本当にフザケてる。
 自民党政権は、今年1月から個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の加入対象を広げ、政府広報でテレビCMもバンバン流して、「老後資金は自助努力で貯めておくように」と国民に啓蒙活動をしてきた。自民党議員も老後が心配なら、iDeCoに入って備えておいたらどうなのか。
かつての議員年金は在職10年以上で受給資格が得られ、最低でも年額412万円が支給されていた。しかも、在職期間が1年増えるごとに年額8万2400円も増えるという厚遇ぶり。議員特権の象徴として批判され、2006年に廃止された。現在は国会議員も「国民年金」に加入しているが、06年当時の受給資格者には減額して支払われる。その原資は税金だ。
「昨年は年金カット法が強行採決され、さらに自民党は受給開始年齢を70歳以上に引き上げようとしています。それなのに、自分たちだけ特権的な年金を復活させようとは言語道断で、開いた口がふさがりません。国民年金だけではマトモに生活できないというのなら、制度を変える議論をすべきであって、議員年金の復活は筋違いもいいところです。それに、日本の国会議員の報酬は先進国の中でもかなりの高額なのです。それでも老後が不安というなら、カツカツで蓄えがなく年金で暮らすしかない庶民はどうすればいいのか。自民党は、血税を吸い取って自分たちが好きに使うことしか考えていない。まるで吸血鬼政権です。最近の傲慢な国会運営を見ていると、議員年金の復活も数の力で押し切りかねません」(政治評論家の本澤二郎氏)
 選挙に勝てば何でも許されるという、おごりと特権意識。これが自民党の本質だということがよく分かる。悪しき議員年金の復活なんて、絶対に許してはダメだ。

【日刊ゲンダイ 2017年11月10日

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賃金を犠牲にして空前の企業利益 好況大報道のドッチラケ
[Sunday,November12,2017]

いやはや最近の大新聞・テレビの報道を見ていると、日本経済はまるで「バブル景気の再来」と言わんばかりだ。
〈民間シンクタンクの予測では、7〜9月の実質経済成長率の平均は年率1.5%と7四半期連続のプラス成長〉
〈7〜9月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)は102.5で前期比0.4%上昇。リーマン・ショックが起きた08年7〜9月以来の水準〉
〈上場企業の2017年9月中間決算は過去最高益を更新する見通し〉
〈日本経済は戦後2位のいざなぎ景気を超える回復途上にある〉……。
 大々的に取り上げられている経済指数、数値をざっと挙げただけでも、今の日本が空前の好況期にあるのではないか――と錯覚してしまいそうだ。だが、いざなぎ景気を超えるほどの高揚感を感じている国民はほとんど皆無と言っていいに違いない。大マスコミの論調通り、企業業績が絶好調であれば、賃金も雇用も右肩上がりで増えておかしくないのに、そんな状況に全くなっていないからだ。
■「好景気」の中身は空っぽの“ハリボテ”
〈賃金は1997年から現在に至るまで下落傾向が続いています。国民総所得における賃金・俸給の割合は、1980年度には46.5%ありましたが、2015年度には40.5%まで低下しています〉
「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」(集英社新書)の著者で、法大教授の水野和夫氏は「月刊日本」(11月号)でこう指摘していたが、財務省の法人企業統計によると、企業利益に占める労働者の賃金割合を示す労働分配率は依然として過去最低水準のままだ。
 それもそのはずで、財務省調査に対して2016年度の内部留保が「増えた」と回答した企業は8割にも上る。つまり、企業側はひたすらため込むばかりで労働者にちっとも還元しないのだから、賃金が上がるワケがない。なるほど、過去最高益と浮かれまくっている大企業の内部留保が400兆円を突破するのも当然だ。水野和夫氏があらためてこう言う。
「労働分配率が下がっているということは、本来は労働者が受け取るべき賃金が企業利益に付け替えられているということを意味します。つまり、賃金が下がっている分、労働者はよりたくさん働かなくてはいけないわけです。(好景気と報じられているが)今の日本経済は一言で言えば、まさに新自由主義派の思い描いていた通りの展開であり、そのしわ寄せが労働者の負担増につながっているのです」
 そもそも、大マスコミは「いざなぎ景気超え」と大騒ぎしているが、カラーテレビ、自動車、クーラーの「3C」が牽引役となった当時と今の経済状況を比べると力強さがまるで違う。かつて世界のモノづくりをリードし、高付加価値の商品開発を得意とした日本の製造業の姿は今や見る影もない。将来の需要拡大が期待されているAI(人工知能)やEV(電気自動車)も欧米の後塵を拝している。じゃあ、何が日本企業の業績を大きく押し上げているのかといえば、日銀の“異常”な金融緩和による超低金利と円安進行に加え、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの「官製相場」で下支えされた株高だ。つまり、好景気といっても、しょせんは中身がカラッポの“ハリボテ”。庶民のフトコロから公然と収奪しているのが実態なのだ。
有効求人倍率を「高水準」に引き上げている数値のカラクリ
「政治の最も大切な責任である雇用について大きな成果をあげた」
 第4次安倍内閣が発足した1日夜の会見で、安倍首相がアベノミクスの“成果”として胸を張っていたのが雇用だ。
 おそらく9月の有効求人倍率(季節調整値)が1974年以来の高水準となる1.52倍になったことや、同月の完全失業率が2.8%と「完全雇用」状態になったことを踏まえたのだろうが、この数値には複数の“トリック”が隠されている。
 まずは何と言っても労働力人口の減少だろう。ここ数年で団塊世代が65歳に達して退職者が急増。いわゆる「2012年問題」と呼ばれたものだ。求人倍率は職安で扱った求人数を求職者数で割った値だから、分母の求職者数が減れば倍率が上昇するのは小学生でも分かる理屈だ。分母の減少数の推移をみると、2012年までは10万人台だったが、13年以降は年間100万人以上も減っているから、求人倍率が上昇するのは当然なのだ。
さらに内訳数値を細かく見ていくと、臨時・季節雇用を除いた求人倍率の中で群を抜いて高いのは「接客・給仕」(3.87倍)、「介護サービス」(3.74倍)、「自動車運転」(2.80倍)など。いずれも長時間労働と低賃金が社会問題になっている職種ばかりである。対照的に労働者の希望が多い「一般事務の正社員」は1.0倍を下回ったまま。つまり、離職率の高い一部の職種が求人倍率を引き上げているのであって、決して安倍が得意げに言うほど雇用環境が大きく改善しているわけじゃないのだ。
 前出の水野和夫氏も「月刊日本」で〈労働者たちが最も希望する仕事は企業からほとんど提供されていない。(略)全体の有効求人倍率が上昇したからといって、それほど自慢できることではない。(略)『どんな仕事でもいいから働け』と言うなら、それは横暴というもの〉と説いていたが、その通りだ。
■アベノミクス失敗の隠すための「脚色」報道
つまるところ、〈いざなぎ景気を超える回復途上〉なんて安倍政権のお先棒を担いだ大マスコミが表面上の数字だけを取り上げて大袈裟に喧伝しているだけ。日本経済の実相ではないということだ。なぜ、そんな提灯報道を続けているのかといえば、そうしないと、いよいよアベノミクスの完全破綻が国民にハッキリと分かってしまうからだ。元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。
「今のメディアは安倍政権の言いなりなのでしょう。だいたい安倍政権が旗を振り、日銀の黒田総裁が始めた『2年で2%の物価目標』は達成時期が6回も先送りされ、失敗は明々白々です。それなのに安倍首相は今も『道半ば』と言い続けている。メディアはこうしたデタラメな点をきちんと指摘し、責任を追及するべきですよ。そうした報道を一切せず、政権にとって都合のいい数字を大きく取り上げるのはジャーナリズムでも何でもありません」
日経平均16連騰! と大ハシャギで報じていた株高だって、よくよく考えれば上場企業数は日本国内の全法人の1%にも満たないから、大半の中小企業にとっては全く関係ない。それでも「岩戸景気以来」などと“脚色”すれば、好景気ムードを演出できる。そうやって大マスコミは安倍政権が消費税を予定通り増税するための地ならしにせっせと加担しているワケだ。
 だが、実質賃金がほとんど上がらない中で、このまま消費税増税なんて許されるのか。間違いなく庶民生活を直撃するだろう。国民は好景気を“装った”大マスコミの提灯報道にゴマかされず、公表される経済指標の「中身」を冷静に分析することが重要だ。

【日刊ゲンダイ 2017年11月4日

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物価上昇率またも下方修正 黒田日銀“緩和継続”の支離滅裂
[Wednesday,November8,2017]

もう、うんざり……。金融界からは冷めた声が聞こえてくる。31日、日銀は金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めた。同時公表の「展望リポート」では、2017年度の物価上昇率見通しを従来の1.1%から0.8%へ引き下げた。
「日銀は展望リポート(年4回)を出すたびに物価目標を下方修正しています。今回、黒田東彦総裁の最大目標である『2%の物価上昇』は『19年度ごろ』に据え置きましたが、これまで6回も先送りしています。次回の展望リポートで7回目の先送りをするかもしれません」(市場関係者)
 黒田総裁は31日の会見で、2%上昇について、「まだまだ遠い」と話し、大規模金融緩和の継続を強調した。株価上昇の効果をもたらすETF(上場投資信託)購入も続ける。日銀はすでに日本株を20兆円以上保有。ニッポンの大株主に君臨している。
「日銀は株を買うばかりで、ほとんど売却していません。市場原理の働かない歪みきった市場だけに、海外投資家が日本を見捨てる日は必ず来ます」(金融関係者)
 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストも言う。
「日銀の審議委員を見ると、現在、株式市場に精通した人物はひとりもいません。人選が偏っている印象を受けます」
■出口戦略に向かった途端に株は暴落
 今年7月までは野村証券やモルガン・スタンレー証券で活躍した2人が審議委員を務めていただけに、兜町からは「株価が上昇しているうちは問題ないが、下落したときが心配」(ネット証券)との声も聞かれる。
 金融政策そのものも不安だらけだ。米欧の中央銀行がそろって緩和縮小を打ち出すなか、日銀だけが緩和継続。しかも黒田総裁は2%上昇まで手を緩めるつもりがない。
「実際のところ、もはや日銀は緩和をやめられません。日銀が緩和縮小を打ち出した途端に、世界の株価が暴落しかねないからです。日米欧ともに出口戦略に向かうと、株式市場に流入する資金は減少します。これは間違いなく株安要因で、世界の金融界は、日銀の黒田総裁を非難するでしょう。黒田総裁はババを引かされたのです」(株式アナリストの黒岩泰氏)
 日本だけが金融緩和を継続すれば、円の価値は極端に下落し、輸入品は高騰する。その分、収入が増えればいいが、実質賃金は直近統計の8月まで3カ月連続で減少している。庶民生活は苦しくなるばかりだ。

【日刊ゲンダイ 2017年11月2日

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報酬は8年で2億円 「商工中金」天下り役人たちのデタラメ
[Saturday,November4,2017]

 国の「危機対応融資」を悪用し、不正融資を繰り返してきた商工中金。問題の本質は、モリ・カケと同じ。不正に手を染めるウラで、安倍政権の黒幕ともいわれる経産省の幹部が天下りし、ベラボーな報酬や退職金を受け取っていた。安倍官邸の“仲間”が甘い汁を吸ってきたのが実態だ。
 商工中金は典型的なエリート官僚の天下り機関だ。戦後一貫してトップには、経産省(旧通産省)から、ナンバー2には財務省(旧大蔵省)からキャリア官僚が天下ってきた。
 リーマン・ショックを機に危機対応融資が導入された2008年、新日鉄の副社長だった関哲夫氏が初の民間人社長に就いたが、12年に安倍政権が発足すると再び、安倍首相が重用する経産省の幹部が社長に就くようになった。13年就任の杉山秀二前社長、次の安達健祐現社長は、ともに元経産事務次官だ。安倍首相は、シレッと天下りを復活させている。
商工中金の報酬規定によると、社長、副社長の年収は2000万円超。さらに、退職金も出る。副社長と社長で合計8年務めた杉山前社長の退職金は1300万円超。年収と合わせれば、2億近くになる。しかも、「実務はもちろん、経営方針も生え抜きの幹部が決めていた。何も知らない役人出身はお飾りのようなものです」(金融関係者)という。
 その一方で犠牲になったのは地方の金融機関だ。金融ジャーナリストの小林佳樹氏が言う。
「商工中金による“低利融資”が、地銀を苦しめてきたのは間違いありません。商工中金の“危機対応融資”の方が有利なので、地方の中小企業はどうしても商工中金から借りる。その分、地銀は貸し出し先を失った形です」
 歴代の天下り役人は、報酬を全額返納すべきだ。

【日刊ゲンダイ 2017年11月1日

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森友6億円値引きでも逮捕者なし 悪党がのさばる無法国家
[Wednesday,November1,2017]

もはや疑う余地はない。600億円もの血税をつぎ込んだ衆院解散・総選挙は、安倍首相のアキレス腱であるモリカケ隠しだったことがハッキリした。
 安倍首相夫人の昭恵氏が名誉校長として関わっていた森友学園へのタダ同然の国有地売却交渉をめぐり、売却額の妥当性を調べていた会計検査院が「値引き額は最大6億円過大だった」と試算していると報じられた。国有地の地中に埋まっていたゴミ撤去費用の積算を担当した国交省大阪航空局が、過剰に見積もりをした疑いが濃厚だということだ。これが公示前、あるいは選挙戦の最中に表に出ていれば、安倍政権を直撃したのは間違いない。世論の8割がモリカケ疑惑に関する安倍の説明に納得しておらず、逃げ回る姿に不信感を強めている。安倍自民の圧勝はあり得なかった。元特捜検事の郷原信郎弁護士はこう言う。
「森友疑惑は何から何までメチャクチャです。検査院が調査に着手してから半年以上も経っている。ゴミ撤去費用の積算が適正であったかどうかを調べているだけなのに、なぜこんなに時間がかかるのか。その上、安倍政権の続投が確実になってから調査概要が漏れ伝わってきている。検査院も大阪地検特捜部もそうですが、あらゆる機関、関係者が安倍首相への忖度ありきで動いている印象です」
■アベ自民圧勝で幕引きシナリオ
 問題の国有地をめぐって、森友は財務省近畿財務局と定期借地契約を締結後に購入を打診し、「地下9.9メートルまでゴミがある」と申告。近畿財務局から土壌調査を依頼された大阪航空局は詳細に調べ直さないまま、以前の調査データを基にゴミ混入率を土壌全体の47%とみなし、撤去費約8・2億円を算出した。財務省が撤去費単価に関する文書や交渉記録を廃棄したとする中、残された資料を検査院が検証すると、混入率は30%程度で撤去費は約2億円にとどまったという。
 ゴミ撤去費については市民グループも問題視。弁護士らが当時の近畿財務局長らを背任容疑などで大阪地検特捜部に告発し、約2.7億円が過大だったとする1級建築士の鑑定書も提出した。森友疑惑に関与した職員を立件する材料は揃ってきている。にもかかわらず聞こえてくるのは特捜部の本格始動どころか、捜査終了のシナリオだ。
「財務省、国交省の職員を背任容疑で立件するにはハードルが高く、〈値引きをしてもいいから売れ〉などといった具体的な指示を文書や電子データで立証する必要がある。それでも、総選挙の結果次第で特捜部が本腰を入れる可能性はありましたが、自民党の強さを見せつけられ、森友疑惑を追及する機運はついえてしまった。とはいえ、何もしなければ世論の批判は特捜部に向かってくる。当面は捜査を継続し、不適正ではあるけれど違法性は認められないという結論を出す。納得しない市民団体が検察審査会に不服申し立てをするでしょうが、そこで不起訴相当の議決を出して幕引きという算段です」(捜査事情通)
 国会で「記録はない」「記憶はない」を連発した揚げ句、「データは自動的に消える」などとインチキ答弁を繰り返し、身をていして安倍を守り抜いた財務省の佐川宣寿前理財局長は国税庁長官に出世。「内閣総理大臣夫人付」として昭恵氏に3年間仕え、森友と財務省の橋渡し役も務めた経産省の谷査恵子氏は在イタリア日本大使館の1等書記官に栄転した。検査院は選挙が終わるまで沈黙し、特捜部はまるで動く気配がない。国民の財産である国有地を6億円も値引きして叩き売っておきながら、当事者の役人から逮捕者はなし。こんなデタラメが許されるはずがない。
推定無罪ガン無視、首相が公然と司法判断に介入
「教育に対する熱意が素晴らしい」と持ち上げられたのも束の間、「非常にしつこい」と安倍から切り捨てられた籠池夫妻は補助金不正受給の詐欺罪などで逮捕、起訴された。安倍夫妻との関係をチラつかせて財務省に揺さぶりをかけ、「グーンと下げていかなアカンよ」などと値引きを迫った籠池夫妻のやり方はえげつないが、口封じの国策捜査との非難が絶えないのも事実である。
「一般法と特別法の関係からすれば、森友学園のケースは補助金適正化法違反で進める事案ですし、籠池夫妻のように全額返還後に起訴された事例はない。詐欺罪での立件は逮捕事実の水増しを意図したとしか考えられません。しかも、安倍首相はトンデモない発言をしている。公示直後に出演したテレビ党首討論で〈籠池さんは詐欺を働く人間〉と断定し、〈昭恵も騙された〉と言い放った。この国の行政府の長は推定無罪の原則を知らないのでしょうか。初公判もまだ開かれていないし、籠池夫妻は黙秘していると伝えられている。検事総長に対する指揮権を持つ法相を任免する立場にある総理大臣が、司法判断の介入になりかねない発言をする。日本はとても法治国家とは言えない。無法国家ですよ」(郷原信郎氏=前出)
国のトップが国家を私物化し、その仲間内だけが甘い汁を吸う露骨な利権構図がまかり通る。そんな国柄だからなのか、アベノミクスの牽引役だと喧伝されてきた企業の不祥事が相次いでいる。
 政府が約46%の株式を保有する商工中金は、2008年のリーマン・ショックを機に制度化された危機対応融資を悪用。2600億円を超える巨額不正に手を染めていた。国のお墨付きを得て融資残高をガンガン増やしたのは悪辣だが、中小企業対策と称する見せかけの景気対策装置の役割を担っていた側面もあった。それで悪事がバレたら安達健祐社長は引責辞任してオシマイだ。新車不正検査が常態化していた日産自動車、検査データ改ざんがグループ内に蔓延していた神戸製鋼所しかりである。日産も神戸製鋼も株高演出の指標である日経平均株価に採用されている。多少の悪さを働いても日銀やGPIFが株を買い支えるし、救済措置も施される。そんなもくろみでタガが外れ、発展途上国並みの不正天国の国に成り下がったのか。
■国会審議よりゴルフ外交
 無法国家でワルはぬくぬくと暮らし、一般市民は「働き方改革」で安価な労働力の提供を強制され、社会保障費はさらに削られようとしている。国民を飢えさせても、核・ミサイル開発に猛進する海の向こうの独裁国家を冷笑してはいられない。
 モリカケ疑惑の真相究明はもとより、内憂山積にもかかわらず、安倍官邸は野党が要求する臨時国会の召集を拒否。首相指名選挙が行われる特別国会を11月1日から開き、所信表明演説も各党の代表質問もやらずに8日には閉じる腹積もりだ。
 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は言う。
「官邸はトランプ米大統領の来日や、APEC首脳会議やASEAN首脳会議などの外交日程を口実に来年の通常国会まで逃げる魂胆のようですが、トコトンふざけています。トランプ大統領とゴルフに興じる時間があるなら、国民や野党が求める国会審議に回すのが当然でしょう。森友疑惑の端緒は紛れもなく昭恵夫人です。安倍首相は総選挙後も〈誠意を持って丁寧に説明していきたい〉と言っていたのですから、いい加減に約束を守ってもらいたい。安倍首相が説明できないのであれば、昭恵夫人を国会招致してコトの経緯を明らかにするべきでしょう。そうしない限り、この問題が鎮火することはありません」
衆院の8割を親アベが占め、衆参で3分の2超を超える勢力を再び手にした安倍は、自民党総裁3選、10年に及ぶ超長期政権に手を掛けようとしている。
 主権者である国民をないがしろにし、国会も立憲主義も蹂躙するワルの親玉が戦後最長政権にまっしぐら。こんな悪夢を招いてしまった以上、国民がさらに声を張り上げなければ、加速する独裁者の暴走を止めることはできなくなる。

【日刊ゲンダイ 2017年10月27日

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安倍政権存続こそ国難だ 野党は悪魔とでも組む覚悟が必要
[Sunday,October1,2017]

安倍首相が28日の臨時国会冒頭に解散することを正式に発表。森友・加計学園疑惑でニッチもサッチも行かなくなったものだから、野党の選挙準備が間に合わないうちに解散し、北朝鮮危機も利用して、火事場泥棒よろしく議席をかすめとる算段だ。
 安倍は25日の会見で、解散の理由を「国難」と言った。少子高齢化や緊迫する北朝鮮情勢。「この国難を乗り越えるために、どうしても今、国民の声を聴かなければならない」と。それで「国難突破解散」というのだが、ご自慢の「仕事人内閣」で突破できない国難が、なぜ解散することで突破できるようになるのか、首をひねった国民は多いはずだ。
「新自由主義にかぶれて、若者が安心して結婚や子育てができない格差固定社会をつくりだし、北朝鮮の暴発をあおっているのは誰なのか。そのうえ、この解散で北朝鮮に対する圧力強化への支持を求めるなんて、狂気の沙汰です。放火犯がエラソーに『このままでは大惨事になるから、みんな消火に協力しろ』と強要しておいて、自分はまた新たに火をつけようとしている。今が国難というならば、それは安倍首相が国家権力を私物化し、好き放題やってきた結果です。この5年間で外交も内政もメチャクチャにされてしまった。いまや安倍政権の存在そのものが国難なのです」(政治評論家・本澤二郎氏)
日蓮は「立正安国論」で「他の邪教を信じたら国難が襲い掛かる」と主張した。そのひとつが元寇だと訴えた。日蓮に倣ったのか、安倍も北朝鮮の脅威を持ち出し、「国難」だから、他の政党を支持したら大変なことになると脅している。
■野党が割れれば自民を利するだけ
 だが、皮肉なことに、「国難突破解散」というこじつけは、かえって安倍の浅薄な思惑を印象づけただけだった。会見直後から、ツイッターでは「#お前が国難」がトレンドの上位に入る話題になった。疑惑隠し解散だということは、国民も見抜いているのだ。
 これまでも、選挙では「経済最優先」と騙り、それで多数議席を得た途端、主な争点に掲げなかった特定秘密保護法や安保法、共謀罪などを強引に成立させてきたのが安倍政権だ。今回は何を企んでいるのか。25日の会見で安倍は憲法改正に触れなかったが、選挙に勝てば一気に憲法9条の改正に動き出す。あるいは、米朝の戦争に参加を決める。とにかくロクなことにならないのは確かだ。いま、この政権を叩き潰さないと、何をしでかすか分からない。
そこで、問題は野党である。野党第一党の民進党からは「共産党とは組めない」という離党者が続出。小池新党の人気にすがる離党の動きも止まらない。こんな体たらくで安倍の暴走を止めることができるのか。
「野党が割れれば、自民党を利するだけです。野党間で選挙区調整をして、候補者を一本化しなければ勝てないことは、誰が考えても分かる。本気で安倍政権を倒す気概があるのなら、最大野党の民進党には、真意が読み切れない小池新党や、頑迷な共産党とも組むリアリズムが必要です。小池新党にしても、標榜する“非自民”が本当なら、民進との選挙協力は当たり前のこと。非自民勢力がまとまれば、全選挙区で1対1の構図に持ち込める。そこで初めて与党との勝負になります」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
■毒をもって毒を制す」で政権を終わらせることが命題
 安倍の解散発表会見にぶつけるように「希望の党」という党名を発表し、新党代表に就くことを宣言した小池都知事は、やはりパフォーマンス巧者だ。メディアは小池に飛びついた。
 このままでは7月の都議選と同じで、総選挙も自民党と小池新党の対決構図になる。民進、社民、共産の野党3党は埋没してしまう。
「小池新党なんて、後になって『とんでもないあだ花だった』ということになるかもしれない。しかし、小池氏が打ち出した原発ゼロと消費税凍結は、安倍政権の痛いところを突いている。蛇の道は蛇ということわざもありますが、小池氏は自民党の弱点を知り尽くしています。この選挙は“安倍か、反安倍か”の戦いなのです。安倍政権を終わらせてほしいと願う多くの国民の声に応えることが、野党の責務ですよ。民進党が『共産党とは協力できない』とか『小池新党とは組めない』などとガタガタ言って選挙協力を拒否するのであれば、自民党を勝たせ、喜ばせるだけです。これでは自民の補完勢力と見られても仕方がない。そんな政治家はいなくなってもらった方が国民のためです」(本澤二郎氏=前出)
小池新党については、改憲派だから自民の補完勢力だとか、理念がよくわからないという懸念もあるが、非自民勢力がバラバラでは話にならない。ペテンの才能にかけては安倍に勝るとも劣らないのが小池なのである。ここは「毒をもって毒を制す」もアリだ。しかも今回は短期決戦。小池が再び「崖から飛び降り」て風を起こせば、一気に安倍政権を追いつめることも不可能ではない。
■フタを開けてビックリの展開も
 安倍は北朝鮮のミサイル発射を誰よりあしざまに非難し、危機をあおるのに、28日の臨時国会冒頭に予定されていた北朝鮮への非難決議はスッ飛ばして衆議院を解散する。開会式も、所信表明も行わないのは前代未聞だ。野党が憲法の規定に基づいて要求していた臨時国会を3カ月も開かず、ようやく召集日を決めたと思ったら、国難だとか言い出して審議から逃げた。こんなデタラメは、国民世論をナメきっている証拠だ。
民進党の前原代表は26日の常任幹事会で「北朝鮮への非難決議を避け、国民の総意を示さない。こんなひどいことはない。どんな手段をつかっても安倍政権を終わらせる」と話した。その言葉の本気度が問われている。
 それこそ権力維持の手段を選ばないのが自民党なのである。勝つためなら憲法も無視し、平気でウソをつく。だまされた国民が悪いと舌を出す鉄面皮。そういう狡猾な与党と対抗するには、悪魔とでも組む覚悟が必要だ。安倍という国難にどう立ち向かうのか。「あいつは嫌だ」と自分の勝手な都合でグダグダ言っている時間はない。野党協力への対応で、政治家の危機感と覚悟が分かる。
 前原は26日夜、小池と会談。合流をめぐって協議したもようだ。これに先立ち、昼間は最大の支持団体である連合の神津会長と会談し、希望の党と組む方針を説明したとみられる。非自民結集が成就すれば、選挙情勢はガラリと変わる。政治ジャーナリストの山田厚俊氏もこう言う。
「地方レベルでは、すでに民進党と共産党の選挙協力体制が進んでいるところもあります。民進党が都市部は希望の党、地方は共産党と協力体制を進めれば、意外とすんなりすみ分けができるのではないか。政策が水と油の公明党とも結んで、政権与党の座を維持してきた自民党のしたたかさを見習うべきです。民進党と希望の党が組み、共産党とも協力できれば、政権交代可能な2大政党制に向けた政界再編のスイッチが入る。それで政治に緊張感が生まれれば、安倍政権のような傲慢で自分勝手な政権運営はできなくなります。それは国民にとって大きなメリットです」
 総裁3選と憲法改正という個人的な野望しか頭にない安倍は、所属議員が何人落選しようと、自公で過半数を維持すれば、これまで通り好き勝手に国を動かせると考えているはずだ。「小池新党も改憲勢力だから、合わせて3分の2議席になれば改憲戦略に支障はない」くらいに甘く考えていたかもしれないが、フタを開けて真っ青という展開もあり得る。
 この解散・総選挙は民主主義と立憲主義を軽んじる安倍政権を倒す絶好の機会なのだ。今こそ野党の覚悟を見せて欲しい。

【日刊ゲンダイ 2017年9月27日

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国民感情を逆撫で 日本を壊した4首相のバカ笑い別荘写真
[Saturday,September2,2017]

「マトモな人間なら、あそこまで大笑いできません。歴代首相が4人もそろって何をふざけているのか。『こんな日本に誰がしたんだ、キミたちじゃないか!』と叱り飛ばしたくなりますよ」
 政治評論家の森田実氏はそう憤怒していたが、この写真を見れば誰もが嫌な気持ちになるはずだ。安倍首相の夏休み終了のタイミングに合わせたのか、25日大新聞がなぜか一斉に掲載した一枚。今月15日夜、日本財団の笹川陽平会長が山梨・鳴沢村にある自身の別荘に現職の安倍と森、小泉、麻生ら歴代首相を招き、会食した際の写真である。
 安倍は例年、夏休みには鳴沢村の別荘に10日近く滞在。加計孝太郎・加計学園理事長ら「腹心の友」を招き、ゴルフやバーベキューに明け暮れていたが、今年ばかりは加計学園疑惑がくすぶり続ける中、渦中の人物と一緒に遊びほうけるわけにもいかない。
大好きなゴルフを封印し、遊び相手もいなくなって歴代首相と会食の手はずとなったのだろう。それにしてもだ。大口を開けてバカ笑いしている森や、赤ら顔でのけ反って笑う小泉たちのザマは何なのか。
 ハッキリ言って、この大笑い4人組は日本をメタメタにブッ壊した張本人。経済失策の連続で、1991年のバブル崩壊以降の「失われた10年」を「20年」「30年」と長引かせた責任者。おまけに米国の言いなりで自衛隊と米軍の一体化をどんどん進め、シッポを振り続けてきた亡国の徒ではないか。
 2000年に5人組の密室談合で発足した森政権以降、歴代自民党政権はこの国を「貧困と格差」が渦巻くヒドイ社会に変えてしまった。政権トップを務めた4悪人の高笑いは国民感情を思い切り逆撫でするものだ。
 とりわけ、この国を破滅の道へと歩ませたのが、01〜06年の小泉政権時代だ。当時、森はキングメーカー気取りで、安倍と麻生は重要閣僚を歴任。「改革なくして成長なし」のワンフレーズ政治で、「構造改革」路線をひた走った結果、行き過ぎた規制緩和がもたらしたのは、社会の大きな「歪み」である。
その歪みの象徴が、高速バスツアー事故の頻発だ。貸し切りバス事業は国の規制緩和で新規参入業者が激増し、過当競争が勃発。安全コスト軽視の格安ツアーが横行するようになり、長時間労働を強いられるドライバーの運転ミスで、十数人が犠牲となる事故が相次いでいる。
 04年には労働者派遣法を改定。製造業への派遣を解禁して以来、非正規雇用者の数は年々増え続け、今や労働者全体の4割を超えてしまった。「派遣切り」「ネットカフェ難民」「ブラック企業」という言葉を頻繁に耳にするようになったのも、小泉時代からだ。
 当然、低賃金の非正規が増えれば国民全体が貧しくなる。厚労省の毎月勤労統計調査のうち、1人当たりの「現金給与総額」は、小泉政権発足直後の01年6月には48万5588円。対する今年6月の同じ数字は43万3043円だ。この16年間で労働者の平均賃金は5万円以上も減ってしまったのだ。経済アナリストの菊池英博氏はこう指摘する。
「小泉政権の大罪のひとつが『小さすぎる政府』を目指したこと。ただでさえ、日本の財政支出額は先進国の中で最低レベルだったのに、さらに切り詰めたのです。そのターゲットが社会保障費と地方交付税で、それぞれ数兆円単位で削減したため、医師不足で救急車たらい回しの『医療崩壊』が出現。そのクセ、大型店進出の規制緩和には歯止めをかけず、地方の商店街はシャッター通りと化したのです。地方がメタメタの惨状で内需は冷え込み、今なお続くデフレ不況を拡大させた罪は重い」
 これだけ国民を苦しめる大罪を犯した4人が、よくもまあガン首そろえてバカ笑いできるものだ。
■ナショナリズムに火をつけテロの標的に
 長引くデフレ不況のあおりで、日本の国際競争力も凋落の一途だ。主要国の名目GDPを比較すると、1997年を100とした指数は16年に米国が218、英国が205、ドイツが160と順調に成長を続けているのに、日本は88と独り負けだ。2010年には中国に抜かれ、約半世紀も死守してきたGDP世界第2位の座を明け渡した。
経済低迷で国の借金だけが膨れ上がり、13年には1000兆円を突破。国際競争から取り残されて日本人が自信を失った反動だろう。狭小なナショナリズムに火がつき、「反中嫌韓」「ネトウヨ」なる言葉が定着していった。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「世の中全体が右傾化する中、03年のイラク派遣以降は自衛隊の海外展開はなし崩し。内実は米国追従の軍事一体化一辺倒です。安倍政権による集団的自衛権容認の安保法制によって、さらに一体化は強固となりましたが、その代償として日本人はテロリストの標的になってしまった。中東で日本人が人質になっても、小泉政権からは『テロには屈しない』という勇ましい一言で見殺しにしてきたのです。この強硬路線を決定づけたのも、大笑い4人組。今も安倍政権は北朝鮮有事にクチバシを挟み、進んでミサイルの的になろうとしています。国民の生命をないがしろにしておきながら、よくぞOLのインスタグラムのようにチャラチャラした写真を撮影できるものです」
■自己責任のひと言で弱者を切り捨て
 日本社会を貧困と格差のドン底に叩き落としながら、政権とつるんだ一握りの“利権屋”が跋扈するようになったのも、小泉政権時代以降の弊害だ。
「労働法制の規制緩和に血道を上げ、派遣社員を増大させた竹中平蔵氏が、人材派遣会社の会長に収まったのが、いい例です。規制改革会議の議長だった宮内義彦氏が率いるオリックスに『かんぽの宿』が安値で一括売却されかけた騒ぎもありました。まるで『規制を破壊せよ、そこに利権がある』と言わんばかりで、獣医学部新設の加計問題に通じる権力の私物化の悪弊はこの頃から芽生えてきたのです」(菊池英博氏=前出)
「小泉チルドレン」や「魔の2回生」に代表される政治家の劣化。「政治主導」に名を借りた官僚制度の寸断による行政の公私混同。地元の意向を無視して辺野古移設をゴリ押し、沖縄の基地問題をこじれさせたのも4悪人の責任だ。
4悪人の罪状を挙げていけばキリがないほどだが、高笑いの一枚に歴代自民党政権の悪巧み、破廉恥、国民愚弄、権力の私物化、お気楽と全てが写っている。前出の森田実氏はこう言った。
「何より彼らが罪深いのは国民の人心を荒廃させたことです。新自由主義に根差した拝金主義を奨励し、『今さえ自分さえよければ、カネさえ儲かれば』という風潮が蔓延。日本古来の助け合いの文化はズタズタとなり、『自己責任』という言葉で弱者を切り捨てるようになったのです。ここまで日本を破壊しながら、他人の別荘で高笑い写真とはいい気なもの。『フザケルナ』の一言です」
 国民もいつまでも4悪人の跋扈を許し、バカにされている場合ではない。

【日刊ゲンダイ 2017年8月26日

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大谷昭宏氏「バカが権力を握っている」と報ずるべきだ
[Tuesday,July11,2017]

「巨大な権力者に批判的な目を向け、説明責任を果たさせる」――。今年1月の任期最後の会見で記者団に向かってこう訴えたのは米国のオバマ前大統領だった。不都合な報道を「フェイク(偽)」と批判するトランプ大統領を意識し、メディアの権力監視の重要性を強調したのだが、この言葉を日本メディアはどう受け止めただろうか。第2次安倍政権発足後、政権に辛口のテレビコメンテーターは次々と姿を消し、大手紙では以前と比べて政権批判の記事が減ったといわれる。最近では、前川喜平前文科次官の出会い系バー通いを報じた読売新聞に対し、「官邸の意向」との批判も出たが、今のメディアの体質を気骨のジャーナリストで元読売新聞記者の大谷昭宏氏はどう見ているのか。
■政権中枢と会食するならなれ合いになるな
――読売新聞の「前川前次官 出会い系バー通い」の記事について「官邸の意向を受けた前川潰し」との批判が出ました。読売OBとして、あの記事をどう見ましたか。
すぐに「マル是」(絶対外せない是非モノ)、「ワケアリ」と分かりました。というのも私は仕事の関係で東京と大阪を行ったり来たりしていて、東京では東京本社版、事務所や自宅のある大阪では大阪本社版を読んでいます。東京、大阪の紙面はふつう、ガラリと違います。
 例えば、都議選のアンケート結果を大阪版に大きく載せても意味がないし、逆に兵庫知事選のアンケートを東京版に入れても仕方がない。どちらかがベタ扱いなど、記事の大きさ、掲載場所、見出しは全く異なります。ところが、あの記事は東京、大阪、西部本社など、いずれの紙面でも記事の配置、見出し、行数が同じ。こんな偶然はあり得ず、読売関係者が見れば一目で「マル是」「ワケアリ」。おそらくトップの意向だったのでしょう。
――「官邸の意向」が働いたと思いますか。
 前川さんは1月に出会い系バーに通っていることを官邸から注意されていました。それがなぜ、5月の段階で表面化したのか。しかも、あの記事が出て、他紙やテレビは「通っていた歌舞伎町の店はどこだ」となったわけですが、歌舞伎町の出会い系バーなんて数百店舗あるのに、各社そろって同じ店に取材に駆け付けたのです。なぜそんなことができたのかといえば、官邸から伝わったからとしか考えられません。そうでなければ、多くの記者が歌舞伎町の出会い系バーを片っ端から走り回って大変なことになっていたでしょう。官邸筋がスキャンダル記事を書かせることで前川さんの“口封じ”を図った。そう考えるのが自然です。
――メディアが権力に迎合して個人攻撃の記事を掲載したとすれば恐ろしい話ですが、メディアの幹部が安倍首相と頻繁に会食していることも背景にあるのでしょうか。
 お義理で、というのか定期的なのか分かりませんが、私はメディアの幹部が安倍首相と会食しても構わないと思っています。問題は食事をしたからといって、それで筆が折れるようではどうしようもないということです。極端な話、安倍首相と毎晩、食事したっていい。ヘトヘトになるまで付き合って、そこで「あなたの本音はどこにあるのか」と徹底的に聞き出せばいいのです。それが、「今度の憲法記念日にはぜひ、総理のお話を載せたい。国会でその記事を熟読して、と言っていただけると大変ありがたい」――ということが仮にあったとすれば、それは単なるなれ合い。政権もメディアもお互いの距離感が分からなくなっているのだと思います。
■取材先のためにもダメな部分を指摘する
――かつての大阪読売社会部「黒田軍団」でスクープ記事を連発した敏腕記者から見て、今のメディアの記者はどう映っていますか。
 メディアが斜陽産業と言われて久しいわけですが、それでも例えば、テレビ局は8000〜9000人が採用試験に応募し、激烈な試験を越えた局員が入社してきます。ところが、何をしたいのかを聞いても答えが返ってきません。つまり、メディアに就職することがゴールになっている。
 我々の世代は、何が何でも新聞記者になって、その次にどんな記者を目指すのか――ばかりを考えていました。就職イコール出発点だったのです。言葉は悪いが、伸びしろのあるバカもたくさんいたわけですが、今はそういう大化けするバカがいなくなりました。ある意味、“完成形”で入社してくるため、社会悪と闘おうという気はないのでしょう。反権力なんて意識はもともと持ち合わせていないのではないかとも思います。
――サツ回り(警察担当)から始まり、その後、官公庁を担当する記者の教育システムが権力寄りの記者を生む、との指摘もあります。
 私は記者生活のほとんどが警察担当でしたが、爪と牙を抜かれて羊のようになったかといえば、そんなことはありません。ある大手紙の記者は「我々は取材先を大事にする。しかし、その取材先が腐っていて、インチキな情報を流したとすれば我々も同じように100%腐ってしまう」と言っていました。コンピューターウイルスの感染と同じようなもので、ダメなことはダメだときちんと指摘する。それが記者と取材先の本来の関係というわけです。取材先が怒るから書かないのではなく、取材先を大事にしているからこそ、書かないといけない。(権力寄りと言われる記者は)それが分かっていない。
――官邸の記者クラブでは、東京新聞の女性記者が菅官房長官に繰り返し厳しい質問をしたためにクラブの記者から注意されたとの話もありました。記者クラブについてはどう考えていますか。
 排他的になっていたり、女性記者の質問を他社が抑えつけたりしていたとすれば、それは記者クラブの問題というよりもクラブ員側の問題だと思います。要するに運用の仕方です。どうも(クラブの置かれた場所の)取材先が便宜を図ってくれているとカン違いしているのではないか。だから(記者発表が予定されている内容を示す)黒板協定を守らなきゃいけないと思っている。しかし、日本新聞協会が認めている唯一の協定は「誘拐報道協定」しかありません。黒板協定なんて守る必要はないのです。
 記者クラブ制度が悪いというより、(取材対象の発言をテキスト文書にまとめる)トリテキが仕事だと思っている記者たちが、今のクラブの在り方で本当にいいのか考えるべきなのです。そして、どんどんオープンにすればいい。フリー記者の厳しい質問で、(今村雅弘復興)大臣のクビが飛んだじゃないですか。トリテキのクラブ員だけの会見だったら、あんなに面白いことは起きませんよ。
――特定秘密保護法、安保法、共謀罪……。いずれも安倍政権が世論を無視して強行採決で成立させた法律ですが、大手メディアは一応、反対の姿勢は取るけれども、アリバイ的というのか、どこか腰が引けていますね。
 今の現有勢力から見れば、法案が委員会審議に付託された段階で通ったも同然です。そういう意味では、抵抗することの意味が記者の間で分からなくなっているのかもしれません。しかし、どうせ通るのだからと考えているのだとしたら、口も目も耳もふさがれたも同然ではないか。
■安倍首相は戦後最悪の宰相
――そこでジャーナリストの鳥越俊太郎氏らと一緒に議員会館や日本記者クラブなどで反対集会を盛んに開いているのですね。
「60年安保」や「70年安保」が今も語り継がれているように、世論に訴えることに意味がある。例えば国民の内心にまで踏み込む共謀罪については、「こんな危ないものを通していいのか」「通った時は大変なことになる」と国民に訴えていかなければならない。危ないということをアピールする必要があるのです。
――あらためてジャーナリズムとは何だと思いますか。
 この仕事を約50年やっていますが、ジャーナリズムが何かというのは今でも分かりません。ただ、あまたある仕事の中で、なぜ記者になったのか、何のためにやっているのかを問い続けるしかないと思っています。安倍首相は戦後最悪の宰相であり、メディアがやるべきことは、「バカが権力を握っている」ということを国民に知らせること。どんな理由があっても、決してなびいていてはならないのです。
(聞き手=本紙・遠山嘉之)
▽おおたに・あきひろ 1945年、東京生まれ。71歳。早大政経学部卒。読売新聞大阪本社入社、徳島支局を経て、大阪本社社会部で府警を担当。朝刊社会面コラム「窓」などを担当し、87年、退社。以降、大阪に事務所を設けてジャーナリズム活動を展開し、テレビ、ラジオにコメンテーターとして出演。「事件記者という生き方」(平凡社)など著書多数。

【日刊ゲンダイ 2017年7月10日

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中国人の邦人虐殺、通州事件を学べ
[Wednesday,January18,2017]

中国人の邦人虐殺、通州事件を学べ
『文藝春秋』元名物編集長の堤堯氏が嘆く。─氏と同年代(70代後半)の日本男児が余りにも歴史を知らないと。
「仙台の中学の同期生、12〜13人の集まりで通州事件を知ってるかと尋ねたら、知っていたのがわずか3〜4人。歴史呆けは若いモンだけじゃない」
詳細は後述するが、通州事件は昭和12(1937)年7月29日払暁に、中国河北省通州で発生した日本人虐殺事件である。日本人を守るべき立場にあった中国人保安隊が一挙に襲いかかり、日本人居留民225名に加えて日本軍守備隊32名の計257 名を尋常ならざる残酷な方法で殺した。
日中戦争のこの重要事件を知らないのは堤氏の友人だけではない。他の多くの日本人も同様ではないか。その理由について、『慟哭の通州 昭和十二年夏の虐殺事件』(飛鳥新社)を 上梓した加藤康男氏が非常に重要なことを指摘している ─ 「日本政府は戦後一貫して事件のことを口にしていない。奇妙なことだが、日中両国政府がこの事件を『なかったこと』にしてしまっているとしか思えない」。
中国への配慮からか、同事件に一切触れない外務省だけでなく、中国政府もこの事件を歴史から消し去ろうとしていると加藤氏が言うのは現地を取材したうえでのことだ。いま事件現場を訪れると、城壁や城門はおろか通州城の面影を示す建物全てが壊されているそうだ。破壊は90年 代に始まり、事件関連の建物の一切合切がすでに消えている。さらに通州は北京市に編入され、副都心化に向けた建設によって昔日の歴史がきれいさっぱり拭い去られようとしている。
「南京や盧溝橋はもとより、滿洲各地にある旧大和ホテルに至るまでが 『対日歴史戦』 の遺跡として宣伝利用されていることを考えると、雲泥の差である。『通州虐殺事件』の痕跡 は極めて都合が悪いので、完膚なきまでに消し去ったものとしか考えられなかった」との氏の直感は恐らく当たっていると思う。
凄惨な目撃談
中国人は長い時間をかけて歴史を書きかえつつあるのだ。彼らは、恐らく人類史上最も残虐な民族である。 だからこそ、日本人を中国人よりも尚残虐な民族に仕立て上げ、免罪符を得ようとしているのではないか。 そのためには、悪魔の所業としか思えない残虐な方法で中国人が日本人を殺害した痕跡の全てを消し去らなければならない。それがいま、通州で起きていることではないか。
通州事件が発生した前年の12月に、 蒋介石が張学良に拘束され、国民党と共産党が抗日で協力する体制が生まれた。西安事件である。国民党軍と共産党軍が対日戦で協力するとはいえ、中国各地には彼らの他に匪賊、馬賊が入りまじって戦う複雑な状況があった。しかし、通州城内は防共自治政府の保安隊(中国人部隊)によって守られているから安全だと信じられていたと、加藤氏は説明する。事件発生当時、邦人の安全を担う日本側の警備隊は用務員、小使らを加えても163名が全てだった。対する中国人保安隊は城内に3300 名、城外に2500名がいた。
この勢力が29日午前3時すぎ、一挙に日本人を襲い始めた。悪魔の所業は加藤氏の『慟哭の通州』もしくは今年出版されたもう1冊の本、『通州事件 目撃者の証言』(藤岡信勝編著・自由社)に詳しい。
中国人は日本人の目を抉り取り、 腹部を切り裂いて10b以上も腸を引っ張り出した。女性を犯したうえで無残に殺した。何人もの日本人を生きたまま針金で掌を貫いてつなぎ、 なぶり殺しにした。日本人の遺体は全て蓮池に放り込まれ、池は真っ赤に染まった。こうして書いていると息が苦しくなる。日本人には信じ難い地獄を、中国人は実際に次から次へとやってのけた。なぜこんなことが分かるか。 夫が中国人で通州に住んでいた佐々木テンさんが事件の一部始終を目撃していたのだ。佐々木さんはその後、夫と別れて、昭和15年に日本に戻った。50年後、彼女は佐賀県基山町の因通寺住職、調寛雅氏に凄惨な目撃体験について語り始めた。それがいま、前述の『慟哭の通州』と『通州事件』につながっているのだ。当時の歴史を振りかえると中国側が如何に対日戦争に向かって走っていたかがよく分かる。戦争をしたかったのは中国であり、日本ではなかった。このことは立命館大学の北村稔教授が林思雲氏と共著で出版した『日中戦争─戦争を望んだ中国望まなかった日本』 (PHP研究所)にも詳しい。
加藤氏も中国人の好戦性を書いている。昭和12年7月7日夜、北京郊外で勃発した盧溝橋事件は、国民党の宋哲元軍長麾下の第29軍が日本軍に発砲したことが契機である。日本政府はいち早く事件の不拡大を決定したが、中国側の挑発は続いた。10 日には中国人斥候が日本軍将校を銃撃、13日には日本軍のトラックが爆破され、4名が死亡する「大紅門事件」が起きた。
反撃の材料
25日には北京郊外の駅、郎坊で軍用電線が中国側に切断され、修理に向かった日本軍の補修隊が迫撃砲による砲撃を含む激しい攻撃を受けた。ここに到って日本側は先に閣議決定 しながら実施せずにいた派兵を実行することになったのだ。こうした歴史を日本人は余りにも知らない。意識しない。中国の歴史捏造に反論しないのは、そもそも、このような歴史を知らないからだ。
堤氏が語る。「岩波の『近代日本総合年表』は、世界の歴史を1日刻みで輪切りにして書いていますが、僕の手元にある版には通州事件が載ってない。これはおかしいと、岩波に問うたら、通州事件を加える必要を認めない、要は編集権の問題だというのです。ただ、その後に出版されたものには通州事件も入っていた。僕の抗議が功を奏したのかもしれませんね」 中国が歴史を捏造し、日本に酷い非難を浴びせでも、外務省は反撃しない。反撃の材料のひとつである通州事件にも、加藤氏が指摘するように一度も言及していない。学校でも通州事件を含めて歴史そのものを余り教えない。この奇妙な知的無関心の中で、通州事件は、中国の企むように忘れ去られていくのか。断じて、そんなことは許されないだろう。 私たちはもっと先人たちの思いや 体験に心を致すべきだ。日本を作ってきた先人たちの努力や誠実さを知るべきだ。日本人の歩みを知らない ことによって歴史の真実から遠ざかり、日本悪玉論を軸とする中国の歴史の見方に自ら転げ落ちてはなるまい。加藤氏の『慟哭の通州』と藤岡氏の『通州事件』を、日本人なら、いまこそ読むように強く勧めたい。

櫻井よしこ 20161117日号週刊新潮

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都政を食い物にした石原慎太郎氏 都知事時代の“黒歴史”
[Monday,October10,2016]

豊洲市場の「盛り土」をめぐり、「調査に協力したい」と口にしていたくせに、一転してヒアリングを拒否した石原慎太郎氏(84)。さすがに小池百合子都知事(64)も「あら、そうですか」と言うわけにいかず、質問書を送り付けている。さんざん都政を私物化し、食い物にしておきながら逃げ切ろうなんて許されるはずがない。慎太郎氏は知事時代、巨額の税金を浪費していたのだ。
 そもそも、舛添前知事時代に大問題になった海外豪華出張の先鞭をつけたのも石原氏だ。任期13年中、海外出張に出かけたのは34回、計201日に上る。都庁には週2、3回しか顔を出さなかったのに、外遊は4カ月に1回のペースだった(別表参照)。最高額は12人で連れ立った11泊12日のベルリン、ワルシャワ、クラクフ周遊。約4811万円も費やしていた。詳細が判明している30回分の平均は1681万8636円、計約5億455万円に達した。
 ツルの一声で2001年に始めたトーキョーワンダーサイト(TWS)では、芸術家として目立った受賞歴もない四男を「余人をもって替えがたい」と重用。外部役員を務めさせ、都の予算を注ぎ込んだ。初年度は約5600万円だったのが、5年後には8倍近い約4億4209万円に膨れ上がった。身内を優遇する事業に約7億2200万円も突っ込んでいたのだから、開いた口が塞がらない。
 猛反対を押し切って設立した「新銀行東京」はすぐに傾いて出資金1000億円がパー。追加で500億円も血税を回すハメになった。
 豊洲市場の移転も、盛り土問題も、石原時代に決まったことだ。知っていることは洗いざらい話すのが筋だろう。

【日刊ゲンダイ2016年10月9日】

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「日本人は教養不足」「習近平を見習え」鳩山由紀夫訪韓妄言録
[Thursday,January14,2016]

「学生を中心に、学者や一般市民も来ていました。鳩山氏は、韓国では“良心派” として人気が高い。2、3百人が入る大講堂は満席でした」(現地記者)
日本中の度肝を抜いた“土下座外交”から3ケ月鳩山首相元首相(68)が、また韓国を訪れた。
3年半ぶりの日韓首脳会談直後の11月5日、鳩山氏が講義を行ったのは名門・ソウル大学。
「テーマは『日韓国交正常化50年に日韓関係を再び見つめなおす』でしたが、依頼した韓国側の思惑通り、内容は安倍政権批判のオンパレード。相変わらずの外交センスの無さを発揮しました」(同前)
冒頭、これまでに天皇陛下が韓国の歴代大統領に話された内容を紹介。
94年の晩餐会で、陛下が金泳三大統領に「過去の歴史に対する深い反省の上に立って」と謝罪したことに触れると、暴走が始まった。翌年の村山談話について、「天皇陛下の気持ち更に具体的に表現して、日本の進むべき道を示したものとして評価をすべき」と、勝手に天皇陛下のお気持ちを代弁。
一方、8月に発表された安倍談話については、「侵略の過去をお詫びする形にはなっていない」「安倍首相は自らを愛国者とはき違えているのでしょうが、自信のなさの裏返し」仕舞には「このような内容になってしまったことを申し訳なく思う」と、得意の謝罪外交を展開した。さらには中国脅威論を煽る安倍首相に対して、中国の習近平主席は30万人の丙両区削減を表明したとして、「(習氏を)見習うべきではないかと、提言。まさか中国の二枚舌外交を見習うべきということでもあるまい。
8月には、ソウルの西大門刑務所跡地で慰霊碑にひざまずいて謝罪した鳩山氏。
当時、国内で、“土下座外交”と批判されたのを意識したのか、
「政治エリート層に反知性主義が蔓延している.反知性主義と戦うために、日本人一人ひとりの教養を高めることが求められている」と、日本人批判も忘れなかった。
そのほか、TPP批判や自身が提唱する「東アジア共同体」の必要性など、70分に渡って熱弁。韓国メディアは多数取材に来ていたという。
「土下座外交は安倍談話の直前、今回は日韓首脳会談の直後。韓国にとって、鳩山さんは便利な存在になっています」(政治部デスク)
鳩山氏周辺が語る。「8月に帰国した後『土下座はまずいんじゃないですか』というと『あれは、作法だから』と悪びれた様子は一切なかった。鳩山さんはいい人。今も彼を人間的に慕う人は多いですが、政治的には誰も何も言えない状況です」
今回の発言を報じた新聞は産経のみ。もはや各紙「発言内容のメモさえ回らない」(政治部記者)状況で、外務省も完全無視の方針だという。韓国での発言の真意を聞こうと鳩山氏に電話すると、「ちゃんと正確な記事を書いて頂けるならいいですけど、また批判的な話にもっていかれるんじゃないかと思うmpのですから。私が直接応じると問題になりますので、事務所に連絡してください」
外交にもこれくらい慎重になった方がいいのでは?

【週刊文春平成27年11月19日号】

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これが本当の「土下座外交」
[Wednesday,November18,2015]

2010年の首相退陣後、尖閣問題やクリミア併合などにおいて独自の“暴走外交”を繰り返してきた鳩山由紀夫氏(68)。今度の舞台は韓国だった。
8月12日、日本の植民地時代に独立運動家を収監したソウル・西大門刑務所の跡地。鳩山氏は追悼碑の前でひざまずき、、恭しく頭を下げて謝罪に意を示した。その格好はまさに土下座そのもの。終戦記念日を目前にしての身勝手な振る舞いに日本中から非難の声が上がった。
しかし、当の本人はどこ吹く風。「(お詫びの)表現は、傷ついた国々の国民が『やめてもよい』と言う時期が来るまで続けなければ」と語る始末なのだ。
京都大学名誉教授の中西輝政氏が痛烈に批判する。
「日本人なら鳩山さんがネジの外れた人間だとわかっていますが、諸外国から見たら元首相。行動を慎むべきです。タイミングや場所から、政治的意図が感じられるし、実際に韓国も報道で利用している。明確に国益を損なっています。日本にはない法律ですが、他国なら「国家反逆罪」にあたるレベルです」
“宇宙人”と呼ばれるだけあって日本語の批判は届かぬようだが、せめてテレパシーで国民感情を察していただきたいものだ。

【週刊文春2015年8月27日号】

【追記】民主党政権の3年間が失敗し、国民から手厳しく審判が下されたことの理由として「政権担当能力が欠如していた」という。これを当人風に解釈すれば、曰く、「初めての政権交代で・・・」とか「初めての官邸で官僚らとの折衝に不慣れで・・・」などと抗弁する。が、考えてみれば「初めては」理由にならない。初めてだから、が失敗の言い訳として通用するのは童貞の性交渉だけだ。『<特集>愚者の大行進 古谷経衡』より。

【新潮45 2015年10月号】

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原発交付金、再稼働なくても減額せず・・・政府方針
[Sunday,May5, 2012]

政府は、原子力発電所の立地市町村に支払っている電源立地地域対策交付金を、原発が再稼働しない場合でも減額しない方針を決めた。
同交付金の一部は原発の発電量実績に応じて支払われるため、再稼働できないと大幅な減額になり、立地市町村の財政悪化につながる可能性がある。こうした事態を避けることで、地元に再稼働への理解を得る狙いがあるとみられる。
対象となるのは、同交付金の中の「原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金相当部分」で、原発が発電した量に応じ、その2年後に交付金として支払われる。
ただ、安全上の理由で原発を動かさない場合は、「最大81%分の発電量実績があった」と見なして交付金を支払うとする“みなし規定”がある。政府は、昨年3月の東京電力福島第一原発事故以降の一連の再稼働の遅れは、みなし規定に該当すると判断しており、全国の商業原発50基すべてが対象となる見通しだ。

(5月5日 読売新聞)

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「新・東京裁判」再読(阿川弘之)
[Thursday,April9, 2009]

本誌(2008年10月、文藝春秋)の「新・東京裁判」は中々読み応へある座談会であった。・・・その中から防衛大学校教授戸部良一氏の発言を一部引用する。
「私が東京裁判について感じるのは『負けたらこうした仕打ちを受けるのだ』ということです。当たり前のことですが、やはり負けてはいけないし、負けるような戦争をしてはならない」
まさに仰せの通り。それじゃ日本は、いつ何処で「負けるような戦争を始め」る方向へ踏み込んで行ったのか、振り返ってみれば結局、満州事変がそもそもの発端といふことになるだろう。・・・・事変は昭和6年の9月に起った。・・・その影響は21世紀のこんにちにまで及んでゐる。「あの鉄路爆破爆破こそ現場の暴走、下克上の最たるもの」と、半藤老探偵(半藤一利)が史実に基づいて指弾するのに対し、戸部教授は謀略に関与した主要人物の実名を挙げる。関東軍参謀石原莞爾中佐と石原の上司板垣征四郎大佐、彼らの企図をあらかじめ察知し得たはずなのに敢えて制止しようとしなかった関東軍指令官本庄繁中将、その要請に応じて、天皇の御裁可を得ないまま兵を満州領内へ進め、「越境将軍」ともてはやされた朝鮮軍指令官林銑十郎大将、以上4名。
「これは大元帥である天皇に対する命令違反にほかなりません。林も石原も、本来なら陸軍刑法で処罰されてしかるべきでした。これが処罰されないどころか、喝采と栄誉をもって受け入れられた(語句の一部省略)」
謀略で始まったくさの後始末が不適切で、罰すべき人物をきちんと罰しなかった結果は、国家のことなど二の次、支那事変の泥沼化から対米開戦、ミッドウェイ以後の敗戦に次ぐ敗戦、ソ聯の裏切りによる満州の惨状に至るまで13,4年間、国民に災厄を与へ続けるのです。
今年は極東軍事裁判の判決が出てから丁度60年、・・・・・それに気づいて私は2ケ月前の「文藝春秋」を取り出し、「新・東京裁判」を読み直しにかかったのだが自分流にあれこれ考へながら座談会記事を再読してゐるうち、・・・別の話が一つ頭に浮かんで来た。勝海舟晩年の片言隻語である。うろ覚えなので、巌本善治編「新訂海舟座談」(岩波文庫)を操ってみたら、勝が、「ナニ、忠義の士というものがあって、国をつぶすのだ」と言ひ、「国というものは、けっして人が取はしない。内からつぶして、西洋人に遣るのだ」と言ってゐた。
私は東京裁判を「復讐の儀式」と規定する半藤利一説に大賛成で、あれを国際正義の顕現、原告は文明などと肯定的に見る気は全く持ち合せない。しかし、市谷の法廷で裁かれたA級被告の中に、日本の国を内からつぶしてアメリカに渡してしまった「忠義の士」がかなり大勢混ってゐるのも亦否定しがたい事実であろう。その戦時中の言動を回顧すれば、彼らを今、復讐劇の犠牲者としてのみ遇することにはためらひを覚える。
偶々「海舟座談」を思ひ出したのがきっかけで、私はそんな風に考えた。まとまった所見ではないけれど、あの戦争とあの裁判とを私なりに考え改めてみることが出来て、それだけでも「新・東京裁判」再読の意義はあった。これを企画した編集スタッフと、半藤戸部両氏含めて6人の出席者に、おくればせながら謝意を表したい。

(文藝春秋、2008年12月号、「葭の髄から・140」より)

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原爆投下「しょうがない」久間発言
[Monday,July2, 2007]

久間防衛相が30日、米国の原爆投下に関し「しょうがない」と発言したことに対し、広島県被団協(坪井直理事長)の畠山裕子事務局次長(68)は「原爆で亡くなった人々は仕方なく死んだのか。被爆者の気持ちが日本政府に伝わっていなかったと思うと、悲しくて言葉が出ない」と述べた。
こうした声を受けて社民党の福島党首は久間防衛相の辞任を求める談話を発表した。
民主党の菅代表代行も島根県出雲市で、国民新党の亀井久興幹事長と共に記者会見し、「防衛相として全くふさわしくない」と述べた。
これに対し、自民党の中川幹事長は遊説先の奈良市内などで、記者団に、「原爆投下とソ連参戦の関係などは、歴史観の問題で、一個人の意見だ。久間氏も(補足の)コメントをしたようなので、これで誤解が解けると思う」と述べた。

(2007年7月1日 読売新聞)

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「従軍慰安婦」を米誌に‘広報した’安倍政権広報マン
[Thursday,May3, 2007]

従軍慰安婦問題で安倍首相への批判が世界に広がっている。・・・・・それにしてもなぜ今従軍慰安婦問題米マスコミで大きく取り上げられるのか。実は火付け役がいる。安倍首相の広報担当補佐官、世耕弘成氏だ。世耕氏が訪米したのは2月19日。米下院で提案されている「従軍慰安婦に関する対日謝罪決議案」について、「安倍首相の真意を説明に行く」と官邸関係者に大見得を切って出発した。しかし、「世耕氏の行動はピントはずれ」下院は祝日のため1週間休会、議員たちは地元に戻っていた。それを知っていて、世耕氏は訪米したのです。結局、ファーストクラスでの訪米で官費を200万円以上浪費しながら、一人の議員にも会えなかった」(官邸関係者)
何とか会えたのが、国務省のスティーブンス次官補代理。ヒル次官補の部下だ。「こんな下のランクの役人にわざわざ会いに来る国会議員なんていません。しかも、スティーブンス氏は慰安婦問題自体を知らなかった。それで、逆に『大変な問題だ』と思われてしまうのです」(同前)
さらに世耕氏の行動は裏目に出る。彼は騒ぎの発端となったニューヨーク・タイムズをはじめ三大TVネットワークなど大手マスコミをまわったのだ。在米記者の話。
「慰安婦問題は下院で何度も提案されている人権問題のひとつにすぎず、誰も関心がなかった。それをわざわざ首相補佐官が各マスコミをまわるものだから、寝た子を起こしたのです。そもそも法的拘束力のない決議案なので放っておけばよかったんです」
帰国後、世耕氏は安倍首相に「トータルで60人に会いました」と報告。しかし、説得すべき議員には一人も会わなかったことはひた隠し。最近は記者たちに、「訪米中、慰安婦の問題は一切話してない」とウソをついている。
官邸記者が嘆く。「補佐官を5人も起用したものの、みんな仕事がない。だからこんな事態が起きる」「広報のプロ」を自任する世耕氏の真価が問われる。

(週刊文春、3月22日号「THIS WEEK」より)

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