どうなってるの?

トップページへ戻る

《目次》
東海第二の広域避難計画案 不安、疑問 訴え相次ぐ
中国包囲失敗し…ロシアまで怒らせる安倍外交の支離滅裂
「北朝鮮暴発の危機」は中国のシナリオだった?
ユニセフが重大懸念 日本の子供貧困は安倍政権で加速する
(必読)NHKが知る権利に応えているのか 受信料義務化判決の仰天
問われる「国権の最高機関」 国会日数、過去20年で最少
森友疑惑潰しと増税の裏取引か 怪しい財務省と安倍政権
庶民の年金はカットして…自民党「議員年金」復活を画策
トランプがむさぼる8兆円 安倍政権“大盤振る舞い”の代償
賃金を犠牲にして空前の企業利益 好況大報道のドッチラケ
物価上昇率またも下方修正 黒田日銀“緩和継続”の支離滅裂
報酬は8年で2億円 「商工中金」天下り役人たちのデタラメ
森友6億円値引きでも逮捕者なし 悪党がのさばる無法国家
長谷部恭男教授が指摘 目的が分からない安倍首相は不気味
安倍政権存続こそ国難だ 野党は悪魔とでも組む覚悟が必要
国民感情を逆撫で 日本を壊した4首相のバカ笑い別荘写真
大谷昭宏氏「バカが権力を握っている」と報ずるべきだ
読売新聞は権力に魂を売って官邸の下足番に成り下がった
(必読)中国人の邦人虐殺、通州事件を学べ
都政を食い物にした石原慎太郎氏 都知事時代の“黒歴史”
「日本人は教養不足」「習近平を見習え」鳩山由紀夫訪韓妄言録
これが本当の「土下座外交」
「新・東京裁判」再読(阿川弘之)
原爆投下「しょうがない」久間発言
「従軍慰安婦」を米誌に‘広報した’安倍政権広報マン


東海第二の広域避難計画案 不安、疑問 訴え相次ぐ
[Friday,January19,2018]

 東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発で放射能漏れの事故が起きたときに備えた避難計画案について、日立市は住民向けの説明会を開始した。市は住民の意見を反映させ、年度内に計画の策定を目指す。案では全市民約十八万三千人が、福島県に避難する。だが、住民からは「知らない道を走るのは怖い」など不安の声があがった。 (山下葉月)
 市は、市南部の一部が原発から五キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)にかかり、それ以外の地域も原発から約三十キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に入る。三十キロ圏の自治体には広域避難計画の策定が義務付けられている。
 計画案によると、住民は二十三の地区ごとに移動。マイカーでの避難が基本で、常磐自動車道などを使い福島県内の十七市町村へ向かう。最初に目指す避難中継所を経て、公民館などの避難先に向かう。
 初回の説明会が十六日夜、PAZ内にある市久慈交流センターで開かれ、約六十人が参加した。
 質疑で、高齢の女性は「知らない道を運転するのが怖い。途中でガソリン不足になったらどうしたらいいのか」と不安を口にした。別の男性は「風向きを考え、別の避難場所も確保すべきだ」と訴えた。
 説明会に参加した地元の住民団体役員の阿久津邦雄さん(69)は昨年八月、仲間とともにバスに乗り、避難先を見学したという。有事でなくても時間がかかったため「高速が使えなくなったらどうなるのか」と疑問視する。
 また、東京電力福島第一原発事故が収束しておらず、福島県内にはいまだに生活再建ができていない避難者がいることに触れ、「福島への避難は現実的ではないのでは」と話した。
 説明会は来月二十二日まで全二十三地区で開く。

【東京新聞2018年1月18日

このページのはじめに戻る

トップページへ戻る


中国包囲失敗し…ロシアまで怒らせる安倍外交の支離滅裂
[Wednesday,January17,2018]

首相として初のバルト3国と東欧3カ国を歴訪している安倍首相。北の脅威を訴えることが各国訪問の目的だが、隠れたもうひとつの狙いは、相変わらずの中国包囲網だという。しかし、中国包囲網は完全に失敗。しかも、ロシアまで激怒させている。一体、何をしに遠くまで出かけていったのか。
■国益を損なう欧州6カ国訪問
 安倍首相の6カ国訪問の狙いが、中国包囲網にあるのはミエミエだ。外務省関係者がこう言う。
「習近平政権が推進する一帯一路構想の『一帯』とは、中国―中央アジア―欧州を結ぶシルクロード経済帯です。今回、安倍首相が訪ねるバルト3国と東欧3カ国は、ちょうど欧州への入り口の国々。すでに中国は、この6カ国と経済的な関係強化を進めています。安倍首相の訪問が中国を意識したものなのは間違いありません。実際、安倍首相は各首脳と法の支配を含む基本的価値観の確認をし、中国を牽制しています。しかし各国は、ほとんど反応していません。彼らにとっても中国は大事な国ですからね」
政権が発足して5年。安倍首相は「地球儀を俯瞰する外交」と称して中国包囲網の構築に執着してきた。だが、まったく実を結んでいない。それどころか、世界各国はどんどん中国に近づいている。
 昨年5月の「一帯一路」の初の国際会議には130カ国以上の代表が出席。日本が参加を見送っている中国主導の「AIIB」(アジアインフラ投資銀行)には、英仏独のほか、ロシア、韓国、オーストラリアなど84カ国が参加表明。今後、米国の参加も取り沙汰される始末だ。包囲されているのは安倍首相の方。元外交官の天木直人氏が言う。
「安倍外交は支離滅裂です。安倍首相は年初に、今年中の日中関係改善に意欲を示し、一帯一路も協力姿勢に転じています。にもかかわらず、今回の訪問は少なからず中国を刺激したはずです。中国と対立するより、取り込んだ方がよほど国益にかないます。何が国益なのか、戦略的に外交をやっていないから、支離滅裂になってしまうのです」
安倍外交がバカ丸出しなのは、今回の6カ国訪問が、ロシアのプーチンまで激怒させてしまうことだ。
 もともとバルト3国は、ソ連に併合された過去を持ち、反ロ感情が根強い。
 その上、最近ではロシアのクリミア半島併合の際、展開したNATO軍の拠点となった。ロシアにとっては極めてデリケートな国々なのだ。
 案の定、エストニアのラタス首相がウクライナ問題をめぐる対ロ制裁に触れ、安倍首相はG7との連帯維持を表明せざるを得なかった。プーチンは面白くないはずだ。
「ロシアを刺激したのは間違いありません。北方領土解決にも影響が出るでしょう。果たして安倍首相は国益を考えているのか。地球儀を眺めて、遊びにいっているような感覚なのではないでしょうか。ロシアと対立する国への訪問がどういう意味を持つのか分かっていないのでしょう。今回も『首相として初の6カ国訪問』と騒がれて、喜んでいるだけに見えます」(天木直人氏)
 安倍外交でどんどん国益が損なわれる。

【日刊ゲンダイ 2018年1月16日

このページのはじめに戻る

トップページへ戻る


深まる安倍首相の孤立 トランプ「北と対話用意」の本気度
[Wednesday,January17,2018]

南北閣僚級会談をめぐり、トランプ米大統領が前のめり発言を連発している。韓国の文在寅大統領との電話協議で「南北間の対話が行われている間はいかなる軍事的行動もない」と言及。「適切な時期と条件下での対話の扉は開いている」と米朝対話への用意とヤル気を示したという。核・ミサイル開発に猛進する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と小バカにし、挑発を繰り返してきたのがウソのようだ。手のひら返しの裏には、姑息な計算が見え隠れする。
■“歴史的偉業”でロシアゲート封殺
 大統領選でのロシアとの共謀が疑われるロシアゲート疑惑は、政権のアキレス腱だ。モラー特別検察官が主導する捜査は長男のジュニア氏や娘婿のクシュナー大統領上級顧問に迫り、トランプ本人への直接聴取が取り沙汰され、米国民の不信はますます高まっている。世間の関心をそらし、疑惑にどうフタをするか。トランプの頭の中は、それでいっぱいだ。
「昨年末にエルサレムをイスラエルの首都と認定すると発表したのも、ロシアゲート隠しが狙いです。国際社会の反発を横目に北朝鮮の脅威を煽り軍事行動をチラつかせ続けていたのも、同じ流れだったのです。その一方で、北朝鮮と緊密なロシアが、昨年秋あたりから米朝対話の仲介に本腰を入れ、平昌五輪とロシア大統領選を終えた来春をメドにトップ会談がまとまりそうな気配が出てきた。それが実現すれば、軍事衝突危機から一転、電撃融和への道筋も見えてくる。国際社会も歓迎するでしょう。そうなれば、歴史的偉業の立役者となり、ロシアゲートは吹き飛ばせる。トランプ大統領が毛嫌いするオバマ前大統領が進めた『戦略的忍耐』も全否定できる。どうやらそう読んでいるようなのです」(外交事情通)
 南北会談以降、トランプは確かにイケイケ。ロシアゲートをめぐる直接聴取についても「共謀はなく、誰もいかなるレベルの共謀も見つけていない。事情聴取を受けることはありそうもない」と牽制。勝算があると踏んでいるからだろう。
こうなってくると、「日米は100%ともにある」「最大限の圧力で一致」などと拳を振り回してきた安倍首相は、いい面の皮だ。
 12日からの欧州歴訪は、対北包囲網の強化が狙いだというからズレている。バルト3国とブルガリア、セルビア、ルーマニアをめぐるが、そもそも最初に訪問するエストニアを除く5カ国は北朝鮮と国交がある。
 このタイミングで、安倍首相の話に耳を傾ける首脳がどれほどいるだろうか。追い打ちをかけるように、韓国は慰安婦問題に関する日韓合意を事実上、反故にした。
「安倍首相は対抗措置とばかりに韓国が要請する平昌五輪開会式の出席を拒んでいるようですが、いつまで突っ張っていられるか。9月の自民党総裁選で3選を狙う安倍首相は東京五輪でホストを務めるつもりでしょうが、平昌五輪を足蹴にすれば、東京五輪に韓国大統領が出席することはまずない。文在寅大統領の任期は2022年までです」(朝鮮半島情勢に詳しい国際ジャーナリストの太刀川正樹氏)
 この間、「米国第一」を叫ぶトランプは北朝鮮危機をセールストークに、日韓に米国製武器を大量に売りつけた。シメシメといったところだろう。かたやトランプの威を借りて対立をたきつけてきた安倍首相の孤立は深まっている。

【日刊ゲンダイ 2018年1月13日

このページのはじめに戻る

トップページへ戻る


「北朝鮮暴発の危機」は中国のシナリオだった?
[Sturday,December29,2017]

トランプ大統領は政権発足当初、大統領選挙期間中に公言してきた「対中強硬姿勢」を実現させる布陣を敷いた。反中的立場を鮮明にしていたバノン主席戦略官、中国警戒論者であるナヴァロ国家通商会議議長、それにティラーソン国務長官も「中国による南シナ海への軍事的進出は、物理的手段を用いてでも阻止する」と公言して憚からなかった。
 そこで、中国指導部がトランプ政権の“中国強硬姿勢”を切り崩すための秘策として繰り出したのが「北朝鮮暴発の危機」シナリオであると、対中強硬派の米軍情報関係者たちの多くが考えている。

中国軍と北朝鮮軍は通じている

 たしかに中国政府は、トランプ政権の要請や国連の決議などに対して、対北朝鮮制裁を実施する姿勢を示してはいる。しかしながら米軍情報関係者たちは、瀋陽の中国人民解放軍関連施設内に北朝鮮軍諜報機関の中枢が設置されていることを確認している。となれば、中国と北朝鮮の軍事的繋がりは依然として健在であり、中国政府による「対北朝鮮制裁」の動きが茶番に近いものであると考えるのは当然といえよう。
 要するに米軍情報関係者たちは、「中国側は、北朝鮮による対米攻撃能力を備えた核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成を加速させ、トランプ政権による東アジア方面での軍事的脅威の関心を中国から北朝鮮に向けさせるように画策している」と考えているのだ。
 実際に、習近平国家主席のアメリカ訪問と前後して、北朝鮮によるICBM完成のためのミサイル試射が始められた。そして、米中首脳会談での軍事外交問題における最重要議題の1つとなるものと考えられていた「南シナ海への中国の膨張主義的進出問題」は、「北朝鮮のICBM開発問題」に取って代わられてしまった。

「ポーズ」に過ぎないFONOP

 アメリカ側としては、北朝鮮のICBM開発を外交的に抑制するためには、中国による影響力の行使を期待せざるを得ない。そのため、中国に対して南シナ海や台湾それに東シナ海などに関して強硬な外交的・軍事的姿勢を示すわけにはいかなくなってしまったのだ。
 とはいっても、トランプ政権としては、大統領選挙期間中や政権スタート直後に唱えていた「南シナ海での中国による軍事的拡張行動を強力な手段を用いてでも牽制する」とういう公言を、フィリピンや日本などの同盟国の手前、即刻引っ込めるわけにもいかない。そこで、オバマ政権下で“形式的な対中圧力”として実施されていた「南シナ海での公海航行自由原則維持のための作戦」(以下「FONOP」)を、およそ7カ月ぶりに5月25日から開始した。7
 しかし、その内容は控えめなレベルに留まっている。実施ペースも、12月25日現在までの7カ月間に5回とオバマ政権時代の2倍になったとはいえ、米海軍の対中国強硬派が考えていたペースにははるかに達さないレベルである。要するに、オバマ政権同様に、トランプ政権も同盟諸国に対して「対中圧力をかけている」というアリバイを示すために、形式的なFONOPを実施しているに過ぎないのだ。

事故多発で自滅した米海軍

 そのうえ、8月にFONOPを実施した米太平洋艦隊ミサイル駆逐艦ジョン・S・マケインが、FONOP終了直後にシンガポール沖で民間タンカーと衝突事故を起こし(8月21日)大破したうえ10名の乗組員が犠牲となり戦列を離脱してしまった。
 この事故の2カ月ほど前の6月17日には、同じく米太平洋艦隊ミサイル駆逐艦フィッツジェラルドが伊豆沖で民間コンテナ船と衝突事故を起こして大破し、7名の乗組員の命を失った。アメリカ本土に持ち帰って大修理をするため1年以上戦列から離れなければならず、莫大な額にのぼる修理関係費用も必要となってしまった。

 これらの大事故に加えて、トランプ政権発足直後の1月31日には、以前にFONOPに参加したこともある米太平洋艦隊ミサイル巡洋艦アンティータムが横須賀沖で座礁事故を起こした。また5月9日には北朝鮮の弾道ミサイル発射に備えるため日本海に進出していた米太平洋艦隊ミサイル駆逐艦レーク・シャンプレインが小型民間船と衝突事故を起こしている。 4件続いた軍艦の事故に加えて、11月22日には、北朝鮮を威圧するため日本海に派遣された米太平洋艦隊空母ロナルドレーガンから発艦した輸送機が墜落して、3名の搭乗員が行方不明となってしまった。

 このように、2017年にアメリカ海軍は東アジア海域で事故を頻発させて、何ら戦闘を行うことなく20名もの海軍将兵を喪失し、2隻の駆逐艦を戦列から離れさせてしまったのである。 こんな有様では、中国海軍に「アメリカ海軍がうろつくだけで、民間船をも危険な目に遭わせてしまう。とっとと東アジア海域から出ていけ」との暴言を吐かせるまでもなく、中国海軍に対する威嚇力が急激に低下していることは疑いの余地がない。
 米海軍などの対中強硬派が類推しているように、中国指導部が裏で何らかの画策をしているのかどうかは定かではない。だが、トランプ政権が上記のように、中国の軍事的脅威に対する強硬姿勢を固める動きを引っ込めて、北朝鮮に焦点を絞り込むに至ったことは事実である。そして、米海軍太平洋艦隊が自ら引き起こした重大事故により、海軍の対中威嚇力は大きく鈍化してしまった。 さらに中国にとって願ってもないことが実現した。対中強硬姿勢で中国側にとっては“目の上のたんこぶ”的存在であった米太平洋軍司令官ハリス海軍大将が間もなく転出するのに加えて、ハリス司令官の後任と目されていた太平洋艦隊司令官スウィフト海軍大将が、一連の事故の詰め腹を切らされ早期退役に追い込まれてしまったのだ。スウィフト海軍大将は中国海軍にとってはやはり難敵であり、米海軍対中強硬派にとっては希望の星であった。 現時点で、ハリス大将とスウィフト大将の後任に、中国に対して断固たる姿勢を貫く強力な海軍将官が着任する見込みはないと言われている。まさに、中国海軍にとっては笑いが止まらない状況だ。

「輿論戦」でも勝利する中国

 中国の南シナ海への膨張主義的海洋侵出にとって追い風となっているのは、北朝鮮ICBM開発危機とアメリカ海軍の自滅的退潮だけではない。トランプ政権やアメリカのメディアに加え、日本政府や日本のメディアも南シナ海問題には全くと言って良いほど関心を示していない、という傾向である 中国が南シナ海を軍事的に支配してしまっても直接アメリカにとっての軍事的脅威とはならないため、南シナ海問題に対するアメリカの世論の関心は盛り上がりを欠いていた。しかし、日本政府やメディアの対応はアメリカと異なって然るべきである。日本は経済の生命線ともいえるシーレーンが南シナ海を縦貫しているという地政学的条件を抱えている。そして、中国の海洋膨張戦略の次の矛先は東シナ海なのだ。
 そもそも、北朝鮮のICBMは日本攻撃用の兵器ではない。また、北朝鮮軍が保有する100基あるいは200基以上ともいわれる日本攻撃用弾道ミサイルが日本に対して発射されるのは、アメリカが北朝鮮を軍事攻撃した場合に限定される。ところが、日本政府や多くのメディアは、中国の軍事的脅威には目を背けて、もっぱら北朝鮮のICBM問題にのみ関心を集中させている。
 まさに、中国指導部の思惑どおり──それ以上に、中国による膨張主義的海洋侵出からアメリカや日本の目をそらせることに成功したという、中国にとっての戦略的成功を収めたのが2017年であった。

【日刊ゲンダイ 2018年1月7日

このページのはじめに戻る

トップページへ戻る


ユニセフが重大懸念 日本の子供貧困は安倍政権で加速
[
Tuesday,December19,2017]

全国各地の街頭で見られるユニセフ(国連児童基金)募金への呼びかけ。途上国の貧困にあえぐ子供たちを助けたい――と、募金する人も多いだろうが、今や日本が途上国への転落危機にある。訪日したユニセフのレーク事務局長がNHKの取材に対し、「日本のおよそ16%の子供が深刻な貧困状態にある。豊かな社会において子供が飢えや格差に苦しむことがあってはならない」など懸念を示したのだ。
 世界の子供の貧困問題に関わっているユニセフ事務局長の指摘だけに衝撃だ。日本の子供の貧困は「途上国並み」と断じられたのに等しい。
「子供の貧困対策」は安倍政権の“看板政策”だったはずだ。安倍首相も国会で〈子供の貧困対策は未来への投資であり、国を挙げて推進していきます。(略)ひとり親家庭・多子世帯等自立支援プロジェクトを決定し、(略)子供の貧困対策を大幅に拡充することとしたところでございます〉(16年1月21日の参院決算委員会)、〈子供たちの未来が、家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。経済的にもさまざまな困難を抱えているひとり親家庭や子供の多い世帯には、きめ細かな支援が必要です。(略)子供の貧困対策に全力で取り組んでまいります〉(16年9月27日の衆院本会議)と言っていたが、ナ〜ンもしていなかったのだ。
それだけじゃない。国はさらなる子供の貧困イジメを画策している。厚労省が最終調整に入った、生活保護費の減額だ。原案では、減額幅は5%になる見通しで、40代の親と小・中学生の2人の子がいる世帯の場合、約1万円減額されるという。ひとり親世帯の母子加算も減額される見通しだから、子供の貧困をなくすどころか、〈国を挙げて〉拡大させるつもりだ。
■海外には大盤振る舞い
 許せないのは、そうやって子供の貧困イジメをする一方、海外には気前よくカネをバラまいていることだ。安倍首相は14日、都内で開かれた国際会議「UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)フォーラム2017」で、医療費負担で貧困に陥る人などのために、政府として約29億ドル(約3300億円)規模の支援を行うとブチ上げた。自国の子供の貧困対策はホッタラカシで、海外に大盤振る舞いなんて、あり得ないだろう。
ついでに言うと、自公が決定した与党税制改正大綱では、所得増税やたばこ増税、国際観光旅客税、森林環境税などで年2800億円程度の増収となる見込みだが、それをソックリそのまま海外に差し出すワケだ。一体誰のため、何のための増税なのか。政治評論家の山口朝雄氏が言う。
「安倍さんは、もはや内政では行き詰まりつつあるため、せめて外交では目立ちたい、と考えているのではないか。手っ取り早く海外にカネを配ることが、政権のアピールになるというのでしょう」
 安倍氏が首相に居座り続けたら、日本の子供たちの未来はオシマイだ。

【日刊ゲンダイ 2017年12月17日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


NHKが知る権利に応えているのか 受信料義務化判決の仰天
Monday,December11,2017]

いくらなんでも、この判決は乱暴なのではないか。
「テレビを設置したらNHKと受信契約を結ばなければならない」と定めた放送法が、憲法に違反するかどうか争われた裁判で、最高裁は「合憲」との判断を下した。これで家にテレビを置いている国民は、強制的に受信料を払わされることになった。憲法は「契約の自由」を保障しているのに、お構いなしだ。テレビを買ったら、NHKを見ようが見まいが、有無を言わさず契約を結ばされる。
 しかも、まだ契約していない人は、テレビを設置した時にさかのぼって受信料を払わなくてはならないというのだからムチャクチャだ。昭和40年代にテレビを買った人は、50年分払う必要がある。契約を結んでいない世帯は、約1000万。今ごろ、「マジかよ」と頭を抱えているに違いない。
 なにより、ぶったまげたのが判決理由だ。
なんと「受信料制度が国家機関から独立した表現の自由を支えている」と断定してみせた。NHKサイドが、裁判で「時の政府や政権におもねることなく不偏不党を貫き、視聴率にとらわれない放送をするには、受信料制度が不可欠だ」と訴えた内容を、そのまま認めた形だ。
「ハァ?」ではないか。いったいNHKのどこが「国家から独立」しているのか。NHKが「時の政府や政権におもねることなく不偏不党を貫いている」と、本気で信じているとしたら、最高裁の裁判官は世間知らずにも程がある。NHKの実態をまったく分かっていない。
■なぜ、安倍首相のバンカー転落を報じない
「国家から独立」するどころか、NHKが権力とベッタリだということは、国民だってうすうす分かっていることだ。
 なにしろ、会長自ら「政府が右ということを左というわけにはいかない」と、堂々と口にするような組織である。権力に忖度し、権力の宣伝機関になり下がっているのがNHKだ。権力が嫌がることは絶対に報じない。
「モリカケ疑惑」でも、メディアのなかで一番最初に前川喜平前文科次官にインタビューしているのに、安倍首相に遠慮し、いまだに放送していない。
 トランプ大統領が初来日した時も、NHKの放送はヒドかった。どんな意味があるのか、ゴルフ場に移動するまでを延々と生中継。夜9時の「ニュースウオッチ9」は、画面右上に“シンゾー”“ドナルド”のロゴを掲げ、ゴルフ中にハイタッチしたなどと愚にもつかないことを伝え、いかに2人が「親密」かを宣伝してみせた。あとから登場した記者2人が、「かつてない親密さ」「別格」などとお追従を並べ、日本の「国益」につながるとベタ褒めする始末だ。どこが国家からの独立なのか。ただの宣伝機関ではないか。
 元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。
「2001年、NHKが自民党議員の介入を許し、従軍慰安婦をめぐるドキュメンタリー番組『問われる戦時性暴力』の内容が大きく変わったことが大問題になった。権力に弱い体質は、あの頃とまったく変わっていません。強権的な安倍政権になって、さらに深刻になっている。現場は頑張っています。でも、上が権力に逆らうことを許さない。前川喜平氏のインタビューも、現場は放送したいと思っています。よくもまぁ、NHKは『政権におもねないために受信料制度が必要だ』などと主張できたものです。真に受けた最高裁もどうかしています」
 日米ゴルフ会談のハイライトは、安倍首相が背中から1回転してバンカーに転げ落ちたシーンだ。前を歩いていたトランプ大統領は、振り向きもしなかった。2人の関係がよく分かる。もちろん、NHKはこのシーンを撮っている。なのに、絶対に放送しない。どこが、国民の知る権利なのか。
もう、視聴者は怖くない
 最高裁の判決が最悪なのは、これで権力に弱いNHKの体質に拍車がかかることだ。
 これまでは、NHKも多少は視聴者のことを気にかけていた。あまりに偏った放送をすると、受信料の“不払い運動”が起きる恐れがあったからだ。実際、「放送内容が偏向しているから払わない」と、受信料の支払いを拒否していた国民も少なくないはずだ。国民にとって受信料の不払いは、歪んだNHKの放送をただす数少ない手段だった。「国営放送」ではなく、「公共放送」のNHKは受信料がゼロになったら、立ち行かなくなるからだ。
 しかし、最高裁の「受信料義務化」判決によって、NHKがどんなに権力におもねった偏った放送をしても、ジャンジャン、カネが入ってくるようになった。もう、視聴者のことは気にする必要がない。
 もはや、NHKが気を使う必要があるのは、権力だけだ。
「NHKは公共放送でありながら、まるで国営放送のように権力にがんじがらめにされているのが実態です。理由は、予算の承認や経営委員の人事権を国会に握られているからです。さらに、放送事業者に政治的な公平性を求めた“放送法4条”が足かせになっている。NHKが常に権力の顔色をうかがっているのは、そのためです」(川崎泰資氏=前出)
 受信料の不払いは、国民が「公共放送」であるNHKを牽制する武器だった。しかし、国民が圧力をかける方法はなくなってしまった。
 はたして、最高裁はどこまで状況を分かって判決を下したのか。なぜ、権力を批判しない大本営発表に、国民が強制的にカネを払わされなくてはならないのか。
■スクランブルをかければ義務化は不要
 そもそも、最高裁は考え方が古すぎる。
放送局がNHKの1局しかなかった時代は、テレビを買うことがイコールNHKを見ることだったから、受信料を義務化されても国民は納得しただろう。しかし、今ではチャンネルはいくつもあり、スマホでも見られる時代だ。「民放しか見ない」という国民がいても不思議ではない。
 それに、今では技術が進み、契約者だけが番組受信できるような特殊な信号を乗せるスクランブル放送も可能なはずだ。どうして、最高裁は安直に契約を義務化してしまったのか。
 市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」で共同代表をつとめる醍醐聰東大名誉教授はこう言う。
「受信料の支払いを義務化するにしても、定額一律料金ではなく、せめて“基本料金”と“従量料金”の2本立てにするべきです。水道代も電気代も、基本料金と従量料金の2本立てになっています。しかも基本料金も何段階かに分かれている。基本料金と従量料金なら、NHKの放送を見ない人は支払いが少なくて済む。そうなれば、NHKサイドも、視聴者を無視した番組作りはやれなくなるはずです。定額一律料金のまま受信料の支払いを義務化したら、NHKは視聴者のことを気にしなくなりますよ」
 最高裁の判決によって、ますますNHKの番組は劣化していくことになりそうだ。安倍首相の高笑いが聞こえてくる。

【日刊ゲンダイ 2017年12月9日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


問われる「国権の最高機関」 国会日数、過去20年で最少
[Saturday,December9,2017]

九日に会期末を迎える特別国会は八日に事実上閉会し、今年の国会論戦が幕を閉じる。通常国会と、召集日に衆院が解散した臨時国会、特別国会の会期日数は計百九十日で、過去二十年で最少となった。党首討論の開催も二〇〇〇年の制度開始以来、初めて「ゼロ」に。「安倍一強」と言われる中で「国権の最高機関」の権威が問われている。 (山口哲人)
 国会の年間の会期日数は過去二十年の平均が二百三十七日で、今年は平均よりも四十七日少ない。今年を除けば二百日を割ったこともなかった。党首討論は、第二次安倍政権発足以降、年一、二回は開催していただけに、今年の国会は異例が重なったといえる。
 国会日数が少ないのは、政府・与党が「共謀罪」法を成立させた後に通常国会を延長せず、野党の憲法に基づく臨時国会召集要求も三カ月以上放置した末、安倍晋三首相が衆院を解散したことが主な要因だ。
 野党は「首相が森友、加計(かけ)問題での追及から逃げた末に解散した」と批判している。一方で党首討論がゼロになったのは、野党が首相を追及する時間を確保するため、一回四十五分間と短い党首討論より、通常は一日で七時間審議する予算委員会にこだわったことも一因にある。
 衆院選後にようやく開かれた特別国会も、会期が三十九日間だったが、十一月半ばまでは外交日程などの影響で、召集日を含め平日の十日間は実質的な審議が行われなかった。
 日数だけでなく、国会審議の在り方も問題になっている。今月五日の参院内閣委員会では、自民党の和田政宗氏が所管閣僚の所信表明に対する質疑で、閣僚を呼ばずに質問し、官僚に答弁させたため、野党側が反発する事態も起きた。

【東京新聞 2017年12月8日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


森友疑惑潰しと増税の裏取引か 怪しい財務省と安倍政権
[Friday,December8,2017]

ああ、だから財務省は国有地売却に絡む森友学園との交渉資料をさっさと廃棄し、詭弁を弄して、必死に安倍首相を守ったのか――。
 政府と自民党が詰めの協議を行っている増税メニューと無償化詐欺のオンパレードを目の当たりにすると、納得してしまう。これは安倍官邸と財務省による森友と増税の裏取引なんじゃないのか。
 姑息なモリカケ疑惑潰しで禁じ手の冒頭解散を仕掛けた衆院選では、おくびにも出さなかったのに、終わった途端、やりたい放題で国民から財産をむしり取る。
 18年度の税制改革大綱と「人づくり革命」の2兆円政策パッケージの原案が出てきたが、その中身はあまりにひどい。
 税制改革の柱は、源泉徴収で納税感覚の薄いサラリーマンを狙い撃ちした増税だ。納税者全てを対象にした基礎控除を38万円から48万円に10万円引き上げる一方で、サラリーマンの給与所得控除が一律10万円引き下げられる。控除額の上限も、今の年収1000万円以上を年収800万円以上で頭打ちにし、金額も年220万円を年190万円に引き下げるから、年収800万円以上のサラリーマンは実質増税になるのだ。実施は2020年からだという。
「サラリーマンの給与所得控除についてまとめた財務省の資料があるのですが、その日付が10月23日付、衆院選投票日の翌日なのです。資料は2センチほどの厚みがあり、1日で作成できるものではない。つまり、財務省は選挙前からサラリーマンをターゲットにした増税を考えていたのに、安倍政権は選挙では一言も触れず、終わった後に資料を出してきたということです」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
■「森林環境税」の怪しいカラクリ
 訳のわからない新税も出てきている。「森林環境税」は、住民税に1000円上乗せして徴収される見通し。森林整備のための財源をなぜ新たな目的税としなければならないのか意味不明だが、「住民税に1000円上乗せ」というのがミソ。現在、一律1000円の復興増税が住民税に上乗せされているが、これが2023年度に終了する。森林環境税は翌24年度に創設予定で、既に取ってる1000円の税収をそのまま継続させようという財務省の魂胆がプンプンする。いったん奪った税金は絶対手放さない、ってことだ。
他にも、1本あたり3円のたばこ増税、「観光促進税」と名称を“お化粧”した出国税など、手を替え品を替え、取りやすいところからブン取ろうというのがミエミエだ。
「選挙で大勝したら、待ってましたと増税。毎度の自民党のパターンです。財務省はこれまでも、選挙前に政権にいろいろサービスしておいて、選挙後に増税攻勢をかけてきた。今回は森友学園問題で知らぬ存ぜぬを決め込んで安倍首相を救ったのですから、ここぞとばかりに消費増税だけでなく細かな増税を束になって出してきました。それも選挙で国民に問うことなく出すという実にタチの悪いやり方です」(政治評論家・森田実氏)
■同じ穴のムジナがあうんの呼吸
 教育無償化は、「3〜5歳の全ての子供を無償化」という安倍の選挙目当て公約のせいで大迷走だった。「認可外保育所は除外」が公約違反だと批判され、「待機児童対策が先だ」と世論の猛反発もあり、議論は混乱。結局、パッケージ原案は「3〜5歳は原則全て無償化」としながらも、認可外の対象範囲や詳細な制度設計は有識者会議に丸投げする形で先送りする。公明党が主張する高校無償化は財源のメドが立たないのに、住民税非課税世帯に限定して実施する方向だという。
何なんだ、これは。つぎはぎ、場当たり、数字合わせの大ペテン。とりあえず形だけ整えて既成事実化する。それでも財務省は増税さえ決まれば、結果オーライだ。
 制度設計は後からなんてメチャクチャなのだが、安倍官邸と財務省は森友問題で同じ穴のムジナだから阿吽の呼吸で平気の平左。庶民はなけなしの財産を収奪され、身内優遇の安倍は、とがめられることも、責任を問われることもない。安倍と財務省の怪しい結託に、国民は不信感を募らせるばかりである。
■成果ゼロのアベノミクスを歴史にどう記すかで焦り
 それでなくとも、この国の国民生活は本当に悲惨だ。8%に消費増税したのに社会保障費は削られ、家計支出は増える一方。可処分所得はガタ減りだ。2人以上世帯のうちの勤労者世帯の可処分所得は、1997年の月額49万7035円をピークに2016年は42万9517円と月7万円も減ってしまった。年間にすれば84万円ものダウンである。
 実質賃金は安倍政権の5年間で実に60万円減っている。その一方で、大企業は内部留保がどんどん膨らんで、16年度末の法人企業統計によれば、今や406兆円超にまで達している。安倍政権発足以降で100兆円増加し、初の400兆円突破である。あらためて、アベノミクスは企業を儲けさせただけだったことがよく分かる。
 異次元緩和の本来の目的である「物価上昇率2%」は4年半続けても達成できず、もう限界なのに、企業の内部留保を膨らませ、ETF(上場投資信託)を年間6兆円も“爆買い”して、2万2000円超の株高を演出して取り繕っているのが実態なのである。
5日、来年4月で任期が切れる黒田日銀総裁が安倍と会談。「人事の話はなかった」と言ったが、黒田本人は続投する気満々だ。アベクロは、絶対に「自分たちは失敗した」とは言わない。保身のためには、幻想のバズーカを打ち続けるつもりなのだろう。たとえ安倍が別の総裁に代えたとしても、金融緩和は継続される。
 経済評論家の斎藤満氏が言う。
「アベノミクスは5年経っても何の成果も出ていない。歴史の教科書にどう書き残せるか。安倍首相は今、焦っているところで、せめて株価を上げて、市場の評価を上げたと記したいのでしょう。日銀の金融緩和はマイナス金利の弊害が色濃くなっています。先日、中曽副総裁が金融機関の口座維持手数料の預金者負担に言及しました。反発が出ることは想定内で、それを機にマイナス金利の棚上げを狙っている。ホンネでは日銀はもうマイナス金利をやめたいのです。自分たちの失敗に絆創膏を貼って出血を止める。場当たり政策ばかりの情けない政権ですよ」
■背景に「3選の思惑」とアベ友メディア
 政権寄りの読売新聞がきのう、幼児教育無償化で制度設計を先送りした背景について、〈自民党総裁選を見据えた安倍首相の思惑が見え隠れ〉と書いていた。自分の「3選」が大事で、政策なんて後づけでいい、という身勝手が透けて見える。
 なりふり構わず政権延命に走る安倍。そんな独善首相を、増税に血眼の財務省が都合良く担いでいるという構図なのである。
 この次は、10%への消費増税だ。そうなれば国民生活は確実に破綻してしまう。それでも、アベクロと財務省には関係ない。あとは野となれ、山となれ、ということなのだろう。
「消費税を引き上げても、幼児教育無償化などに充てられるのは実質1兆円ほどです。消費増税による5兆円の税収の残り4兆円は、防衛費拡大に使われ、トランプ米国を喜ばせることになるのが関の山でしょう。それに年収800万円は高額所得者じゃない。狙い撃ちされた中間層は、賃金は上がらず、社会保険料は増額。そこに増税が追い打ちをかける。おとなしいサラリーマンだけが散々、むしり取られる。こんなあからさまな不公平、ありませんよ」(斎藤満氏=前出)
 これだけの仕打ちを受けたら、従順なサラリーマンもさすがに黙っちゃいない。怒りのマグマはふつふつと煮えたぎりつつある。一寸先は闇だ。

ここで再び格言を!!
(1)民主主義は最悪の制度だ・・・・・特に、日本に当てはまる!!!!
(2)世の中で怖いもの三つ。馬鹿、借金、雨漏り・・・・これはいつの世にも国にもあてはまる。が、やっぱり日本向きかな
(3)選挙をやるたびに国が壊れていく・・・・・これも、日本向き!!

【日刊ゲンダイ 2017年12月6日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


庶民の年金はカットして…自民党「議員年金」復活を画策説
[Manday,December4,2017]

選挙で約束した「社会保障の拡充」とは、自分たちの年金のことだったのか。
 自民党が、議員特権の復活を画策している。国会議員互助年金(議員年金)だ。14日の総務会で、「議員の待遇が悪いと優秀な人材が集まらない」「地方議員も議員年金がなくなって困っている」などと、議員年金の復活を求める意見が相次いだという。
 竹下総務会長も会見で「若くして出てきている国会議員たちが退職したら全員生活保護だ。こんな国は世界中になく、そこは皆さんにも認識してもらいたい」と言い、議員年金の復活に理解を求めたが、冗談じゃない。庶民には増税や年金保険料増額、医療費の負担増などを強いておきながら、選挙に勝ったら真っ先に自分たちの待遇改善を言い出すなんて本当にフザケてる。
 自民党政権は、今年1月から個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の加入対象を広げ、政府広報でテレビCMもバンバン流して、「老後資金は自助努力で貯めておくように」と国民に啓蒙活動をしてきた。自民党議員も老後が心配なら、iDeCoに入って備えておいたらどうなのか。
かつての議員年金は在職10年以上で受給資格が得られ、最低でも年額412万円が支給されていた。しかも、在職期間が1年増えるごとに年額8万2400円も増えるという厚遇ぶり。議員特権の象徴として批判され、2006年に廃止された。現在は国会議員も「国民年金」に加入しているが、06年当時の受給資格者には減額して支払われる。その原資は税金だ。
「昨年は年金カット法が強行採決され、さらに自民党は受給開始年齢を70歳以上に引き上げようとしています。それなのに、自分たちだけ特権的な年金を復活させようとは言語道断で、開いた口がふさがりません。国民年金だけではマトモに生活できないというのなら、制度を変える議論をすべきであって、議員年金の復活は筋違いもいいところです。それに、日本の国会議員の報酬は先進国の中でもかなりの高額なのです。それでも老後が不安というなら、カツカツで蓄えがなく年金で暮らすしかない庶民はどうすればいいのか。自民党は、血税を吸い取って自分たちが好きに使うことしか考えていない。まるで吸血鬼政権です。最近の傲慢な国会運営を見ていると、議員年金の復活も数の力で押し切りかねません」(政治評論家の本澤二郎氏)
 選挙に勝てば何でも許されるという、おごりと特権意識。これが自民党の本質だということがよく分かる。悪しき議員年金の復活なんて、絶対に許してはダメだ。

【日刊ゲンダイ 2017年11月10日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


トランプがむさぼる8兆円 安倍政権“大盤振る舞い”の代償
[Sunday,November19,2017]

蜜月アピールの代償は、やはり大きかった。トランプ米大統領が3日間の日本滞在を終え、次の訪問先の韓国へ飛び立ったが、度肝を抜かれたのは安倍首相の気前の良さだ。先立って来日した長女・イバンカ補佐官が関わる女性起業家の支援基金に、ポンと5000万ドル(約57億円)を拠出すると表明したのはホンの序の口。トランプに渡した“手土産”の額は軽く1兆円を上回る。
「米国は日本との間に年700億ドル(約8兆円)もの貿易赤字を抱えている。対日貿易は公正ではなく、開かれてもいない」
 ゴルフなどの接待漬けも通用せず、トランプが安倍首相に一歩も譲らなかったのが、対日貿易赤字の是正だ。
 第2次安倍政権になってから、単年度で賄い切れない高額兵器の購入時に、次年度以降に分割して支払う「後年度負担」をフル活用。米国の言い値で高額兵器を買いまくり、後年度負担のツケは約5兆円の年間予算とは別に5兆円以上もたまっている。
事実上、GDPの2%に達する防衛費を投じても、対日貿易赤字は一向に埋まらない。そこで安倍政権がトランプ政権に持ちかけたのが、米国産シェールガス輸出拡大への全面協力である。
 日米両政府はきのう(6日)の首脳会談に合わせ、新興国へのエネルギーインフラ輸出で協力する覚書を締結。東南アジア各国やインドなどに、米国のシェール由来の液化天然ガス(LNG)を売り込むため、日本が官民挙げて現地でLNGの発電所や運搬船基地などの建設を支援する。支援額について、日本政府は「1兆円規模」(世耕経産相)と表明した。
米国の輸入“地ならし”に1兆円差し出す馬鹿さ加減
 シェールガスの輸出が増えれば、米国の貿易赤字も削減できる。トランプに手っ取り早く赤字を解消してもらうお膳立てに1兆円ものジャパンマネーを差し出すのだ。
「米国産LNGは石油や他国のLNGと比べて割高です。今年から輸入を始めた日本の電力会社も、コスト押し上げの要因となって苦しんでいます。北極圏開発を進めるロシアが、より格安のLNGを売る計画もある。日本が輸出の“地ならし”をしても、新興国が米国産LNGの調達に二の足を踏めば意味がない。1兆円規模の支援が単なる外交目的の『捨て金』となりかねません」(経済評論家・斎藤満氏)
 安倍首相が人気取りのため、トランプに拉致被害者の家族と面会させたことにもデメリットはある。トランプが核・ミサイル問題に加え、拉致という人権問題にまでクチバシを突っ込めば、北朝鮮はさらに反発。いよいよ対話の糸口を探すのが困難となる。
「会計検査院は先日、米国から調達した武器の購入費を巡り、過払いの可能性を指摘。計64件、総額約672億円の支払いに過払いの疑いがあるのです。安倍首相も首脳会談の席で『調べて返金せよ』とトランプ大統領に迫るべきなのに、逆に『日本は大量の装備品を買うことが好ましい』と念を押される始末。消費税率10%引き上げで見込まれる5兆円強の増収分を全額、武器購入に充てなければ許されない勢いで、心配になります」(斎藤満氏)
 安倍首相の隷従外交により、トランプは完全に図に乗ってしまった。今後も8兆円の赤字が埋まるまで、対日FTA交渉などで容赦なく無理難題を押しつけてくるに違いない。

【日刊ゲンダイ 2017年118日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


トランプがむさぼる8兆円 安倍政権“大盤振る舞い”の代償
[Sunday,November19,2017]

蜜月アピールの代償は、やはり大きかった。トランプ米大統領が3日間の日本滞在を終え、次の訪問先の韓国へ飛び立ったが、度肝を抜かれたのは安倍首相の気前の良さだ。先立って来日した長女・イバンカ補佐官が関わる女性起業家の支援基金に、ポンと5000万ドル(約57億円)を拠出すると表明したのはホンの序の口。トランプに渡した“手土産”の額は軽く1兆円を上回る。
「米国は日本との間に年700億ドル(約8兆円)もの貿易赤字を抱えている。対日貿易は公正ではなく、開かれてもいない」
 ゴルフなどの接待漬けも通用せず、トランプが安倍首相に一歩も譲らなかったのが、対日貿易赤字の是正だ。
 第2次安倍政権になってから、単年度で賄い切れない高額兵器の購入時に、次年度以降に分割して支払う「後年度負担」をフル活用。米国の言い値で高額兵器を買いまくり、後年度負担のツケは約5兆円の年間予算とは別に5兆円以上もたまっている。
事実上、GDPの2%に達する防衛費を投じても、対日貿易赤字は一向に埋まらない。そこで安倍政権がトランプ政権に持ちかけたのが、米国産シェールガス輸出拡大への全面協力である。
 日米両政府はきのう(6日)の首脳会談に合わせ、新興国へのエネルギーインフラ輸出で協力する覚書を締結。東南アジア各国やインドなどに、米国のシェール由来の液化天然ガス(LNG)を売り込むため、日本が官民挙げて現地でLNGの発電所や運搬船基地などの建設を支援する。支援額について、日本政府は「1兆円規模」(世耕経産相)と表明した。
■米国の輸入“地ならし”に1兆円差し出す馬鹿さ加減
 シェールガスの輸出が増えれば、米国の貿易赤字も削減できる。トランプに手っ取り早く赤字を解消してもらうお膳立てに1兆円ものジャパンマネーを差し出すのだ。
「米国産LNGは石油や他国のLNGと比べて割高です。今年から輸入を始めた日本の電力会社も、コスト押し上げの要因となって苦しんでいます。北極圏開発を進めるロシアが、より格安のLNGを売る計画もある。日本が輸出の“地ならし”をしても、新興国が米国産LNGの調達に二の足を踏めば意味がない。1兆円規模の支援が単なる外交目的の『捨て金』となりかねません」(経済評論家・斎藤満氏)
 安倍首相が人気取りのため、トランプに拉致被害者の家族と面会させたことにもデメリットはある。トランプが核・ミサイル問題に加え、拉致という人権問題にまでクチバシを突っ込めば、北朝鮮はさらに反発。いよいよ対話の糸口を探すのが困難となる。
「会計検査院は先日、米国から調達した武器の購入費を巡り、過払いの可能性を指摘。計64件、総額約672億円の支払いに過払いの疑いがあるのです。安倍首相も首脳会談の席で『調べて返金せよ』とトランプ大統領に迫るべきなのに、逆に『日本は大量の装備品を買うことが好ましい』と念を押される始末。消費税率10%引き上げで見込まれる5兆円強の増収分を全額、武器購入に充てなければ許されない勢いで、心配になります」(斎藤満氏)
 安倍首相の隷従外交により、トランプは完全に図に乗ってしまった。今後も8兆円の赤字が埋まるまで、対日FTA交渉などで容赦なく無理難題を押しつけてくるに違いない。

【日刊ゲンダイ 2017年11月8日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


賃金を犠牲にして空前の企業利益 好況大報道のドッチラケ
[Sunday,November12,2017]

いやはや最近の大新聞・テレビの報道を見ていると、日本経済はまるで「バブル景気の再来」と言わんばかりだ。
〈民間シンクタンクの予測では、7〜9月の実質経済成長率の平均は年率1.5%と7四半期連続のプラス成長〉
〈7〜9月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)は102.5で前期比0.4%上昇。リーマン・ショックが起きた08年7〜9月以来の水準〉
〈上場企業の2017年9月中間決算は過去最高益を更新する見通し〉
〈日本経済は戦後2位のいざなぎ景気を超える回復途上にある〉……。
 大々的に取り上げられている経済指数、数値をざっと挙げただけでも、今の日本が空前の好況期にあるのではないか――と錯覚してしまいそうだ。だが、いざなぎ景気を超えるほどの高揚感を感じている国民はほとんど皆無と言っていいに違いない。大マスコミの論調通り、企業業績が絶好調であれば、賃金も雇用も右肩上がりで増えておかしくないのに、そんな状況に全くなっていないからだ。
■「好景気」の中身は空っぽの“ハリボテ”
〈賃金は1997年から現在に至るまで下落傾向が続いています。国民総所得における賃金・俸給の割合は、1980年度には46.5%ありましたが、2015年度には40.5%まで低下しています〉
「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」(集英社新書)の著者で、法大教授の水野和夫氏は「月刊日本」(11月号)でこう指摘していたが、財務省の法人企業統計によると、企業利益に占める労働者の賃金割合を示す労働分配率は依然として過去最低水準のままだ。
 それもそのはずで、財務省調査に対して2016年度の内部留保が「増えた」と回答した企業は8割にも上る。つまり、企業側はひたすらため込むばかりで労働者にちっとも還元しないのだから、賃金が上がるワケがない。なるほど、過去最高益と浮かれまくっている大企業の内部留保が400兆円を突破するのも当然だ。水野和夫氏があらためてこう言う。
「労働分配率が下がっているということは、本来は労働者が受け取るべき賃金が企業利益に付け替えられているということを意味します。つまり、賃金が下がっている分、労働者はよりたくさん働かなくてはいけないわけです。(好景気と報じられているが)今の日本経済は一言で言えば、まさに新自由主義派の思い描いていた通りの展開であり、そのしわ寄せが労働者の負担増につながっているのです」
 そもそも、大マスコミは「いざなぎ景気超え」と大騒ぎしているが、カラーテレビ、自動車、クーラーの「3C」が牽引役となった当時と今の経済状況を比べると力強さがまるで違う。かつて世界のモノづくりをリードし、高付加価値の商品開発を得意とした日本の製造業の姿は今や見る影もない。将来の需要拡大が期待されているAI(人工知能)やEV(電気自動車)も欧米の後塵を拝している。じゃあ、何が日本企業の業績を大きく押し上げているのかといえば、日銀の“異常”な金融緩和による超低金利と円安進行に加え、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの「官製相場」で下支えされた株高だ。つまり、好景気といっても、しょせんは中身がカラッポの“ハリボテ”。庶民のフトコロから公然と収奪しているのが実態なのだ。
有効求人倍率を「高水準」に引き上げている数値のカラクリ
「政治の最も大切な責任である雇用について大きな成果をあげた」
 第4次安倍内閣が発足した1日夜の会見で、安倍首相がアベノミクスの“成果”として胸を張っていたのが雇用だ。
 おそらく9月の有効求人倍率(季節調整値)が1974年以来の高水準となる1.52倍になったことや、同月の完全失業率が2.8%と「完全雇用」状態になったことを踏まえたのだろうが、この数値には複数の“トリック”が隠されている。
 まずは何と言っても労働力人口の減少だろう。ここ数年で団塊世代が65歳に達して退職者が急増。いわゆる「2012年問題」と呼ばれたものだ。求人倍率は職安で扱った求人数を求職者数で割った値だから、分母の求職者数が減れば倍率が上昇するのは小学生でも分かる理屈だ。分母の減少数の推移をみると、2012年までは10万人台だったが、13年以降は年間100万人以上も減っているから、求人倍率が上昇するのは当然なのだ。
さらに内訳数値を細かく見ていくと、臨時・季節雇用を除いた求人倍率の中で群を抜いて高いのは「接客・給仕」(3.87倍)、「介護サービス」(3.74倍)、「自動車運転」(2.80倍)など。いずれも長時間労働と低賃金が社会問題になっている職種ばかりである。対照的に労働者の希望が多い「一般事務の正社員」は1.0倍を下回ったまま。つまり、離職率の高い一部の職種が求人倍率を引き上げているのであって、決して安倍が得意げに言うほど雇用環境が大きく改善しているわけじゃないのだ。
 前出の水野和夫氏も「月刊日本」で〈労働者たちが最も希望する仕事は企業からほとんど提供されていない。(略)全体の有効求人倍率が上昇したからといって、それほど自慢できることではない。(略)『どんな仕事でもいいから働け』と言うなら、それは横暴というもの〉と説いていたが、その通りだ。
■アベノミクス失敗の隠すための「脚色」報道
つまるところ、〈いざなぎ景気を超える回復途上〉なんて安倍政権のお先棒を担いだ大マスコミが表面上の数字だけを取り上げて大袈裟に喧伝しているだけ。日本経済の実相ではないということだ。なぜ、そんな提灯報道を続けているのかといえば、そうしないと、いよいよアベノミクスの完全破綻が国民にハッキリと分かってしまうからだ。元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。
「今のメディアは安倍政権の言いなりなのでしょう。だいたい安倍政権が旗を振り、日銀の黒田総裁が始めた『2年で2%の物価目標』は達成時期が6回も先送りされ、失敗は明々白々です。それなのに安倍首相は今も『道半ば』と言い続けている。メディアはこうしたデタラメな点をきちんと指摘し、責任を追及するべきですよ。そうした報道を一切せず、政権にとって都合のいい数字を大きく取り上げるのはジャーナリズムでも何でもありません」
日経平均16連騰! と大ハシャギで報じていた株高だって、よくよく考えれば上場企業数は日本国内の全法人の1%にも満たないから、大半の中小企業にとっては全く関係ない。それでも「岩戸景気以来」などと“脚色”すれば、好景気ムードを演出できる。そうやって大マスコミは安倍政権が消費税を予定通り増税するための地ならしにせっせと加担しているワケだ。
 だが、実質賃金がほとんど上がらない中で、このまま消費税増税なんて許されるのか。間違いなく庶民生活を直撃するだろう。国民は好景気を“装った”大マスコミの提灯報道にゴマかされず、公表される経済指標の「中身」を冷静に分析することが重要だ。

【日刊ゲンダイ 2017年11月4日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


物価上昇率またも下方修正 黒田日銀“緩和継続”の支離滅裂
[Wednesday,November8,2017]

もう、うんざり……。金融界からは冷めた声が聞こえてくる。31日、日銀は金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めた。同時公表の「展望リポート」では、2017年度の物価上昇率見通しを従来の1.1%から0.8%へ引き下げた。
「日銀は展望リポート(年4回)を出すたびに物価目標を下方修正しています。今回、黒田東彦総裁の最大目標である『2%の物価上昇』は『19年度ごろ』に据え置きましたが、これまで6回も先送りしています。次回の展望リポートで7回目の先送りをするかもしれません」(市場関係者)
 黒田総裁は31日の会見で、2%上昇について、「まだまだ遠い」と話し、大規模金融緩和の継続を強調した。株価上昇の効果をもたらすETF(上場投資信託)購入も続ける。日銀はすでに日本株を20兆円以上保有。ニッポンの大株主に君臨している。
「日銀は株を買うばかりで、ほとんど売却していません。市場原理の働かない歪みきった市場だけに、海外投資家が日本を見捨てる日は必ず来ます」(金融関係者)
 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストも言う。
「日銀の審議委員を見ると、現在、株式市場に精通した人物はひとりもいません。人選が偏っている印象を受けます」
■出口戦略に向かった途端に株は暴落
 今年7月までは野村証券やモルガン・スタンレー証券で活躍した2人が審議委員を務めていただけに、兜町からは「株価が上昇しているうちは問題ないが、下落したときが心配」(ネット証券)との声も聞かれる。
 金融政策そのものも不安だらけだ。米欧の中央銀行がそろって緩和縮小を打ち出すなか、日銀だけが緩和継続。しかも黒田総裁は2%上昇まで手を緩めるつもりがない。
「実際のところ、もはや日銀は緩和をやめられません。日銀が緩和縮小を打ち出した途端に、世界の株価が暴落しかねないからです。日米欧ともに出口戦略に向かうと、株式市場に流入する資金は減少します。これは間違いなく株安要因で、世界の金融界は、日銀の黒田総裁を非難するでしょう。黒田総裁はババを引かされたのです」(株式アナリストの黒岩泰氏)
 日本だけが金融緩和を継続すれば、円の価値は極端に下落し、輸入品は高騰する。その分、収入が増えればいいが、実質賃金は直近統計の8月まで3カ月連続で減少している。庶民生活は苦しくなるばかりだ。

【日刊ゲンダイ 2017年11月2日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


報酬は8年で2億円 「商工中金」天下り役人たちのデタラメ
[Saturday,November4,2017]

 国の「危機対応融資」を悪用し、不正融資を繰り返してきた商工中金。問題の本質は、モリ・カケと同じ。不正に手を染めるウラで、安倍政権の黒幕ともいわれる経産省の幹部が天下りし、ベラボーな報酬や退職金を受け取っていた。安倍官邸の“仲間”が甘い汁を吸ってきたのが実態だ。
 商工中金は典型的なエリート官僚の天下り機関だ。戦後一貫してトップには、経産省(旧通産省)から、ナンバー2には財務省(旧大蔵省)からキャリア官僚が天下ってきた。
 リーマン・ショックを機に危機対応融資が導入された2008年、新日鉄の副社長だった関哲夫氏が初の民間人社長に就いたが、12年に安倍政権が発足すると再び、安倍首相が重用する経産省の幹部が社長に就くようになった。13年就任の杉山秀二前社長、次の安達健祐現社長は、ともに元経産事務次官だ。安倍首相は、シレッと天下りを復活させている。
商工中金の報酬規定によると、社長、副社長の年収は2000万円超。さらに、退職金も出る。副社長と社長で合計8年務めた杉山前社長の退職金は1300万円超。年収と合わせれば、2億近くになる。しかも、「実務はもちろん、経営方針も生え抜きの幹部が決めていた。何も知らない役人出身はお飾りのようなものです」(金融関係者)という。
 その一方で犠牲になったのは地方の金融機関だ。金融ジャーナリストの小林佳樹氏が言う。
「商工中金による“低利融資”が、地銀を苦しめてきたのは間違いありません。商工中金の“危機対応融資”の方が有利なので、地方の中小企業はどうしても商工中金から借りる。その分、地銀は貸し出し先を失った形です」
 歴代の天下り役人は、報酬を全額返納すべきだ。

【日刊ゲンダイ 2017年11月1日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


森友6億円値引きでも逮捕者なし 悪党がのさばる無法国家
[Wednesday,November1,2017]

もはや疑う余地はない。600億円もの血税をつぎ込んだ衆院解散・総選挙は、安倍首相のアキレス腱であるモリカケ隠しだったことがハッキリした。
 安倍首相夫人の昭恵氏が名誉校長として関わっていた森友学園へのタダ同然の国有地売却交渉をめぐり、売却額の妥当性を調べていた会計検査院が「値引き額は最大6億円過大だった」と試算していると報じられた。国有地の地中に埋まっていたゴミ撤去費用の積算を担当した国交省大阪航空局が、過剰に見積もりをした疑いが濃厚だということだ。これが公示前、あるいは選挙戦の最中に表に出ていれば、安倍政権を直撃したのは間違いない。世論の8割がモリカケ疑惑に関する安倍の説明に納得しておらず、逃げ回る姿に不信感を強めている。安倍自民の圧勝はあり得なかった。元特捜検事の郷原信郎弁護士はこう言う。
「森友疑惑は何から何までメチャクチャです。検査院が調査に着手してから半年以上も経っている。ゴミ撤去費用の積算が適正であったかどうかを調べているだけなのに、なぜこんなに時間がかかるのか。その上、安倍政権の続投が確実になってから調査概要が漏れ伝わってきている。検査院も大阪地検特捜部もそうですが、あらゆる機関、関係者が安倍首相への忖度ありきで動いている印象です」
■アベ自民圧勝で幕引きシナリオ
 問題の国有地をめぐって、森友は財務省近畿財務局と定期借地契約を締結後に購入を打診し、「地下9.9メートルまでゴミがある」と申告。近畿財務局から土壌調査を依頼された大阪航空局は詳細に調べ直さないまま、以前の調査データを基にゴミ混入率を土壌全体の47%とみなし、撤去費約8・2億円を算出した。財務省が撤去費単価に関する文書や交渉記録を廃棄したとする中、残された資料を検査院が検証すると、混入率は30%程度で撤去費は約2億円にとどまったという。
 ゴミ撤去費については市民グループも問題視。弁護士らが当時の近畿財務局長らを背任容疑などで大阪地検特捜部に告発し、約2.7億円が過大だったとする1級建築士の鑑定書も提出した。森友疑惑に関与した職員を立件する材料は揃ってきている。にもかかわらず聞こえてくるのは特捜部の本格始動どころか、捜査終了のシナリオだ。
「財務省、国交省の職員を背任容疑で立件するにはハードルが高く、〈値引きをしてもいいから売れ〉などといった具体的な指示を文書や電子データで立証する必要がある。それでも、総選挙の結果次第で特捜部が本腰を入れる可能性はありましたが、自民党の強さを見せつけられ、森友疑惑を追及する機運はついえてしまった。とはいえ、何もしなければ世論の批判は特捜部に向かってくる。当面は捜査を継続し、不適正ではあるけれど違法性は認められないという結論を出す。納得しない市民団体が検察審査会に不服申し立てをするでしょうが、そこで不起訴相当の議決を出して幕引きという算段です」(捜査事情通)
 国会で「記録はない」「記憶はない」を連発した揚げ句、「データは自動的に消える」などとインチキ答弁を繰り返し、身をていして安倍を守り抜いた財務省の佐川宣寿前理財局長は国税庁長官に出世。「内閣総理大臣夫人付」として昭恵氏に3年間仕え、森友と財務省の橋渡し役も務めた経産省の谷査恵子氏は在イタリア日本大使館の1等書記官に栄転した。検査院は選挙が終わるまで沈黙し、特捜部はまるで動く気配がない。国民の財産である国有地を6億円も値引きして叩き売っておきながら、当事者の役人から逮捕者はなし。こんなデタラメが許されるはずがない。
推定無罪ガン無視、首相が公然と司法判断に介入
「教育に対する熱意が素晴らしい」と持ち上げられたのも束の間、「非常にしつこい」と安倍から切り捨てられた籠池夫妻は補助金不正受給の詐欺罪などで逮捕、起訴された。安倍夫妻との関係をチラつかせて財務省に揺さぶりをかけ、「グーンと下げていかなアカンよ」などと値引きを迫った籠池夫妻のやり方はえげつないが、口封じの国策捜査との非難が絶えないのも事実である。
「一般法と特別法の関係からすれば、森友学園のケースは補助金適正化法違反で進める事案ですし、籠池夫妻のように全額返還後に起訴された事例はない。詐欺罪での立件は逮捕事実の水増しを意図したとしか考えられません。しかも、安倍首相はトンデモない発言をしている。公示直後に出演したテレビ党首討論で〈籠池さんは詐欺を働く人間〉と断定し、〈昭恵も騙された〉と言い放った。この国の行政府の長は推定無罪の原則を知らないのでしょうか。初公判もまだ開かれていないし、籠池夫妻は黙秘していると伝えられている。検事総長に対する指揮権を持つ法相を任免する立場にある総理大臣が、司法判断の介入になりかねない発言をする。日本はとても法治国家とは言えない。無法国家ですよ」(郷原信郎氏=前出)
国のトップが国家を私物化し、その仲間内だけが甘い汁を吸う露骨な利権構図がまかり通る。そんな国柄だからなのか、アベノミクスの牽引役だと喧伝されてきた企業の不祥事が相次いでいる。
 政府が約46%の株式を保有する商工中金は、2008年のリーマン・ショックを機に制度化された危機対応融資を悪用。2600億円を超える巨額不正に手を染めていた。国のお墨付きを得て融資残高をガンガン増やしたのは悪辣だが、中小企業対策と称する見せかけの景気対策装置の役割を担っていた側面もあった。それで悪事がバレたら安達健祐社長は引責辞任してオシマイだ。新車不正検査が常態化していた日産自動車、検査データ改ざんがグループ内に蔓延していた神戸製鋼所しかりである。日産も神戸製鋼も株高演出の指標である日経平均株価に採用されている。多少の悪さを働いても日銀やGPIFが株を買い支えるし、救済措置も施される。そんなもくろみでタガが外れ、発展途上国並みの不正天国の国に成り下がったのか。
■国会審議よりゴルフ外交
 無法国家でワルはぬくぬくと暮らし、一般市民は「働き方改革」で安価な労働力の提供を強制され、社会保障費はさらに削られようとしている。国民を飢えさせても、核・ミサイル開発に猛進する海の向こうの独裁国家を冷笑してはいられない。
 モリカケ疑惑の真相究明はもとより、内憂山積にもかかわらず、安倍官邸は野党が要求する臨時国会の召集を拒否。首相指名選挙が行われる特別国会を11月1日から開き、所信表明演説も各党の代表質問もやらずに8日には閉じる腹積もりだ。
 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は言う。
「官邸はトランプ米大統領の来日や、APEC首脳会議やASEAN首脳会議などの外交日程を口実に来年の通常国会まで逃げる魂胆のようですが、トコトンふざけています。トランプ大統領とゴルフに興じる時間があるなら、国民や野党が求める国会審議に回すのが当然でしょう。森友疑惑の端緒は紛れもなく昭恵夫人です。安倍首相は総選挙後も〈誠意を持って丁寧に説明していきたい〉と言っていたのですから、いい加減に約束を守ってもらいたい。安倍首相が説明できないのであれば、昭恵夫人を国会招致してコトの経緯を明らかにするべきでしょう。そうしない限り、この問題が鎮火することはありません」
衆院の8割を親アベが占め、衆参で3分の2超を超える勢力を再び手にした安倍は、自民党総裁3選、10年に及ぶ超長期政権に手を掛けようとしている。
 主権者である国民をないがしろにし、国会も立憲主義も蹂躙するワルの親玉が戦後最長政権にまっしぐら。こんな悪夢を招いてしまった以上、国民がさらに声を張り上げなければ、加速する独裁者の暴走を止めることはできなくなる。

【日刊ゲンダイ 2017年10月27日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


長谷部恭男教授が指摘 目的が分からない安倍首相は不気味
[Wednesday,October22,2017]

小池希望と安倍自民はよく似ている
 安倍自民も小池希望も憲法を破壊した安保法を認め、さらなる改憲まで突き進もうとする政党だ。モリカケ疑惑によって、ようやく醜悪政権が追い詰められたのに、目くらましの選挙で改憲大政翼賛会ができつつある。憲法学界の重鎮、早大法学学術院の長谷部恭男教授に問題点を浮き彫りにしてもらった。
  ――まず、小池新党の希望の党についてはどういう印象をお持ちですか?なんだか、白紙委任状を取って、とにかく改憲を目的とする乱暴な政党のように見えますが。
 一方で安倍政権打倒を掲げてはいますが、自民党との連携は否定していない。国政全体を右に持っていこうとする点は、安倍政権と共通する。今現にある安保法制のみが「現実的」だという偽りの現実主義を掲げて違憲状態を固定化しようとする点も同じです。改憲に前向きで、しかもその内容が茫漠としていることも、安倍さんとよく似ています。
  ――有権者は惑わされてはいけないと思いますが、とにかく、安倍政権は打倒しなければいけませんね。今回も憲法53条による野党の臨時国会召集要求を無視して、内閣改造後の代表質問すら受けずに解散した。みんな小池新党の騒動で忘れていますが、驚きました。
 憲法53条後段には「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」とあります。現憲法の草案が議論されていた当時は、国会の召集は内閣ではなく国会自身の判断によって決めるという「国会常設制」という理念が有力だったんです。でも、政府の事情もあるので、4分の1の少数の要求で開けるようにした。担当だった金森徳次郎国務大臣がそう答えています。
  ――そうした理念は押しやられて、安倍政権は召集時期が明記されていないことをいいことに開かなかった。
「諸般の条件」を勘案して合理的な時期に開くというのは安倍さんだけでなく、過去の内閣も示してきた考え方ですが、準備に必要な期間はせいぜい2、3週間でしょう。それ以上に引き延ばすのは憲法違反だというのが、憲法学界の通説です。
■解散の理由はとってつけたようなものばかり
  ――モリカケ疑惑を追及されたくないから臨時国会を開かない。そんなふうに見えますが、この解散の大義についてはどうでしょうか。
 解散の理由として提示されているものは、とってつけたようなものばかりです。消費税の使途を変えるというのは、見ようによっては、民進党の公約を単に横取りしたような話です。選挙における争点を潰そうとしたのではないか。北朝鮮危機は国難だと言っているが、焦眉の急だというのであれば、総選挙なんてやっている場合ではないでしょう。与党が有利なときにやりたいという動機があからさまです。
  ――安倍政権の場合、大義なき解散はこれが初めてではありません。アベノミクスの信を問うとか、消費増税先送りとか、そうやって、国会が紛糾しているわけでもないのに解散権を乱用し、野党を疲弊させ、小選挙区制を上手に使って、一党独裁体制を築いてきたように見えます。
 その結果、有権者の政治不信を深めることになっていると思います。政治のプロセス自体が信用できないと多くの有権者は棄権をしてしまうからです。
  ――憲法上、首相の解散権についても議論がありますね。
 従来の憲法慣習として、内閣に解散の権限があって運用されてきたのはその通りです。ただ、それにどれほど合理的な根拠があるのかということが今問われているところでしょう。内閣に自由な解散権を認めれば、政府与党にとって有利、もしくは不利ではない時期に解散・総選挙を打てる。そういうことがあってよいのかという問題があります。与党に特権を認めることになるので、公平な競争の場にならない。競技場が与党に有利になるように傾いているわけです。
諸外国の例を見ると、日本が手本にしてきたイギリスでは、従来、内閣の首相に自由な解散権があるとされてきましたが、キャメロン連立政権が成立した後、立法期固定法というものができて、解散は原則認めないことになりました。
  ――日本も導入すべしという議論があります。
 メイ首相はブレグジットの結果を受けて解散・総選挙をやりました。野党の労働党も受けて立とうということで議会の3分の2の賛成多数で総選挙になったのです。日本においても、解散には衆院議員の3分の2の賛成が必要だという規定を設けても、何も困らないのではないかと思います。そうすれば、今回のように、どうみても正当な理由のない、あるとすれば与党の都合のためだけにやる総選挙はできなくなります。
改憲で北朝鮮はミサイルをやめますか?
  ――安倍首相が今年5月、唐突に行った9条見直しについてはどうですか。自民党は公約に入れたし、小池新党も中身を明らかにしないまま、改憲支持を公認の条件にして、総選挙に突入しています。
 不思議な話ですね。まず自衛隊の現状を書き込むと言うが、現状は自衛隊に集団的自衛権の行使を認めています。それを追認するかのように憲法に書き込まれ、固定化されるのは困ります。自衛隊の現状を書き込むというのであれば、2014年の閣議決定で曖昧な解釈変更をした前の状態に戻してもらわなければならない。その書きぶりもどうなるのか分かりませんね。具体的な条文案が何も出てこない。ぼんやりしたまま、とにかく賛成ですか反対ですかと言われても有権者は判断しようがありません。
 私自身は、自衛隊は現在の9条のもとでも認められるという立場です。自衛隊を憲法にあえて明記しないということに重要な意味がある。政府は自衛隊に何ができて何ができないのかを国民に説明する責任が課されることになる。自衛隊が憲法に書き込まれてしまうと、いまの政権は説明する必要はないと言い出しかねない。
  ――そもそも政治家は憲法にどう向き合うべきなのでしょうか。
 憲法は中長期的に守っていくべき基本原則を定める文書なので、よほどのことがない限りむやみに触ってはいけない。むしろ、政治は目の前の課題に注力すべきだ。だからこそ、憲法は変えにくくなっているのです。そのことをまず政治家は頭に入れないといけません。さらに、憲法を変えることで何とかなる問題と、何とかならない問題がある。
 例えば、仮に9条を全て削れば、北朝鮮はミサイルを撃つのをやめますか? 核実験もやめないでしょう。日本が憲法をどうこうしたって、北朝鮮問題が解決するわけではない。高等教育無償化にしても、予算措置を講じなければ無償化はできないし、予算措置ができるなら、憲法に書き込む必要はない。憲法を変えようとする前に、憲法を変えることにどういう意味があるのかを考えていただきたい。改憲が自己目的化しているなかで、何かと理由をつけて変えようというのはよろしくない。
  ――自己目的化どころか、安倍首相は自らの野望実現のために北朝鮮危機をやみくもに煽っている印象すら受けます。そうやって危機をつくり出しておいて、国難だから自分に強いリーダーシップを与えてくれと、選挙をやる。こういう手口はどうですか。
 きわめて危ない手口です。北朝鮮の暴発を招きかねません。安倍政権は日本の過去の歴史をきちんと学んでいないのではないでしょうか。1941年8月1日にアメリカは日本に対して石油を全面禁輸にしたことで、それまで戦争に慎重だった海軍まで、燃料があるうちにという気にさせて太平洋戦争の開戦に至った。北朝鮮を「何を考えているか分からない国」というのであれば、そんな危ないことはするべきではないと思います。
  ――今度の選挙後に安倍首相が何を企んでいるのか。小池新党と大連立で、国をつくり替えてしまうのではないか。そんな危惧はありませんか。
安倍首相は目的が分からないだけ不気味です。言うことがころころ変わる。96条を変えると言って、すぐ引っ込めたり。場当たり的に言うことが変わるので、予測不能です。外国でスピーチするときは、人権の保障、民主主義、法の支配などの普遍的な価値を尊重しますと言うが、本気で言っているとは思えない。むしろ、本当に考えていることがあるのか心配です。
 いやしくも首相という職に就いているのであれば、何か実現したいことがあってしかるべきでしょう。そのために改憲がひとつの手段であれば分かるが、安倍さんは改憲そのものが自己目的化している。改憲で何をしたいのかが見えないのです。

(聞き手=本紙・高月太樹)
▽はせべ・やすお 1956年10月22日生まれ。東大卒。学習院大、東大で教授を務めた後、早大大学院教授。「安保法制から考える憲法と立憲主義・民主主義」(有斐閣)など著書多数。

【日刊ゲンダイ 2017年10月20日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


安倍政権存続こそ国難だ 野党は悪魔とでも組む覚悟が必要
[Sunday,October1,2017]

安倍首相が28日の臨時国会冒頭に解散することを正式に発表。森友・加計学園疑惑でニッチもサッチも行かなくなったものだから、野党の選挙準備が間に合わないうちに解散し、北朝鮮危機も利用して、火事場泥棒よろしく議席をかすめとる算段だ。
 安倍は25日の会見で、解散の理由を「国難」と言った。少子高齢化や緊迫する北朝鮮情勢。「この国難を乗り越えるために、どうしても今、国民の声を聴かなければならない」と。それで「国難突破解散」というのだが、ご自慢の「仕事人内閣」で突破できない国難が、なぜ解散することで突破できるようになるのか、首をひねった国民は多いはずだ。
「新自由主義にかぶれて、若者が安心して結婚や子育てができない格差固定社会をつくりだし、北朝鮮の暴発をあおっているのは誰なのか。そのうえ、この解散で北朝鮮に対する圧力強化への支持を求めるなんて、狂気の沙汰です。放火犯がエラソーに『このままでは大惨事になるから、みんな消火に協力しろ』と強要しておいて、自分はまた新たに火をつけようとしている。今が国難というならば、それは安倍首相が国家権力を私物化し、好き放題やってきた結果です。この5年間で外交も内政もメチャクチャにされてしまった。いまや安倍政権の存在そのものが国難なのです」(政治評論家・本澤二郎氏)
日蓮は「立正安国論」で「他の邪教を信じたら国難が襲い掛かる」と主張した。そのひとつが元寇だと訴えた。日蓮に倣ったのか、安倍も北朝鮮の脅威を持ち出し、「国難」だから、他の政党を支持したら大変なことになると脅している。
■野党が割れれば自民を利するだけ
 だが、皮肉なことに、「国難突破解散」というこじつけは、かえって安倍の浅薄な思惑を印象づけただけだった。会見直後から、ツイッターでは「#お前が国難」がトレンドの上位に入る話題になった。疑惑隠し解散だということは、国民も見抜いているのだ。
 これまでも、選挙では「経済最優先」と騙り、それで多数議席を得た途端、主な争点に掲げなかった特定秘密保護法や安保法、共謀罪などを強引に成立させてきたのが安倍政権だ。今回は何を企んでいるのか。25日の会見で安倍は憲法改正に触れなかったが、選挙に勝てば一気に憲法9条の改正に動き出す。あるいは、米朝の戦争に参加を決める。とにかくロクなことにならないのは確かだ。いま、この政権を叩き潰さないと、何をしでかすか分からない。
そこで、問題は野党である。野党第一党の民進党からは「共産党とは組めない」という離党者が続出。小池新党の人気にすがる離党の動きも止まらない。こんな体たらくで安倍の暴走を止めることができるのか。
「野党が割れれば、自民党を利するだけです。野党間で選挙区調整をして、候補者を一本化しなければ勝てないことは、誰が考えても分かる。本気で安倍政権を倒す気概があるのなら、最大野党の民進党には、真意が読み切れない小池新党や、頑迷な共産党とも組むリアリズムが必要です。小池新党にしても、標榜する“非自民”が本当なら、民進との選挙協力は当たり前のこと。非自民勢力がまとまれば、全選挙区で1対1の構図に持ち込める。そこで初めて与党との勝負になります」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
■毒をもって毒を制す」で政権を終わらせることが命題
 安倍の解散発表会見にぶつけるように「希望の党」という党名を発表し、新党代表に就くことを宣言した小池都知事は、やはりパフォーマンス巧者だ。メディアは小池に飛びついた。
 このままでは7月の都議選と同じで、総選挙も自民党と小池新党の対決構図になる。民進、社民、共産の野党3党は埋没してしまう。
「小池新党なんて、後になって『とんでもないあだ花だった』ということになるかもしれない。しかし、小池氏が打ち出した原発ゼロと消費税凍結は、安倍政権の痛いところを突いている。蛇の道は蛇ということわざもありますが、小池氏は自民党の弱点を知り尽くしています。この選挙は“安倍か、反安倍か”の戦いなのです。安倍政権を終わらせてほしいと願う多くの国民の声に応えることが、野党の責務ですよ。民進党が『共産党とは協力できない』とか『小池新党とは組めない』などとガタガタ言って選挙協力を拒否するのであれば、自民党を勝たせ、喜ばせるだけです。これでは自民の補完勢力と見られても仕方がない。そんな政治家はいなくなってもらった方が国民のためです」(本澤二郎氏=前出)
小池新党については、改憲派だから自民の補完勢力だとか、理念がよくわからないという懸念もあるが、非自民勢力がバラバラでは話にならない。ペテンの才能にかけては安倍に勝るとも劣らないのが小池なのである。ここは「毒をもって毒を制す」もアリだ。しかも今回は短期決戦。小池が再び「崖から飛び降り」て風を起こせば、一気に安倍政権を追いつめることも不可能ではない。
■フタを開けてビックリの展開も
 安倍は北朝鮮のミサイル発射を誰よりあしざまに非難し、危機をあおるのに、28日の臨時国会冒頭に予定されていた北朝鮮への非難決議はスッ飛ばして衆議院を解散する。開会式も、所信表明も行わないのは前代未聞だ。野党が憲法の規定に基づいて要求していた臨時国会を3カ月も開かず、ようやく召集日を決めたと思ったら、国難だとか言い出して審議から逃げた。こんなデタラメは、国民世論をナメきっている証拠だ。
民進党の前原代表は26日の常任幹事会で「北朝鮮への非難決議を避け、国民の総意を示さない。こんなひどいことはない。どんな手段をつかっても安倍政権を終わらせる」と話した。その言葉の本気度が問われている。
 それこそ権力維持の手段を選ばないのが自民党なのである。勝つためなら憲法も無視し、平気でウソをつく。だまされた国民が悪いと舌を出す鉄面皮。そういう狡猾な与党と対抗するには、悪魔とでも組む覚悟が必要だ。安倍という国難にどう立ち向かうのか。「あいつは嫌だ」と自分の勝手な都合でグダグダ言っている時間はない。野党協力への対応で、政治家の危機感と覚悟が分かる。
 前原は26日夜、小池と会談。合流をめぐって協議したもようだ。これに先立ち、昼間は最大の支持団体である連合の神津会長と会談し、希望の党と組む方針を説明したとみられる。非自民結集が成就すれば、選挙情勢はガラリと変わる。政治ジャーナリストの山田厚俊氏もこう言う。
「地方レベルでは、すでに民進党と共産党の選挙協力体制が進んでいるところもあります。民進党が都市部は希望の党、地方は共産党と協力体制を進めれば、意外とすんなりすみ分けができるのではないか。政策が水と油の公明党とも結んで、政権与党の座を維持してきた自民党のしたたかさを見習うべきです。民進党と希望の党が組み、共産党とも協力できれば、政権交代可能な2大政党制に向けた政界再編のスイッチが入る。それで政治に緊張感が生まれれば、安倍政権のような傲慢で自分勝手な政権運営はできなくなります。それは国民にとって大きなメリットです」
 総裁3選と憲法改正という個人的な野望しか頭にない安倍は、所属議員が何人落選しようと、自公で過半数を維持すれば、これまで通り好き勝手に国を動かせると考えているはずだ。「小池新党も改憲勢力だから、合わせて3分の2議席になれば改憲戦略に支障はない」くらいに甘く考えていたかもしれないが、フタを開けて真っ青という展開もあり得る。
 この解散・総選挙は民主主義と立憲主義を軽んじる安倍政権を倒す絶好の機会なのだ。今こそ野党の覚悟を見せて欲しい。

【日刊ゲンダイ 2017年9月27日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


国民感情を逆撫で 日本を壊した4首相のバカ笑い別荘写真
[Saturday,September2,2017]

「マトモな人間なら、あそこまで大笑いできません。歴代首相が4人もそろって何をふざけているのか。『こんな日本に誰がしたんだ、キミたちじゃないか!』と叱り飛ばしたくなりますよ」
 政治評論家の森田実氏はそう憤怒していたが、この写真を見れば誰もが嫌な気持ちになるはずだ。安倍首相の夏休み終了のタイミングに合わせたのか、25日大新聞がなぜか一斉に掲載した一枚。今月15日夜、日本財団の笹川陽平会長が山梨・鳴沢村にある自身の別荘に現職の安倍と森、小泉、麻生ら歴代首相を招き、会食した際の写真である。
 安倍は例年、夏休みには鳴沢村の別荘に10日近く滞在。加計孝太郎・加計学園理事長ら「腹心の友」を招き、ゴルフやバーベキューに明け暮れていたが、今年ばかりは加計学園疑惑がくすぶり続ける中、渦中の人物と一緒に遊びほうけるわけにもいかない。
大好きなゴルフを封印し、遊び相手もいなくなって歴代首相と会食の手はずとなったのだろう。それにしてもだ。大口を開けてバカ笑いしている森や、赤ら顔でのけ反って笑う小泉たちのザマは何なのか。
 ハッキリ言って、この大笑い4人組は日本をメタメタにブッ壊した張本人。経済失策の連続で、1991年のバブル崩壊以降の「失われた10年」を「20年」「30年」と長引かせた責任者。おまけに米国の言いなりで自衛隊と米軍の一体化をどんどん進め、シッポを振り続けてきた亡国の徒ではないか。
 2000年に5人組の密室談合で発足した森政権以降、歴代自民党政権はこの国を「貧困と格差」が渦巻くヒドイ社会に変えてしまった。政権トップを務めた4悪人の高笑いは国民感情を思い切り逆撫でするものだ。
 とりわけ、この国を破滅の道へと歩ませたのが、01〜06年の小泉政権時代だ。当時、森はキングメーカー気取りで、安倍と麻生は重要閣僚を歴任。「改革なくして成長なし」のワンフレーズ政治で、「構造改革」路線をひた走った結果、行き過ぎた規制緩和がもたらしたのは、社会の大きな「歪み」である。
その歪みの象徴が、高速バスツアー事故の頻発だ。貸し切りバス事業は国の規制緩和で新規参入業者が激増し、過当競争が勃発。安全コスト軽視の格安ツアーが横行するようになり、長時間労働を強いられるドライバーの運転ミスで、十数人が犠牲となる事故が相次いでいる。
 04年には労働者派遣法を改定。製造業への派遣を解禁して以来、非正規雇用者の数は年々増え続け、今や労働者全体の4割を超えてしまった。「派遣切り」「ネットカフェ難民」「ブラック企業」という言葉を頻繁に耳にするようになったのも、小泉時代からだ。
 当然、低賃金の非正規が増えれば国民全体が貧しくなる。厚労省の毎月勤労統計調査のうち、1人当たりの「現金給与総額」は、小泉政権発足直後の01年6月には48万5588円。対する今年6月の同じ数字は43万3043円だ。この16年間で労働者の平均賃金は5万円以上も減ってしまったのだ。経済アナリストの菊池英博氏はこう指摘する。
「小泉政権の大罪のひとつが『小さすぎる政府』を目指したこと。ただでさえ、日本の財政支出額は先進国の中で最低レベルだったのに、さらに切り詰めたのです。そのターゲットが社会保障費と地方交付税で、それぞれ数兆円単位で削減したため、医師不足で救急車たらい回しの『医療崩壊』が出現。そのクセ、大型店進出の規制緩和には歯止めをかけず、地方の商店街はシャッター通りと化したのです。地方がメタメタの惨状で内需は冷え込み、今なお続くデフレ不況を拡大させた罪は重い」
 これだけ国民を苦しめる大罪を犯した4人が、よくもまあガン首そろえてバカ笑いできるものだ。
■ナショナリズムに火をつけテロの標的に
 長引くデフレ不況のあおりで、日本の国際競争力も凋落の一途だ。主要国の名目GDPを比較すると、1997年を100とした指数は16年に米国が218、英国が205、ドイツが160と順調に成長を続けているのに、日本は88と独り負けだ。2010年には中国に抜かれ、約半世紀も死守してきたGDP世界第2位の座を明け渡した。
経済低迷で国の借金だけが膨れ上がり、13年には1000兆円を突破。国際競争から取り残されて日本人が自信を失った反動だろう。狭小なナショナリズムに火がつき、「反中嫌韓」「ネトウヨ」なる言葉が定着していった。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「世の中全体が右傾化する中、03年のイラク派遣以降は自衛隊の海外展開はなし崩し。内実は米国追従の軍事一体化一辺倒です。安倍政権による集団的自衛権容認の安保法制によって、さらに一体化は強固となりましたが、その代償として日本人はテロリストの標的になってしまった。中東で日本人が人質になっても、小泉政権からは『テロには屈しない』という勇ましい一言で見殺しにしてきたのです。この強硬路線を決定づけたのも、大笑い4人組。今も安倍政権は北朝鮮有事にクチバシを挟み、進んでミサイルの的になろうとしています。国民の生命をないがしろにしておきながら、よくぞOLのインスタグラムのようにチャラチャラした写真を撮影できるものです」
■自己責任のひと言で弱者を切り捨て
 日本社会を貧困と格差のドン底に叩き落としながら、政権とつるんだ一握りの“利権屋”が跋扈するようになったのも、小泉政権時代以降の弊害だ。
「労働法制の規制緩和に血道を上げ、派遣社員を増大させた竹中平蔵氏が、人材派遣会社の会長に収まったのが、いい例です。規制改革会議の議長だった宮内義彦氏が率いるオリックスに『かんぽの宿』が安値で一括売却されかけた騒ぎもありました。まるで『規制を破壊せよ、そこに利権がある』と言わんばかりで、獣医学部新設の加計問題に通じる権力の私物化の悪弊はこの頃から芽生えてきたのです」(菊池英博氏=前出)
「小泉チルドレン」や「魔の2回生」に代表される政治家の劣化。「政治主導」に名を借りた官僚制度の寸断による行政の公私混同。地元の意向を無視して辺野古移設をゴリ押し、沖縄の基地問題をこじれさせたのも4悪人の責任だ。
4悪人の罪状を挙げていけばキリがないほどだが、高笑いの一枚に歴代自民党政権の悪巧み、破廉恥、国民愚弄、権力の私物化、お気楽と全てが写っている。前出の森田実氏はこう言った。
「何より彼らが罪深いのは国民の人心を荒廃させたことです。新自由主義に根差した拝金主義を奨励し、『今さえ自分さえよければ、カネさえ儲かれば』という風潮が蔓延。日本古来の助け合いの文化はズタズタとなり、『自己責任』という言葉で弱者を切り捨てるようになったのです。ここまで日本を破壊しながら、他人の別荘で高笑い写真とはいい気なもの。『フザケルナ』の一言です」
 国民もいつまでも4悪人の跋扈を許し、バカにされている場合ではない。

【日刊ゲンダイ 2017年8月26日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


大谷昭宏氏「バカが権力を握っている」と報ずるべきだ
[Tuesday,July11,2017]

「巨大な権力者に批判的な目を向け、説明責任を果たさせる」――。今年1月の任期最後の会見で記者団に向かってこう訴えたのは米国のオバマ前大統領だった。不都合な報道を「フェイク(偽)」と批判するトランプ大統領を意識し、メディアの権力監視の重要性を強調したのだが、この言葉を日本メディアはどう受け止めただろうか。第2次安倍政権発足後、政権に辛口のテレビコメンテーターは次々と姿を消し、大手紙では以前と比べて政権批判の記事が減ったといわれる。最近では、前川喜平前文科次官の出会い系バー通いを報じた読売新聞に対し、「官邸の意向」との批判も出たが、今のメディアの体質を気骨のジャーナリストで元読売新聞記者の大谷昭宏氏はどう見ているのか。
■政権中枢と会食するならなれ合いになるな
――読売新聞の「前川前次官 出会い系バー通い」の記事について「官邸の意向を受けた前川潰し」との批判が出ました。読売OBとして、あの記事をどう見ましたか。
すぐに「マル是」(絶対外せない是非モノ)、「ワケアリ」と分かりました。というのも私は仕事の関係で東京と大阪を行ったり来たりしていて、東京では東京本社版、事務所や自宅のある大阪では大阪本社版を読んでいます。東京、大阪の紙面はふつう、ガラリと違います。
 例えば、都議選のアンケート結果を大阪版に大きく載せても意味がないし、逆に兵庫知事選のアンケートを東京版に入れても仕方がない。どちらかがベタ扱いなど、記事の大きさ、掲載場所、見出しは全く異なります。ところが、あの記事は東京、大阪、西部本社など、いずれの紙面でも記事の配置、見出し、行数が同じ。こんな偶然はあり得ず、読売関係者が見れば一目で「マル是」「ワケアリ」。おそらくトップの意向だったのでしょう。
――「官邸の意向」が働いたと思いますか。
 前川さんは1月に出会い系バーに通っていることを官邸から注意されていました。それがなぜ、5月の段階で表面化したのか。しかも、あの記事が出て、他紙やテレビは「通っていた歌舞伎町の店はどこだ」となったわけですが、歌舞伎町の出会い系バーなんて数百店舗あるのに、各社そろって同じ店に取材に駆け付けたのです。なぜそんなことができたのかといえば、官邸から伝わったからとしか考えられません。そうでなければ、多くの記者が歌舞伎町の出会い系バーを片っ端から走り回って大変なことになっていたでしょう。官邸筋がスキャンダル記事を書かせることで前川さんの“口封じ”を図った。そう考えるのが自然です。
――メディアが権力に迎合して個人攻撃の記事を掲載したとすれば恐ろしい話ですが、メディアの幹部が安倍首相と頻繁に会食していることも背景にあるのでしょうか。
 お義理で、というのか定期的なのか分かりませんが、私はメディアの幹部が安倍首相と会食しても構わないと思っています。問題は食事をしたからといって、それで筆が折れるようではどうしようもないということです。極端な話、安倍首相と毎晩、食事したっていい。ヘトヘトになるまで付き合って、そこで「あなたの本音はどこにあるのか」と徹底的に聞き出せばいいのです。それが、「今度の憲法記念日にはぜひ、総理のお話を載せたい。国会でその記事を熟読して、と言っていただけると大変ありがたい」――ということが仮にあったとすれば、それは単なるなれ合い。政権もメディアもお互いの距離感が分からなくなっているのだと思います。
■取材先のためにもダメな部分を指摘する
――かつての大阪読売社会部「黒田軍団」でスクープ記事を連発した敏腕記者から見て、今のメディアの記者はどう映っていますか。
 メディアが斜陽産業と言われて久しいわけですが、それでも例えば、テレビ局は8000〜9000人が採用試験に応募し、激烈な試験を越えた局員が入社してきます。ところが、何をしたいのかを聞いても答えが返ってきません。つまり、メディアに就職することがゴールになっている。
 我々の世代は、何が何でも新聞記者になって、その次にどんな記者を目指すのか――ばかりを考えていました。就職イコール出発点だったのです。言葉は悪いが、伸びしろのあるバカもたくさんいたわけですが、今はそういう大化けするバカがいなくなりました。ある意味、“完成形”で入社してくるため、社会悪と闘おうという気はないのでしょう。反権力なんて意識はもともと持ち合わせていないのではないかとも思います。
――サツ回り(警察担当)から始まり、その後、官公庁を担当する記者の教育システムが権力寄りの記者を生む、との指摘もあります。
 私は記者生活のほとんどが警察担当でしたが、爪と牙を抜かれて羊のようになったかといえば、そんなことはありません。ある大手紙の記者は「我々は取材先を大事にする。しかし、その取材先が腐っていて、インチキな情報を流したとすれば我々も同じように100%腐ってしまう」と言っていました。コンピューターウイルスの感染と同じようなもので、ダメなことはダメだときちんと指摘する。それが記者と取材先の本来の関係というわけです。取材先が怒るから書かないのではなく、取材先を大事にしているからこそ、書かないといけない。(権力寄りと言われる記者は)それが分かっていない。
――官邸の記者クラブでは、東京新聞の女性記者が菅官房長官に繰り返し厳しい質問をしたためにクラブの記者から注意されたとの話もありました。記者クラブについてはどう考えていますか。
 排他的になっていたり、女性記者の質問を他社が抑えつけたりしていたとすれば、それは記者クラブの問題というよりもクラブ員側の問題だと思います。要するに運用の仕方です。どうも(クラブの置かれた場所の)取材先が便宜を図ってくれているとカン違いしているのではないか。だから(記者発表が予定されている内容を示す)黒板協定を守らなきゃいけないと思っている。しかし、日本新聞協会が認めている唯一の協定は「誘拐報道協定」しかありません。黒板協定なんて守る必要はないのです。
 記者クラブ制度が悪いというより、(取材対象の発言をテキスト文書にまとめる)トリテキが仕事だと思っている記者たちが、今のクラブの在り方で本当にいいのか考えるべきなのです。そして、どんどんオープンにすればいい。フリー記者の厳しい質問で、(今村雅弘復興)大臣のクビが飛んだじゃないですか。トリテキのクラブ員だけの会見だったら、あんなに面白いことは起きませんよ。
――特定秘密保護法、安保法、共謀罪……。いずれも安倍政権が世論を無視して強行採決で成立させた法律ですが、大手メディアは一応、反対の姿勢は取るけれども、アリバイ的というのか、どこか腰が引けていますね。
 今の現有勢力から見れば、法案が委員会審議に付託された段階で通ったも同然です。そういう意味では、抵抗することの意味が記者の間で分からなくなっているのかもしれません。しかし、どうせ通るのだからと考えているのだとしたら、口も目も耳もふさがれたも同然ではないか。
■安倍首相は戦後最悪の宰相
――そこでジャーナリストの鳥越俊太郎氏らと一緒に議員会館や日本記者クラブなどで反対集会を盛んに開いているのですね。
「60年安保」や「70年安保」が今も語り継がれているように、世論に訴えることに意味がある。例えば国民の内心にまで踏み込む共謀罪については、「こんな危ないものを通していいのか」「通った時は大変なことになる」と国民に訴えていかなければならない。危ないということをアピールする必要があるのです。
――あらためてジャーナリズムとは何だと思いますか。
 この仕事を約50年やっていますが、ジャーナリズムが何かというのは今でも分かりません。ただ、あまたある仕事の中で、なぜ記者になったのか、何のためにやっているのかを問い続けるしかないと思っています。安倍首相は戦後最悪の宰相であり、メディアがやるべきことは、「バカが権力を握っている」ということを国民に知らせること。どんな理由があっても、決してなびいていてはならないのです。
(聞き手=本紙・遠山嘉之)
▽おおたに・あきひろ 1945年、東京生まれ。71歳。早大政経学部卒。読売新聞大阪本社入社、徳島支局を経て、大阪本社社会部で府警を担当。朝刊社会面コラム「窓」などを担当し、87年、退社。以降、大阪に事務所を設けてジャーナリズム活動を展開し、テレビ、ラジオにコメンテーターとして出演。「事件記者という生き方」(平凡社)など著書多数。

【日刊ゲンダイ 2017年7月10日

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


読売新聞は権力に魂を売って官邸の下足番に成り下がった
[Friday,June30,2017]

読売新聞の衰弱がひどい。5月3日付の同紙に安倍晋三首相が改憲への真情を吐露したのはいいとしても、それを国会の審議の場で問われて、「読売新聞を熟読してほしい」と言ったのは筋違いも甚だしいことで、最も崇高であるべき論戦の場を総理が進んでおとしめるかの妄言であったし、逆に読売新聞はあたかも安倍後援会の機関紙であるかに扱われたことを恥とすべきであったろう。
 そのような安倍と読売の異常な関係がさらに浮き彫りになったのは、加計学園問題で勇気ある告発をした前川喜平前文科事務次官が「援助交際バー」のようなところに通っていたという“スクープ”を読売が掲げると、すかさず菅義偉官房長官がそれを「印象操作」に使って、記者会見の場で前次官を人格的におとしめるかの発言をしたことである。
 その記事は誰が読んでも取材不足の生煮えで、警察が得た尾行情報が官邸に上がってそれを読売に書かせた「やらせ記事」であることは容易に推測がついた。読売には読者から抗議が殺到し、中には「親の代からずっと購読してきたが、もうやめる」といった怒りの声も少なくなかったという。あまりの反響の大きさに、慌てて社会部長名でこの記事がいかに公正であったかを強調した弁解記事を出したが、恥の上塗りとなっただけだった。
もうひとつ、耳を疑うような出来事を聞かされた。それは6月8日の官邸定例会見で菅が「怪文書」と決めつけた政府内文書を「なぜ再調査しないのか」と執拗に食い下がってすっかり有名になった東京新聞の望月衣塑子記者に対する読売官邸キャップの“仕打ち”である。定例会見はいつも10分か15分で終わるというのに、彼女が食い下がり、それをジャパンタイムズのベテラン記者が援護射撃して20分も長引いた。
 すると、読売のキャップが東京新聞のキャップのところへ飛んできて「何だあいつは。あんなヤツを二度と会見場に入れるな! これはクラブの総意だからな」と怒鳴り上げたというのである。クラブの総会もキャップ会も開かれていないのに、なぜ彼の意見が「総意」になるのか、一同唖然としたそうだが、それほど逆上してしまったということなのだろう。
 こんな権力に魂を売って菅官房長官の下足番みたいなことをしているあさましい連中が作っている新聞はもう読むのはやめて、夕刊紙は日刊ゲンダイ、一般紙は東京新聞と決めたほうがよさそうだ。

高野孟ジャーナリスト1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

【日刊ゲンダイ 2017年6月29日

その通り、同感!!!私の引用文は、全て『日刊ゲンダイ』と『東京新聞』に依っている。

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


中国人の邦人虐殺、通州事件を学べ
[Wednesday,January18,2017]

中国人の邦人虐殺、通州事件を学べ
『文藝春秋』元名物編集長の堤堯氏が嘆く。─氏と同年代(70代後半)の日本男児が余りにも歴史を知らないと。
「仙台の中学の同期生、12〜13人の集まりで通州事件を知ってるかと尋ねたら、知っていたのがわずか3〜4人。歴史呆けは若いモンだけじゃない」
詳細は後述するが、通州事件は昭和12(1937)年7月29日払暁に、中国河北省通州で発生した日本人虐殺事件である。日本人を守るべき立場にあった中国人保安隊が一挙に襲いかかり、日本人居留民225名に加えて日本軍守備隊32名の計257 名を尋常ならざる残酷な方法で殺した。
日中戦争のこの重要事件を知らないのは堤氏の友人だけではない。他の多くの日本人も同様ではないか。その理由について、『慟哭の通州 昭和十二年夏の虐殺事件』(飛鳥新社)を 上梓した加藤康男氏が非常に重要なことを指摘している ─ 「日本政府は戦後一貫して事件のことを口にしていない。奇妙なことだが、日中両国政府がこの事件を『なかったこと』にしてしまっているとしか思えない」。
中国への配慮からか、同事件に一切触れない外務省だけでなく、中国政府もこの事件を歴史から消し去ろうとしていると加藤氏が言うのは現地を取材したうえでのことだ。いま事件現場を訪れると、城壁や城門はおろか通州城の面影を示す建物全てが壊されているそうだ。破壊は90年 代に始まり、事件関連の建物の一切合切がすでに消えている。さらに通州は北京市に編入され、副都心化に向けた建設によって昔日の歴史がきれいさっぱり拭い去られようとしている。
「南京や盧溝橋はもとより、滿洲各地にある旧大和ホテルに至るまでが 『対日歴史戦』 の遺跡として宣伝利用されていることを考えると、雲泥の差である。『通州虐殺事件』の痕跡 は極めて都合が悪いので、完膚なきまでに消し去ったものとしか考えられなかった」との氏の直感は恐らく当たっていると思う。
凄惨な目撃談
中国人は長い時間をかけて歴史を書きかえつつあるのだ。彼らは、恐らく人類史上最も残虐な民族である。 だからこそ、日本人を中国人よりも尚残虐な民族に仕立て上げ、免罪符を得ようとしているのではないか。 そのためには、悪魔の所業としか思えない残虐な方法で中国人が日本人を殺害した痕跡の全てを消し去らなければならない。それがいま、通州で起きていることではないか。
通州事件が発生した前年の12月に、 蒋介石が張学良に拘束され、国民党と共産党が抗日で協力する体制が生まれた。西安事件である。国民党軍と共産党軍が対日戦で協力するとはいえ、中国各地には彼らの他に匪賊、馬賊が入りまじって戦う複雑な状況があった。しかし、通州城内は防共自治政府の保安隊(中国人部隊)によって守られているから安全だと信じられていたと、加藤氏は説明する。事件発生当時、邦人の安全を担う日本側の警備隊は用務員、小使らを加えても163名が全てだった。対する中国人保安隊は城内に3300 名、城外に2500名がいた。
この勢力が29日午前3時すぎ、一挙に日本人を襲い始めた。悪魔の所業は加藤氏の『慟哭の通州』もしくは今年出版されたもう1冊の本、『通州事件 目撃者の証言』(藤岡信勝編著・自由社)に詳しい。
中国人は日本人の目を抉り取り、 腹部を切り裂いて10b以上も腸を引っ張り出した。女性を犯したうえで無残に殺した。何人もの日本人を生きたまま針金で掌を貫いてつなぎ、 なぶり殺しにした。日本人の遺体は全て蓮池に放り込まれ、池は真っ赤に染まった。こうして書いていると息が苦しくなる。日本人には信じ難い地獄を、中国人は実際に次から次へとやってのけた。なぜこんなことが分かるか。 夫が中国人で通州に住んでいた佐々木テンさんが事件の一部始終を目撃していたのだ。佐々木さんはその後、夫と別れて、昭和15年に日本に戻った。50年後、彼女は佐賀県基山町の因通寺住職、調寛雅氏に凄惨な目撃体験について語り始めた。それがいま、前述の『慟哭の通州』と『通州事件』につながっているのだ。当時の歴史を振りかえると中国側が如何に対日戦争に向かって走っていたかがよく分かる。戦争をしたかったのは中国であり、日本ではなかった。このことは立命館大学の北村稔教授が林思雲氏と共著で出版した『日中戦争─戦争を望んだ中国望まなかった日本』 (PHP研究所)にも詳しい。
加藤氏も中国人の好戦性を書いている。昭和12年7月7日夜、北京郊外で勃発した盧溝橋事件は、国民党の宋哲元軍長麾下の第29軍が日本軍に発砲したことが契機である。日本政府はいち早く事件の不拡大を決定したが、中国側の挑発は続いた。10 日には中国人斥候が日本軍将校を銃撃、13日には日本軍のトラックが爆破され、4名が死亡する「大紅門事件」が起きた。
反撃の材料
25日には北京郊外の駅、郎坊で軍用電線が中国側に切断され、修理に向かった日本軍の補修隊が迫撃砲による砲撃を含む激しい攻撃を受けた。ここに到って日本側は先に閣議決定 しながら実施せずにいた派兵を実行することになったのだ。こうした歴史を日本人は余りにも知らない。意識しない。中国の歴史捏造に反論しないのは、そもそも、このような歴史を知らないからだ。
堤氏が語る。「岩波の『近代日本総合年表』は、世界の歴史を1日刻みで輪切りにして書いていますが、僕の手元にある版には通州事件が載ってない。これはおかしいと、岩波に問うたら、通州事件を加える必要を認めない、要は編集権の問題だというのです。ただ、その後に出版されたものには通州事件も入っていた。僕の抗議が功を奏したのかもしれませんね」 中国が歴史を捏造し、日本に酷い非難を浴びせでも、外務省は反撃しない。反撃の材料のひとつである通州事件にも、加藤氏が指摘するように一度も言及していない。学校でも通州事件を含めて歴史そのものを余り教えない。この奇妙な知的無関心の中で、通州事件は、中国の企むように忘れ去られていくのか。断じて、そんなことは許されないだろう。 私たちはもっと先人たちの思いや 体験に心を致すべきだ。日本を作ってきた先人たちの努力や誠実さを知るべきだ。日本人の歩みを知らない ことによって歴史の真実から遠ざかり、日本悪玉論を軸とする中国の歴史の見方に自ら転げ落ちてはなるまい。加藤氏の『慟哭の通州』と藤岡氏の『通州事件』を、日本人なら、いまこそ読むように強く勧めたい。

櫻井よしこ 20161117日号週刊新潮

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


都政を食い物にした石原慎太郎氏 都知事時代の“黒歴史”
[Monday,October10,2016]

豊洲市場の「盛り土」をめぐり、「調査に協力したい」と口にしていたくせに、一転してヒアリングを拒否した石原慎太郎氏(84)。さすがに小池百合子都知事(64)も「あら、そうですか」と言うわけにいかず、質問書を送り付けている。さんざん都政を私物化し、食い物にしておきながら逃げ切ろうなんて許されるはずがない。慎太郎氏は知事時代、巨額の税金を浪費していたのだ。
 そもそも、舛添前知事時代に大問題になった海外豪華出張の先鞭をつけたのも石原氏だ。任期13年中、海外出張に出かけたのは34回、計201日に上る。都庁には週2、3回しか顔を出さなかったのに、外遊は4カ月に1回のペースだった(別表参照)。最高額は12人で連れ立った11泊12日のベルリン、ワルシャワ、クラクフ周遊。約4811万円も費やしていた。詳細が判明している30回分の平均は1681万8636円、計約5億455万円に達した。
 ツルの一声で2001年に始めたトーキョーワンダーサイト(TWS)では、芸術家として目立った受賞歴もない四男を「余人をもって替えがたい」と重用。外部役員を務めさせ、都の予算を注ぎ込んだ。初年度は約5600万円だったのが、5年後には8倍近い約4億4209万円に膨れ上がった。身内を優遇する事業に約7億2200万円も突っ込んでいたのだから、開いた口が塞がらない。
 猛反対を押し切って設立した「新銀行東京」はすぐに傾いて出資金1000億円がパー。追加で500億円も血税を回すハメになった。
 豊洲市場の移転も、盛り土問題も、石原時代に決まったことだ。知っていることは洗いざらい話すのが筋だろう。

【日刊ゲンダイ2016年10月9日】

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


「日本人は教養不足」「習近平を見習え」鳩山由紀夫訪韓妄言録
[Thursday,January14,2016]

「学生を中心に、学者や一般市民も来ていました。鳩山氏は、韓国では“良心派” として人気が高い。2、3百人が入る大講堂は満席でした」(現地記者)
日本中の度肝を抜いた“土下座外交”から3ケ月鳩山首相元首相(68)が、また韓国を訪れた。
3年半ぶりの日韓首脳会談直後の11月5日、鳩山氏が講義を行ったのは名門・ソウル大学。
「テーマは『日韓国交正常化50年に日韓関係を再び見つめなおす』でしたが、依頼した韓国側の思惑通り、内容は安倍政権批判のオンパレード。相変わらずの外交センスの無さを発揮しました」(同前)
冒頭、これまでに天皇陛下が韓国の歴代大統領に話された内容を紹介。
94年の晩餐会で、陛下が金泳三大統領に「過去の歴史に対する深い反省の上に立って」と謝罪したことに触れると、暴走が始まった。翌年の村山談話について、「天皇陛下の気持ち更に具体的に表現して、日本の進むべき道を示したものとして評価をすべき」と、勝手に天皇陛下のお気持ちを代弁。
一方、8月に発表された安倍談話については、「侵略の過去をお詫びする形にはなっていない」「安倍首相は自らを愛国者とはき違えているのでしょうが、自信のなさの裏返し」仕舞には「このような内容になってしまったことを申し訳なく思う」と、得意の謝罪外交を展開した。さらには中国脅威論を煽る安倍首相に対して、中国の習近平主席は30万人の丙両区削減を表明したとして、「(習氏を)見習うべきではないかと、提言。まさか中国の二枚舌外交を見習うべきということでもあるまい。
8月には、ソウルの西大門刑務所跡地で慰霊碑にひざまずいて謝罪した鳩山氏。
当時、国内で、“土下座外交”と批判されたのを意識したのか、
「政治エリート層に反知性主義が蔓延している.反知性主義と戦うために、日本人一人ひとりの教養を高めることが求められている」と、日本人批判も忘れなかった。
そのほか、TPP批判や自身が提唱する「東アジア共同体」の必要性など、70分に渡って熱弁。韓国メディアは多数取材に来ていたという。
「土下座外交は安倍談話の直前、今回は日韓首脳会談の直後。韓国にとって、鳩山さんは便利な存在になっています」(政治部デスク)
鳩山氏周辺が語る。「8月に帰国した後『土下座はまずいんじゃないですか』というと『あれは、作法だから』と悪びれた様子は一切なかった。鳩山さんはいい人。今も彼を人間的に慕う人は多いですが、政治的には誰も何も言えない状況です」
今回の発言を報じた新聞は産経のみ。もはや各紙「発言内容のメモさえ回らない」(政治部記者)状況で、外務省も完全無視の方針だという。韓国での発言の真意を聞こうと鳩山氏に電話すると、「ちゃんと正確な記事を書いて頂けるならいいですけど、また批判的な話にもっていかれるんじゃないかと思うmpのですから。私が直接応じると問題になりますので、事務所に連絡してください」
外交にもこれくらい慎重になった方がいいのでは?

【週刊文春平成27年11月19日号】

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


これが本当の「土下座外交」
[Wednesday,November18,2015]

2010年の首相退陣後、尖閣問題やクリミア併合などにおいて独自の“暴走外交”を繰り返してきた鳩山由紀夫氏(68)。今度の舞台は韓国だった。
8月12日、日本の植民地時代に独立運動家を収監したソウル・西大門刑務所の跡地。鳩山氏は追悼碑の前でひざまずき、、恭しく頭を下げて謝罪に意を示した。その格好はまさに土下座そのもの。終戦記念日を目前にしての身勝手な振る舞いに日本中から非難の声が上がった。
しかし、当の本人はどこ吹く風。「(お詫びの)表現は、傷ついた国々の国民が『やめてもよい』と言う時期が来るまで続けなければ」と語る始末なのだ。
京都大学名誉教授の中西輝政氏が痛烈に批判する。
「日本人なら鳩山さんがネジの外れた人間だとわかっていますが、諸外国から見たら元首相。行動を慎むべきです。タイミングや場所から、政治的意図が感じられるし、実際に韓国も報道で利用している。明確に国益を損なっています。日本にはない法律ですが、他国なら「国家反逆罪」にあたるレベルです」
“宇宙人”と呼ばれるだけあって日本語の批判は届かぬようだが、せめてテレパシーで国民感情を察していただきたいものだ。

【週刊文春2015年8月27日号】

【追記】民主党政権の3年間が失敗し、国民から手厳しく審判が下されたことの理由として「政権担当能力が欠如していた」という。これを当人風に解釈すれば、曰く、「初めての政権交代で・・・」とか「初めての官邸で官僚らとの折衝に不慣れで・・・」などと抗弁する。が、考えてみれば「初めては」理由にならない。初めてだから、が失敗の言い訳として通用するのは童貞の性交渉だけだ。『<特集>愚者の大行進 古谷経衡』より。

【新潮45 2015年10月号】

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


原発交付金、再稼働なくても減額せず・・・政府方針
[Sunday,May5, 2012]

政府は、原子力発電所の立地市町村に支払っている電源立地地域対策交付金を、原発が再稼働しない場合でも減額しない方針を決めた。
同交付金の一部は原発の発電量実績に応じて支払われるため、再稼働できないと大幅な減額になり、立地市町村の財政悪化につながる可能性がある。こうした事態を避けることで、地元に再稼働への理解を得る狙いがあるとみられる。
対象となるのは、同交付金の中の「原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金相当部分」で、原発が発電した量に応じ、その2年後に交付金として支払われる。
ただ、安全上の理由で原発を動かさない場合は、「最大81%分の発電量実績があった」と見なして交付金を支払うとする“みなし規定”がある。政府は、昨年3月の東京電力福島第一原発事故以降の一連の再稼働の遅れは、みなし規定に該当すると判断しており、全国の商業原発50基すべてが対象となる見通しだ。

(5月5日 読売新聞)

このページのはじめにもどる

トップページへ戻る


「新・東京裁判」再読(阿川弘之)
[Thursday,April9, 2009]

本誌(2008年10月、文藝春秋)の「新・東京裁判」は中々読み応へある座談会であった。・・・その中から防衛大学校教授戸部良一氏の発言を一部引用する。
「私が東京裁判について感じるのは『負けたらこうした仕打ちを受けるのだ』ということです。当たり前のことですが、やはり負けてはいけないし、負けるような戦争をしてはならない」
まさに仰せの通り。それじゃ日本は、いつ何処で「負けるような戦争を始め」る方向へ踏み込んで行ったのか、振り返ってみれば結局、満州事変がそもそもの発端といふことになるだろう。・・・・事変は昭和6年の9月に起った。・・・その影響は21世紀のこんにちにまで及んでゐる。「あの鉄路爆破爆破こそ現場の暴走、下克上の最たるもの」と、半藤老探偵(半藤一利)が史実に基づいて指弾するのに対し、戸部教授は謀略に関与した主要人物の実名を挙げる。関東軍参謀石原莞爾中佐と石原の上司板垣征四郎大佐、彼らの企図をあらかじめ察知し得たはずなのに敢えて制止しようとしなかった関東軍指令官本庄繁中将、その要請に応じて、天皇の御裁可を得ないまま兵を満州領内へ進め、「越境将軍」ともてはやされた朝鮮軍指令官林銑十郎大将、以上4名。
「これは大元帥である天皇に対する命令違反にほかなりません。林も石原も、本来なら陸軍刑法で処罰されてしかるべきでした。これが処罰されないどころか、喝采と栄誉をもって受け入れられた(語句の一部省略)」
謀略で始まったくさの後始末が不適切で、罰すべき人物をきちんと罰しなかった結果は、国家のことなど二の次、支那事変の泥沼化から対米開戦、ミッドウェイ以後の敗戦に次ぐ敗戦、ソ聯の裏切りによる満州の惨状に至るまで13,4年間、国民に災厄を与へ続けるのです。
今年は極東軍事裁判の判決が出てから丁度60年、・・・・・それに気づいて私は2ケ月前の「文藝春秋」を取り出し、「新・東京裁判」を読み直しにかかったのだが自分流にあれこれ考へながら座談会記事を再読してゐるうち、・・・別の話が一つ頭に浮かんで来た。勝海舟晩年の片言隻語である。うろ覚えなので、巌本善治編「新訂海舟座談」(岩波文庫)を操ってみたら、勝が、「ナニ、忠義の士というものがあって、国をつぶすのだ」と言ひ、「国というものは、けっして人が取はしない。内からつぶして、西洋人に遣るのだ」と言ってゐた。
私は東京裁判を「復讐の儀式」と規定する半藤利一説に大賛成で、あれを国際正義の顕現、原告は文明などと肯定的に見る気は全く持ち合せない。しかし、市谷の法廷で裁かれたA級被告の中に、日本の国を内からつぶしてアメリカに渡してしまった「忠義の士」がかなり大勢混ってゐるのも亦否定しがたい事実であろう。その戦時中の言動を回顧すれば、彼らを今、復讐劇の犠牲者としてのみ遇することにはためらひを覚える。
偶々「海舟座談」を思ひ出したのがきっかけで、私はそんな風に考えた。まとまった所見ではないけれど、あの戦争とあの裁判とを私なりに考え改めてみることが出来て、それだけでも「新・東京裁判」再読の意義はあった。これを企画した編集スタッフと、半藤戸部両氏含めて6人の出席者に、おくればせながら謝意を表したい。

(文藝春秋、2008年12月号、「葭の髄から・140」より)

このページのはじめに戻る

トップページへ戻る


原爆投下「しょうがない」久間発言
[Monday,July2, 2007]

久間防衛相が30日、米国の原爆投下に関し「しょうがない」と発言したことに対し、広島県被団協(坪井直理事長)の畠山裕子事務局次長(68)は「原爆で亡くなった人々は仕方なく死んだのか。被爆者の気持ちが日本政府に伝わっていなかったと思うと、悲しくて言葉が出ない」と述べた。
こうした声を受けて社民党の福島党首は久間防衛相の辞任を求める談話を発表した。
民主党の菅代表代行も島根県出雲市で、国民新党の亀井久興幹事長と共に記者会見し、「防衛相として全くふさわしくない」と述べた。
これに対し、自民党の中川幹事長は遊説先の奈良市内などで、記者団に、「原爆投下とソ連参戦の関係などは、歴史観の問題で、一個人の意見だ。久間氏も(補足の)コメントをしたようなので、これで誤解が解けると思う」と述べた。

(2007年7月1日 読売新聞)

このページのはじめに戻る

トップページへ戻る


「従軍慰安婦」を米誌に‘広報した’安倍政権広報マン
[Thursday,May3, 2007]

従軍慰安婦問題で安倍首相への批判が世界に広がっている。・・・・・それにしてもなぜ今従軍慰安婦問題米マスコミで大きく取り上げられるのか。実は火付け役がいる。安倍首相の広報担当補佐官、世耕弘成氏だ。世耕氏が訪米したのは2月19日。米下院で提案されている「従軍慰安婦に関する対日謝罪決議案」について、「安倍首相の真意を説明に行く」と官邸関係者に大見得を切って出発した。しかし、「世耕氏の行動はピントはずれ」下院は祝日のため1週間休会、議員たちは地元に戻っていた。それを知っていて、世耕氏は訪米したのです。結局、ファーストクラスでの訪米で官費を200万円以上浪費しながら、一人の議員にも会えなかった」(官邸関係者)
何とか会えたのが、国務省のスティーブンス次官補代理。ヒル次官補の部下だ。「こんな下のランクの役人にわざわざ会いに来る国会議員なんていません。しかも、スティーブンス氏は慰安婦問題自体を知らなかった。それで、逆に『大変な問題だ』と思われてしまうのです」(同前)
さらに世耕氏の行動は裏目に出る。彼は騒ぎの発端となったニューヨーク・タイムズをはじめ三大TVネットワークなど大手マスコミをまわったのだ。在米記者の話。
「慰安婦問題は下院で何度も提案されている人権問題のひとつにすぎず、誰も関心がなかった。それをわざわざ首相補佐官が各マスコミをまわるものだから、寝た子を起こしたのです。そもそも法的拘束力のない決議案なので放っておけばよかったんです」
帰国後、世耕氏は安倍首相に「トータルで60人に会いました」と報告。しかし、説得すべき議員には一人も会わなかったことはひた隠し。最近は記者たちに、「訪米中、慰安婦の問題は一切話してない」とウソをついている。
官邸記者が嘆く。「補佐官を5人も起用したものの、みんな仕事がない。だからこんな事態が起きる」「広報のプロ」を自任する世耕氏の真価が問われる。

(週刊文春、3月22日号「THIS WEEK」より)

このページのはじめに戻る

トップページへ戻る