どうなってるの?

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《目次》
ゴルフで転倒 衝撃映像で露呈した安倍首相の“体調悪化説”
トランプがむさぼる8兆円 安倍政権“大盤振る舞い”の代償
賃金を犠牲にして空前の企業利益 好況大報道のドッチラケ
物価上昇率またも下方修正 黒田日銀“緩和継続”の支離滅裂
報酬は8年で2億円 「商工中金」天下り役人たちのデタラメ
森友6億円値引きでも逮捕者なし 悪党がのさばる無法国家
長谷部恭男教授が指摘 目的が分からない安倍首相は不気味
安倍政権存続こそ国難だ 野党は悪魔とでも組む覚悟が必要
国民感情を逆撫で 日本を壊した4首相のバカ笑い別荘写真
大谷昭宏氏「バカが権力を握っている」と報ずるべきだ
読売新聞は権力に魂を売って官邸の下足番に成り下がった
(必読)中国人の邦人虐殺、通州事件を学べ
都政を食い物にした石原慎太郎氏 都知事時代の“黒歴史”
「日本人は教養不足」「習近平を見習え」鳩山由紀夫訪韓妄言録
これが本当の「土下座外交」
明らかになる「想定外」の虚構
「新・東京裁判」再読(阿川弘之)
公明党よ、権力に味をしめたのか
原爆投下「しょうがない」久間発言
「従軍慰安婦」を米誌に‘広報した’安倍政権広報マン


ゴルフで転倒 衝撃映像で露呈した安倍首相の“体調悪化説”
[Thursday,November23,2017]

安倍首相が「会話が弾んで突っ込んだ話もできた」と胸を張ったトランプ大統領との“ゴルフ外交”。ところが、マトモな会話なんてできっこないと思わせる衝撃的な映像が流れ、波紋を広げている。さらに安倍首相の体調不安説まで再燃している。
 政界で話題になっているのはバンカーにハマった1番ホールでの安倍首相の衝撃映像だ。1回ではバンカーからボールを出せず、2回目のショットで何とかバンカーから脱出。安倍首相は先を歩くトランプと松山英樹に取り残されまいと、バンカーからフェアウエーに一気に駆け上がろうとしたが、バランスを崩して後方にスッテンコロリン1回転。亀みたいに手足をバタつかせて自身がバンカー入りしてしまった。この“珍プレー”をテレビ東京がニュースで放送すると、ユーチューブに映像がアップされ、瞬く間に再生回数が30万回を超えた。
「官邸側は削除依頼を繰り返しているようですが、クリックが稼げるためか、次々に同じ映像がアップされて消えません。他にも安倍首相がパットに失敗した球をトランプ氏がオーケーして投げ返す際、うまくキャッチできずカラダで受け止める映像などをNHKなどが持っているようです。官邸側は安倍首相が『成功した』と言い張る“ゴルフ外交”の珍映像がこれ以上流出することを危惧しています」(官邸事情通)
政界が注目しているのは、安倍首相の体調不安だ。ゴルフ場でのヨタヨタした姿、歩幅の狭さ、トランプが投げたボールに反応できないなど、「やはり体調が悪いのではないか」との声が上がっているのだ。
■“珍プレー”の原因は薬の副作用?
 ただでさえ、安倍首相は「潰瘍性大腸炎」という難病を抱え、先月の総選挙前後から「顔がむくんでいる」と不安視されていた。
「安倍首相は特効薬『アサコール』を服用して持病である潰瘍性大腸炎の症状を抑えていますが、最近は強いステロイドも服用している、といわれている。ステロイドには副作用があるだけに、それが体調を悪化させている可能性もあります」(前出の官邸事情通)
 薬の副作用が“バンカー地獄”の原因だったのか――。
「あくまで一般論ですが」と前置きした上で、医学博士の米山公啓氏がこう言う。
「ステロイドの副作用なら精神疾患などもっと強い症状が出るはずで、ゴルフどころではないと思います。ただバンカーで転倒した、上手にボールをキャッチできないといった行動が事実なら、加齢による小脳機能の低下が疑われます。もっとも、これらの機能は筋トレなど定期的な運動で低下を防げます。首相は運動不足が疑われます」
 首相動静によれば、安倍首相は毎月1〜4回のペースでジム通いをして汗を流したことになっている。なのに運動不足が疑われるとは、どういうことなのか。ジム通いはトレーニングのためではなく、施設内で医師と待ち合わせをし、診察を受けているともいわれている。
 安倍首相は一国をつかさどる総理大臣。自分の体調についてもキチンと説明すべきだ。
「スコア以外はすべて発表させていただいた」なんて冗談めかして隠すのは反則.。

【日刊ゲンダイ 2017年11月10日

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トランプがむさぼる8兆円 安倍政権“大盤振る舞い”の代償
[Sunday,November19,2017]

蜜月アピールの代償は、やはり大きかった。トランプ米大統領が3日間の日本滞在を終え、次の訪問先の韓国へ飛び立ったが、度肝を抜かれたのは安倍首相の気前の良さだ。先立って来日した長女・イバンカ補佐官が関わる女性起業家の支援基金に、ポンと5000万ドル(約57億円)を拠出すると表明したのはホンの序の口。トランプに渡した“手土産”の額は軽く1兆円を上回る。
「米国は日本との間に年700億ドル(約8兆円)もの貿易赤字を抱えている。対日貿易は公正ではなく、開かれてもいない」
 ゴルフなどの接待漬けも通用せず、トランプが安倍首相に一歩も譲らなかったのが、対日貿易赤字の是正だ。
 第2次安倍政権になってから、単年度で賄い切れない高額兵器の購入時に、次年度以降に分割して支払う「後年度負担」をフル活用。米国の言い値で高額兵器を買いまくり、後年度負担のツケは約5兆円の年間予算とは別に5兆円以上もたまっている。
事実上、GDPの2%に達する防衛費を投じても、対日貿易赤字は一向に埋まらない。そこで安倍政権がトランプ政権に持ちかけたのが、米国産シェールガス輸出拡大への全面協力である。
 日米両政府はきのう(6日)の首脳会談に合わせ、新興国へのエネルギーインフラ輸出で協力する覚書を締結。東南アジア各国やインドなどに、米国のシェール由来の液化天然ガス(LNG)を売り込むため、日本が官民挙げて現地でLNGの発電所や運搬船基地などの建設を支援する。支援額について、日本政府は「1兆円規模」(世耕経産相)と表明した。
■米国の輸入“地ならし”に1兆円差し出す馬鹿さ加減
 シェールガスの輸出が増えれば、米国の貿易赤字も削減できる。トランプに手っ取り早く赤字を解消してもらうお膳立てに1兆円ものジャパンマネーを差し出すのだ。
「米国産LNGは石油や他国のLNGと比べて割高です。今年から輸入を始めた日本の電力会社も、コスト押し上げの要因となって苦しんでいます。北極圏開発を進めるロシアが、より格安のLNGを売る計画もある。日本が輸出の“地ならし”をしても、新興国が米国産LNGの調達に二の足を踏めば意味がない。1兆円規模の支援が単なる外交目的の『捨て金』となりかねません」(経済評論家・斎藤満氏)
 安倍首相が人気取りのため、トランプに拉致被害者の家族と面会させたことにもデメリットはある。トランプが核・ミサイル問題に加え、拉致という人権問題にまでクチバシを突っ込めば、北朝鮮はさらに反発。いよいよ対話の糸口を探すのが困難となる。
「会計検査院は先日、米国から調達した武器の購入費を巡り、過払いの可能性を指摘。計64件、総額約672億円の支払いに過払いの疑いがあるのです。安倍首相も首脳会談の席で『調べて返金せよ』とトランプ大統領に迫るべきなのに、逆に『日本は大量の装備品を買うことが好ましい』と念を押される始末。消費税率10%引き上げで見込まれる5兆円強の増収分を全額、武器購入に充てなければ許されない勢いで、心配になります」(斎藤満氏)
 安倍首相の隷従外交により、トランプは完全に図に乗ってしまった。今後も8兆円の赤字が埋まるまで、対日FTA交渉などで容赦なく無理難題を押しつけてくるに違いない。

【日刊ゲンダイ 2017年11月8日

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賃金を犠牲にして空前の企業利益 好況大報道のドッチラケ
[Sunday,November12,2017]

いやはや最近の大新聞・テレビの報道を見ていると、日本経済はまるで「バブル景気の再来」と言わんばかりだ。
〈民間シンクタンクの予測では、7〜9月の実質経済成長率の平均は年率1.5%と7四半期連続のプラス成長〉
〈7〜9月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)は102.5で前期比0.4%上昇。リーマン・ショックが起きた08年7〜9月以来の水準〉
〈上場企業の2017年9月中間決算は過去最高益を更新する見通し〉
〈日本経済は戦後2位のいざなぎ景気を超える回復途上にある〉……。
 大々的に取り上げられている経済指数、数値をざっと挙げただけでも、今の日本が空前の好況期にあるのではないか――と錯覚してしまいそうだ。だが、いざなぎ景気を超えるほどの高揚感を感じている国民はほとんど皆無と言っていいに違いない。大マスコミの論調通り、企業業績が絶好調であれば、賃金も雇用も右肩上がりで増えておかしくないのに、そんな状況に全くなっていないからだ。
■「好景気」の中身は空っぽの“ハリボテ”
〈賃金は1997年から現在に至るまで下落傾向が続いています。国民総所得における賃金・俸給の割合は、1980年度には46.5%ありましたが、2015年度には40.5%まで低下しています〉
「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」(集英社新書)の著者で、法大教授の水野和夫氏は「月刊日本」(11月号)でこう指摘していたが、財務省の法人企業統計によると、企業利益に占める労働者の賃金割合を示す労働分配率は依然として過去最低水準のままだ。
 それもそのはずで、財務省調査に対して2016年度の内部留保が「増えた」と回答した企業は8割にも上る。つまり、企業側はひたすらため込むばかりで労働者にちっとも還元しないのだから、賃金が上がるワケがない。なるほど、過去最高益と浮かれまくっている大企業の内部留保が400兆円を突破するのも当然だ。水野和夫氏があらためてこう言う。
「労働分配率が下がっているということは、本来は労働者が受け取るべき賃金が企業利益に付け替えられているということを意味します。つまり、賃金が下がっている分、労働者はよりたくさん働かなくてはいけないわけです。(好景気と報じられているが)今の日本経済は一言で言えば、まさに新自由主義派の思い描いていた通りの展開であり、そのしわ寄せが労働者の負担増につながっているのです」
 そもそも、大マスコミは「いざなぎ景気超え」と大騒ぎしているが、カラーテレビ、自動車、クーラーの「3C」が牽引役となった当時と今の経済状況を比べると力強さがまるで違う。かつて世界のモノづくりをリードし、高付加価値の商品開発を得意とした日本の製造業の姿は今や見る影もない。将来の需要拡大が期待されているAI(人工知能)やEV(電気自動車)も欧米の後塵を拝している。じゃあ、何が日本企業の業績を大きく押し上げているのかといえば、日銀の“異常”な金融緩和による超低金利と円安進行に加え、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの「官製相場」で下支えされた株高だ。つまり、好景気といっても、しょせんは中身がカラッポの“ハリボテ”。庶民のフトコロから公然と収奪しているのが実態なのだ。
有効求人倍率を「高水準」に引き上げている数値のカラクリ
「政治の最も大切な責任である雇用について大きな成果をあげた」
 第4次安倍内閣が発足した1日夜の会見で、安倍首相がアベノミクスの“成果”として胸を張っていたのが雇用だ。
 おそらく9月の有効求人倍率(季節調整値)が1974年以来の高水準となる1.52倍になったことや、同月の完全失業率が2.8%と「完全雇用」状態になったことを踏まえたのだろうが、この数値には複数の“トリック”が隠されている。
 まずは何と言っても労働力人口の減少だろう。ここ数年で団塊世代が65歳に達して退職者が急増。いわゆる「2012年問題」と呼ばれたものだ。求人倍率は職安で扱った求人数を求職者数で割った値だから、分母の求職者数が減れば倍率が上昇するのは小学生でも分かる理屈だ。分母の減少数の推移をみると、2012年までは10万人台だったが、13年以降は年間100万人以上も減っているから、求人倍率が上昇するのは当然なのだ。
さらに内訳数値を細かく見ていくと、臨時・季節雇用を除いた求人倍率の中で群を抜いて高いのは「接客・給仕」(3.87倍)、「介護サービス」(3.74倍)、「自動車運転」(2.80倍)など。いずれも長時間労働と低賃金が社会問題になっている職種ばかりである。対照的に労働者の希望が多い「一般事務の正社員」は1.0倍を下回ったまま。つまり、離職率の高い一部の職種が求人倍率を引き上げているのであって、決して安倍が得意げに言うほど雇用環境が大きく改善しているわけじゃないのだ。
 前出の水野和夫氏も「月刊日本」で〈労働者たちが最も希望する仕事は企業からほとんど提供されていない。(略)全体の有効求人倍率が上昇したからといって、それほど自慢できることではない。(略)『どんな仕事でもいいから働け』と言うなら、それは横暴というもの〉と説いていたが、その通りだ。
■アベノミクス失敗の隠すための「脚色」報道
つまるところ、〈いざなぎ景気を超える回復途上〉なんて安倍政権のお先棒を担いだ大マスコミが表面上の数字だけを取り上げて大袈裟に喧伝しているだけ。日本経済の実相ではないということだ。なぜ、そんな提灯報道を続けているのかといえば、そうしないと、いよいよアベノミクスの完全破綻が国民にハッキリと分かってしまうからだ。元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。
「今のメディアは安倍政権の言いなりなのでしょう。だいたい安倍政権が旗を振り、日銀の黒田総裁が始めた『2年で2%の物価目標』は達成時期が6回も先送りされ、失敗は明々白々です。それなのに安倍首相は今も『道半ば』と言い続けている。メディアはこうしたデタラメな点をきちんと指摘し、責任を追及するべきですよ。そうした報道を一切せず、政権にとって都合のいい数字を大きく取り上げるのはジャーナリズムでも何でもありません」
日経平均16連騰! と大ハシャギで報じていた株高だって、よくよく考えれば上場企業数は日本国内の全法人の1%にも満たないから、大半の中小企業にとっては全く関係ない。それでも「岩戸景気以来」などと“脚色”すれば、好景気ムードを演出できる。そうやって大マスコミは安倍政権が消費税を予定通り増税するための地ならしにせっせと加担しているワケだ。
 だが、実質賃金がほとんど上がらない中で、このまま消費税増税なんて許されるのか。間違いなく庶民生活を直撃するだろう。国民は好景気を“装った”大マスコミの提灯報道にゴマかされず、公表される経済指標の「中身」を冷静に分析することが重要だ。

【日刊ゲンダイ 2017年11月4日

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物価上昇率またも下方修正 黒田日銀“緩和継続”の支離滅裂
[Wednesday,November8,2017]

もう、うんざり……。金融界からは冷めた声が聞こえてくる。31日、日銀は金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めた。同時公表の「展望リポート」では、2017年度の物価上昇率見通しを従来の1.1%から0.8%へ引き下げた。
「日銀は展望リポート(年4回)を出すたびに物価目標を下方修正しています。今回、黒田東彦総裁の最大目標である『2%の物価上昇』は『19年度ごろ』に据え置きましたが、これまで6回も先送りしています。次回の展望リポートで7回目の先送りをするかもしれません」(市場関係者)
 黒田総裁は31日の会見で、2%上昇について、「まだまだ遠い」と話し、大規模金融緩和の継続を強調した。株価上昇の効果をもたらすETF(上場投資信託)購入も続ける。日銀はすでに日本株を20兆円以上保有。ニッポンの大株主に君臨している。
「日銀は株を買うばかりで、ほとんど売却していません。市場原理の働かない歪みきった市場だけに、海外投資家が日本を見捨てる日は必ず来ます」(金融関係者)
 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストも言う。
「日銀の審議委員を見ると、現在、株式市場に精通した人物はひとりもいません。人選が偏っている印象を受けます」
■出口戦略に向かった途端に株は暴落
 今年7月までは野村証券やモルガン・スタンレー証券で活躍した2人が審議委員を務めていただけに、兜町からは「株価が上昇しているうちは問題ないが、下落したときが心配」(ネット証券)との声も聞かれる。
 金融政策そのものも不安だらけだ。米欧の中央銀行がそろって緩和縮小を打ち出すなか、日銀だけが緩和継続。しかも黒田総裁は2%上昇まで手を緩めるつもりがない。
「実際のところ、もはや日銀は緩和をやめられません。日銀が緩和縮小を打ち出した途端に、世界の株価が暴落しかねないからです。日米欧ともに出口戦略に向かうと、株式市場に流入する資金は減少します。これは間違いなく株安要因で、世界の金融界は、日銀の黒田総裁を非難するでしょう。黒田総裁はババを引かされたのです」(株式アナリストの黒岩泰氏)
 日本だけが金融緩和を継続すれば、円の価値は極端に下落し、輸入品は高騰する。その分、収入が増えればいいが、実質賃金は直近統計の8月まで3カ月連続で減少している。庶民生活は苦しくなるばかりだ。

【日刊ゲンダイ 2017年11月2日

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報酬は8年で2億円 「商工中金」天下り役人たちのデタラメ
[Saturday,November4,2017]

 国の「危機対応融資」を悪用し、不正融資を繰り返してきた商工中金。問題の本質は、モリ・カケと同じ。不正に手を染めるウラで、安倍政権の黒幕ともいわれる経産省の幹部が天下りし、ベラボーな報酬や退職金を受け取っていた。安倍官邸の“仲間”が甘い汁を吸ってきたのが実態だ。
 商工中金は典型的なエリート官僚の天下り機関だ。戦後一貫してトップには、経産省(旧通産省)から、ナンバー2には財務省(旧大蔵省)からキャリア官僚が天下ってきた。
 リーマン・ショックを機に危機対応融資が導入された2008年、新日鉄の副社長だった関哲夫氏が初の民間人社長に就いたが、12年に安倍政権が発足すると再び、安倍首相が重用する経産省の幹部が社長に就くようになった。13年就任の杉山秀二前社長、次の安達健祐現社長は、ともに元経産事務次官だ。安倍首相は、シレッと天下りを復活させている。
商工中金の報酬規定によると、社長、副社長の年収は2000万円超。さらに、退職金も出る。副社長と社長で合計8年務めた杉山前社長の退職金は1300万円超。年収と合わせれば、2億近くになる。しかも、「実務はもちろん、経営方針も生え抜きの幹部が決めていた。何も知らない役人出身はお飾りのようなものです」(金融関係者)という。
 その一方で犠牲になったのは地方の金融機関だ。金融ジャーナリストの小林佳樹氏が言う。
「商工中金による“低利融資”が、地銀を苦しめてきたのは間違いありません。商工中金の“危機対応融資”の方が有利なので、地方の中小企業はどうしても商工中金から借りる。その分、地銀は貸し出し先を失った形です」
 歴代の天下り役人は、報酬を全額返納すべきだ。

【日刊ゲンダイ 2017年11月1日

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森友6億円値引きでも逮捕者なし 悪党がのさばる無法国家
[Wednesday,November1,2017]

もはや疑う余地はない。600億円もの血税をつぎ込んだ衆院解散・総選挙は、安倍首相のアキレス腱であるモリカケ隠しだったことがハッキリした。
 安倍首相夫人の昭恵氏が名誉校長として関わっていた森友学園へのタダ同然の国有地売却交渉をめぐり、売却額の妥当性を調べていた会計検査院が「値引き額は最大6億円過大だった」と試算していると報じられた。国有地の地中に埋まっていたゴミ撤去費用の積算を担当した国交省大阪航空局が、過剰に見積もりをした疑いが濃厚だということだ。これが公示前、あるいは選挙戦の最中に表に出ていれば、安倍政権を直撃したのは間違いない。世論の8割がモリカケ疑惑に関する安倍の説明に納得しておらず、逃げ回る姿に不信感を強めている。安倍自民の圧勝はあり得なかった。元特捜検事の郷原信郎弁護士はこう言う。
「森友疑惑は何から何までメチャクチャです。検査院が調査に着手してから半年以上も経っている。ゴミ撤去費用の積算が適正であったかどうかを調べているだけなのに、なぜこんなに時間がかかるのか。その上、安倍政権の続投が確実になってから調査概要が漏れ伝わってきている。検査院も大阪地検特捜部もそうですが、あらゆる機関、関係者が安倍首相への忖度ありきで動いている印象です」
■アベ自民圧勝で幕引きシナリオ
 問題の国有地をめぐって、森友は財務省近畿財務局と定期借地契約を締結後に購入を打診し、「地下9.9メートルまでゴミがある」と申告。近畿財務局から土壌調査を依頼された大阪航空局は詳細に調べ直さないまま、以前の調査データを基にゴミ混入率を土壌全体の47%とみなし、撤去費約8・2億円を算出した。財務省が撤去費単価に関する文書や交渉記録を廃棄したとする中、残された資料を検査院が検証すると、混入率は30%程度で撤去費は約2億円にとどまったという。
 ゴミ撤去費については市民グループも問題視。弁護士らが当時の近畿財務局長らを背任容疑などで大阪地検特捜部に告発し、約2.7億円が過大だったとする1級建築士の鑑定書も提出した。森友疑惑に関与した職員を立件する材料は揃ってきている。にもかかわらず聞こえてくるのは特捜部の本格始動どころか、捜査終了のシナリオだ。
「財務省、国交省の職員を背任容疑で立件するにはハードルが高く、〈値引きをしてもいいから売れ〉などといった具体的な指示を文書や電子データで立証する必要がある。それでも、総選挙の結果次第で特捜部が本腰を入れる可能性はありましたが、自民党の強さを見せつけられ、森友疑惑を追及する機運はついえてしまった。とはいえ、何もしなければ世論の批判は特捜部に向かってくる。当面は捜査を継続し、不適正ではあるけれど違法性は認められないという結論を出す。納得しない市民団体が検察審査会に不服申し立てをするでしょうが、そこで不起訴相当の議決を出して幕引きという算段です」(捜査事情通)
 国会で「記録はない」「記憶はない」を連発した揚げ句、「データは自動的に消える」などとインチキ答弁を繰り返し、身をていして安倍を守り抜いた財務省の佐川宣寿前理財局長は国税庁長官に出世。「内閣総理大臣夫人付」として昭恵氏に3年間仕え、森友と財務省の橋渡し役も務めた経産省の谷査恵子氏は在イタリア日本大使館の1等書記官に栄転した。検査院は選挙が終わるまで沈黙し、特捜部はまるで動く気配がない。国民の財産である国有地を6億円も値引きして叩き売っておきながら、当事者の役人から逮捕者はなし。こんなデタラメが許されるはずがない。
推定無罪ガン無視、首相が公然と司法判断に介入
「教育に対する熱意が素晴らしい」と持ち上げられたのも束の間、「非常にしつこい」と安倍から切り捨てられた籠池夫妻は補助金不正受給の詐欺罪などで逮捕、起訴された。安倍夫妻との関係をチラつかせて財務省に揺さぶりをかけ、「グーンと下げていかなアカンよ」などと値引きを迫った籠池夫妻のやり方はえげつないが、口封じの国策捜査との非難が絶えないのも事実である。
「一般法と特別法の関係からすれば、森友学園のケースは補助金適正化法違反で進める事案ですし、籠池夫妻のように全額返還後に起訴された事例はない。詐欺罪での立件は逮捕事実の水増しを意図したとしか考えられません。しかも、安倍首相はトンデモない発言をしている。公示直後に出演したテレビ党首討論で〈籠池さんは詐欺を働く人間〉と断定し、〈昭恵も騙された〉と言い放った。この国の行政府の長は推定無罪の原則を知らないのでしょうか。初公判もまだ開かれていないし、籠池夫妻は黙秘していると伝えられている。検事総長に対する指揮権を持つ法相を任免する立場にある総理大臣が、司法判断の介入になりかねない発言をする。日本はとても法治国家とは言えない。無法国家ですよ」(郷原信郎氏=前出)
国のトップが国家を私物化し、その仲間内だけが甘い汁を吸う露骨な利権構図がまかり通る。そんな国柄だからなのか、アベノミクスの牽引役だと喧伝されてきた企業の不祥事が相次いでいる。
 政府が約46%の株式を保有する商工中金は、2008年のリーマン・ショックを機に制度化された危機対応融資を悪用。2600億円を超える巨額不正に手を染めていた。国のお墨付きを得て融資残高をガンガン増やしたのは悪辣だが、中小企業対策と称する見せかけの景気対策装置の役割を担っていた側面もあった。それで悪事がバレたら安達健祐社長は引責辞任してオシマイだ。新車不正検査が常態化していた日産自動車、検査データ改ざんがグループ内に蔓延していた神戸製鋼所しかりである。日産も神戸製鋼も株高演出の指標である日経平均株価に採用されている。多少の悪さを働いても日銀やGPIFが株を買い支えるし、救済措置も施される。そんなもくろみでタガが外れ、発展途上国並みの不正天国の国に成り下がったのか。
■国会審議よりゴルフ外交
 無法国家でワルはぬくぬくと暮らし、一般市民は「働き方改革」で安価な労働力の提供を強制され、社会保障費はさらに削られようとしている。国民を飢えさせても、核・ミサイル開発に猛進する海の向こうの独裁国家を冷笑してはいられない。
 モリカケ疑惑の真相究明はもとより、内憂山積にもかかわらず、安倍官邸は野党が要求する臨時国会の召集を拒否。首相指名選挙が行われる特別国会を11月1日から開き、所信表明演説も各党の代表質問もやらずに8日には閉じる腹積もりだ。
 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は言う。
「官邸はトランプ米大統領の来日や、APEC首脳会議やASEAN首脳会議などの外交日程を口実に来年の通常国会まで逃げる魂胆のようですが、トコトンふざけています。トランプ大統領とゴルフに興じる時間があるなら、国民や野党が求める国会審議に回すのが当然でしょう。森友疑惑の端緒は紛れもなく昭恵夫人です。安倍首相は総選挙後も〈誠意を持って丁寧に説明していきたい〉と言っていたのですから、いい加減に約束を守ってもらいたい。安倍首相が説明できないのであれば、昭恵夫人を国会招致してコトの経緯を明らかにするべきでしょう。そうしない限り、この問題が鎮火することはありません」
衆院の8割を親アベが占め、衆参で3分の2超を超える勢力を再び手にした安倍は、自民党総裁3選、10年に及ぶ超長期政権に手を掛けようとしている。
 主権者である国民をないがしろにし、国会も立憲主義も蹂躙するワルの親玉が戦後最長政権にまっしぐら。こんな悪夢を招いてしまった以上、国民がさらに声を張り上げなければ、加速する独裁者の暴走を止めることはできなくなる。

【日刊ゲンダイ 2017年10月27日

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長谷部恭男教授が指摘 目的が分からない安倍首相は不気味
[Wednesday,October22,2017]

小池希望と安倍自民はよく似ている
 安倍自民も小池希望も憲法を破壊した安保法を認め、さらなる改憲まで突き進もうとする政党だ。モリカケ疑惑によって、ようやく醜悪政権が追い詰められたのに、目くらましの選挙で改憲大政翼賛会ができつつある。憲法学界の重鎮、早大法学学術院の長谷部恭男教授に問題点を浮き彫りにしてもらった。
  ――まず、小池新党の希望の党についてはどういう印象をお持ちですか?なんだか、白紙委任状を取って、とにかく改憲を目的とする乱暴な政党のように見えますが。
 一方で安倍政権打倒を掲げてはいますが、自民党との連携は否定していない。国政全体を右に持っていこうとする点は、安倍政権と共通する。今現にある安保法制のみが「現実的」だという偽りの現実主義を掲げて違憲状態を固定化しようとする点も同じです。改憲に前向きで、しかもその内容が茫漠としていることも、安倍さんとよく似ています。
  ――有権者は惑わされてはいけないと思いますが、とにかく、安倍政権は打倒しなければいけませんね。今回も憲法53条による野党の臨時国会召集要求を無視して、内閣改造後の代表質問すら受けずに解散した。みんな小池新党の騒動で忘れていますが、驚きました。
 憲法53条後段には「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」とあります。現憲法の草案が議論されていた当時は、国会の召集は内閣ではなく国会自身の判断によって決めるという「国会常設制」という理念が有力だったんです。でも、政府の事情もあるので、4分の1の少数の要求で開けるようにした。担当だった金森徳次郎国務大臣がそう答えています。
  ――そうした理念は押しやられて、安倍政権は召集時期が明記されていないことをいいことに開かなかった。
「諸般の条件」を勘案して合理的な時期に開くというのは安倍さんだけでなく、過去の内閣も示してきた考え方ですが、準備に必要な期間はせいぜい2、3週間でしょう。それ以上に引き延ばすのは憲法違反だというのが、憲法学界の通説です。
■解散の理由はとってつけたようなものばかり
  ――モリカケ疑惑を追及されたくないから臨時国会を開かない。そんなふうに見えますが、この解散の大義についてはどうでしょうか。
 解散の理由として提示されているものは、とってつけたようなものばかりです。消費税の使途を変えるというのは、見ようによっては、民進党の公約を単に横取りしたような話です。選挙における争点を潰そうとしたのではないか。北朝鮮危機は国難だと言っているが、焦眉の急だというのであれば、総選挙なんてやっている場合ではないでしょう。与党が有利なときにやりたいという動機があからさまです。
  ――安倍政権の場合、大義なき解散はこれが初めてではありません。アベノミクスの信を問うとか、消費増税先送りとか、そうやって、国会が紛糾しているわけでもないのに解散権を乱用し、野党を疲弊させ、小選挙区制を上手に使って、一党独裁体制を築いてきたように見えます。
 その結果、有権者の政治不信を深めることになっていると思います。政治のプロセス自体が信用できないと多くの有権者は棄権をしてしまうからです。
  ――憲法上、首相の解散権についても議論がありますね。
 従来の憲法慣習として、内閣に解散の権限があって運用されてきたのはその通りです。ただ、それにどれほど合理的な根拠があるのかということが今問われているところでしょう。内閣に自由な解散権を認めれば、政府与党にとって有利、もしくは不利ではない時期に解散・総選挙を打てる。そういうことがあってよいのかという問題があります。与党に特権を認めることになるので、公平な競争の場にならない。競技場が与党に有利になるように傾いているわけです。
諸外国の例を見ると、日本が手本にしてきたイギリスでは、従来、内閣の首相に自由な解散権があるとされてきましたが、キャメロン連立政権が成立した後、立法期固定法というものができて、解散は原則認めないことになりました。
  ――日本も導入すべしという議論があります。
 メイ首相はブレグジットの結果を受けて解散・総選挙をやりました。野党の労働党も受けて立とうということで議会の3分の2の賛成多数で総選挙になったのです。日本においても、解散には衆院議員の3分の2の賛成が必要だという規定を設けても、何も困らないのではないかと思います。そうすれば、今回のように、どうみても正当な理由のない、あるとすれば与党の都合のためだけにやる総選挙はできなくなります。
改憲で北朝鮮はミサイルをやめますか?
  ――安倍首相が今年5月、唐突に行った9条見直しについてはどうですか。自民党は公約に入れたし、小池新党も中身を明らかにしないまま、改憲支持を公認の条件にして、総選挙に突入しています。
 不思議な話ですね。まず自衛隊の現状を書き込むと言うが、現状は自衛隊に集団的自衛権の行使を認めています。それを追認するかのように憲法に書き込まれ、固定化されるのは困ります。自衛隊の現状を書き込むというのであれば、2014年の閣議決定で曖昧な解釈変更をした前の状態に戻してもらわなければならない。その書きぶりもどうなるのか分かりませんね。具体的な条文案が何も出てこない。ぼんやりしたまま、とにかく賛成ですか反対ですかと言われても有権者は判断しようがありません。
 私自身は、自衛隊は現在の9条のもとでも認められるという立場です。自衛隊を憲法にあえて明記しないということに重要な意味がある。政府は自衛隊に何ができて何ができないのかを国民に説明する責任が課されることになる。自衛隊が憲法に書き込まれてしまうと、いまの政権は説明する必要はないと言い出しかねない。
  ――そもそも政治家は憲法にどう向き合うべきなのでしょうか。
 憲法は中長期的に守っていくべき基本原則を定める文書なので、よほどのことがない限りむやみに触ってはいけない。むしろ、政治は目の前の課題に注力すべきだ。だからこそ、憲法は変えにくくなっているのです。そのことをまず政治家は頭に入れないといけません。さらに、憲法を変えることで何とかなる問題と、何とかならない問題がある。
 例えば、仮に9条を全て削れば、北朝鮮はミサイルを撃つのをやめますか? 核実験もやめないでしょう。日本が憲法をどうこうしたって、北朝鮮問題が解決するわけではない。高等教育無償化にしても、予算措置を講じなければ無償化はできないし、予算措置ができるなら、憲法に書き込む必要はない。憲法を変えようとする前に、憲法を変えることにどういう意味があるのかを考えていただきたい。改憲が自己目的化しているなかで、何かと理由をつけて変えようというのはよろしくない。
  ――自己目的化どころか、安倍首相は自らの野望実現のために北朝鮮危機をやみくもに煽っている印象すら受けます。そうやって危機をつくり出しておいて、国難だから自分に強いリーダーシップを与えてくれと、選挙をやる。こういう手口はどうですか。
 きわめて危ない手口です。北朝鮮の暴発を招きかねません。安倍政権は日本の過去の歴史をきちんと学んでいないのではないでしょうか。1941年8月1日にアメリカは日本に対して石油を全面禁輸にしたことで、それまで戦争に慎重だった海軍まで、燃料があるうちにという気にさせて太平洋戦争の開戦に至った。北朝鮮を「何を考えているか分からない国」というのであれば、そんな危ないことはするべきではないと思います。
  ――今度の選挙後に安倍首相が何を企んでいるのか。小池新党と大連立で、国をつくり替えてしまうのではないか。そんな危惧はありませんか。
安倍首相は目的が分からないだけ不気味です。言うことがころころ変わる。96条を変えると言って、すぐ引っ込めたり。場当たり的に言うことが変わるので、予測不能です。外国でスピーチするときは、人権の保障、民主主義、法の支配などの普遍的な価値を尊重しますと言うが、本気で言っているとは思えない。むしろ、本当に考えていることがあるのか心配です。
 いやしくも首相という職に就いているのであれば、何か実現したいことがあってしかるべきでしょう。そのために改憲がひとつの手段であれば分かるが、安倍さんは改憲そのものが自己目的化している。改憲で何をしたいのかが見えないのです。

(聞き手=本紙・高月太樹)
▽はせべ・やすお 1956年10月22日生まれ。東大卒。学習院大、東大で教授を務めた後、早大大学院教授。「安保法制から考える憲法と立憲主義・民主主義」(有斐閣)など著書多数。

【日刊ゲンダイ 2017年10月20日

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安倍政権存続こそ国難だ 野党は悪魔とでも組む覚悟が必要
[Sunday,October1,2017]

安倍首相が28日の臨時国会冒頭に解散することを正式に発表。森友・加計学園疑惑でニッチもサッチも行かなくなったものだから、野党の選挙準備が間に合わないうちに解散し、北朝鮮危機も利用して、火事場泥棒よろしく議席をかすめとる算段だ。
 安倍は25日の会見で、解散の理由を「国難」と言った。少子高齢化や緊迫する北朝鮮情勢。「この国難を乗り越えるために、どうしても今、国民の声を聴かなければならない」と。それで「国難突破解散」というのだが、ご自慢の「仕事人内閣」で突破できない国難が、なぜ解散することで突破できるようになるのか、首をひねった国民は多いはずだ。
「新自由主義にかぶれて、若者が安心して結婚や子育てができない格差固定社会をつくりだし、北朝鮮の暴発をあおっているのは誰なのか。そのうえ、この解散で北朝鮮に対する圧力強化への支持を求めるなんて、狂気の沙汰です。放火犯がエラソーに『このままでは大惨事になるから、みんな消火に協力しろ』と強要しておいて、自分はまた新たに火をつけようとしている。今が国難というならば、それは安倍首相が国家権力を私物化し、好き放題やってきた結果です。この5年間で外交も内政もメチャクチャにされてしまった。いまや安倍政権の存在そのものが国難なのです」(政治評論家・本澤二郎氏)
日蓮は「立正安国論」で「他の邪教を信じたら国難が襲い掛かる」と主張した。そのひとつが元寇だと訴えた。日蓮に倣ったのか、安倍も北朝鮮の脅威を持ち出し、「国難」だから、他の政党を支持したら大変なことになると脅している。
■野党が割れれば自民を利するだけ
 だが、皮肉なことに、「国難突破解散」というこじつけは、かえって安倍の浅薄な思惑を印象づけただけだった。会見直後から、ツイッターでは「#お前が国難」がトレンドの上位に入る話題になった。疑惑隠し解散だということは、国民も見抜いているのだ。
 これまでも、選挙では「経済最優先」と騙り、それで多数議席を得た途端、主な争点に掲げなかった特定秘密保護法や安保法、共謀罪などを強引に成立させてきたのが安倍政権だ。今回は何を企んでいるのか。25日の会見で安倍は憲法改正に触れなかったが、選挙に勝てば一気に憲法9条の改正に動き出す。あるいは、米朝の戦争に参加を決める。とにかくロクなことにならないのは確かだ。いま、この政権を叩き潰さないと、何をしでかすか分からない。
そこで、問題は野党である。野党第一党の民進党からは「共産党とは組めない」という離党者が続出。小池新党の人気にすがる離党の動きも止まらない。こんな体たらくで安倍の暴走を止めることができるのか。
「野党が割れれば、自民党を利するだけです。野党間で選挙区調整をして、候補者を一本化しなければ勝てないことは、誰が考えても分かる。本気で安倍政権を倒す気概があるのなら、最大野党の民進党には、真意が読み切れない小池新党や、頑迷な共産党とも組むリアリズムが必要です。小池新党にしても、標榜する“非自民”が本当なら、民進との選挙協力は当たり前のこと。非自民勢力がまとまれば、全選挙区で1対1の構図に持ち込める。そこで初めて与党との勝負になります」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
■毒をもって毒を制す」で政権を終わらせることが命題
 安倍の解散発表会見にぶつけるように「希望の党」という党名を発表し、新党代表に就くことを宣言した小池都知事は、やはりパフォーマンス巧者だ。メディアは小池に飛びついた。
 このままでは7月の都議選と同じで、総選挙も自民党と小池新党の対決構図になる。民進、社民、共産の野党3党は埋没してしまう。
「小池新党なんて、後になって『とんでもないあだ花だった』ということになるかもしれない。しかし、小池氏が打ち出した原発ゼロと消費税凍結は、安倍政権の痛いところを突いている。蛇の道は蛇ということわざもありますが、小池氏は自民党の弱点を知り尽くしています。この選挙は“安倍か、反安倍か”の戦いなのです。安倍政権を終わらせてほしいと願う多くの国民の声に応えることが、野党の責務ですよ。民進党が『共産党とは協力できない』とか『小池新党とは組めない』などとガタガタ言って選挙協力を拒否するのであれば、自民党を勝たせ、喜ばせるだけです。これでは自民の補完勢力と見られても仕方がない。そんな政治家はいなくなってもらった方が国民のためです」(本澤二郎氏=前出)
小池新党については、改憲派だから自民の補完勢力だとか、理念がよくわからないという懸念もあるが、非自民勢力がバラバラでは話にならない。ペテンの才能にかけては安倍に勝るとも劣らないのが小池なのである。ここは「毒をもって毒を制す」もアリだ。しかも今回は短期決戦。小池が再び「崖から飛び降り」て風を起こせば、一気に安倍政権を追いつめることも不可能ではない。
■フタを開けてビックリの展開も
 安倍は北朝鮮のミサイル発射を誰よりあしざまに非難し、危機をあおるのに、28日の臨時国会冒頭に予定されていた北朝鮮への非難決議はスッ飛ばして衆議院を解散する。開会式も、所信表明も行わないのは前代未聞だ。野党が憲法の規定に基づいて要求していた臨時国会を3カ月も開かず、ようやく召集日を決めたと思ったら、国難だとか言い出して審議から逃げた。こんなデタラメは、国民世論をナメきっている証拠だ。
民進党の前原代表は26日の常任幹事会で「北朝鮮への非難決議を避け、国民の総意を示さない。こんなひどいことはない。どんな手段をつかっても安倍政権を終わらせる」と話した。その言葉の本気度が問われている。
 それこそ権力維持の手段を選ばないのが自民党なのである。勝つためなら憲法も無視し、平気でウソをつく。だまされた国民が悪いと舌を出す鉄面皮。そういう狡猾な与党と対抗するには、悪魔とでも組む覚悟が必要だ。安倍という国難にどう立ち向かうのか。「あいつは嫌だ」と自分の勝手な都合でグダグダ言っている時間はない。野党協力への対応で、政治家の危機感と覚悟が分かる。
 前原は26日夜、小池と会談。合流をめぐって協議したもようだ。これに先立ち、昼間は最大の支持団体である連合の神津会長と会談し、希望の党と組む方針を説明したとみられる。非自民結集が成就すれば、選挙情勢はガラリと変わる。政治ジャーナリストの山田厚俊氏もこう言う。
「地方レベルでは、すでに民進党と共産党の選挙協力体制が進んでいるところもあります。民進党が都市部は希望の党、地方は共産党と協力体制を進めれば、意外とすんなりすみ分けができるのではないか。政策が水と油の公明党とも結んで、政権与党の座を維持してきた自民党のしたたかさを見習うべきです。民進党と希望の党が組み、共産党とも協力できれば、政権交代可能な2大政党制に向けた政界再編のスイッチが入る。それで政治に緊張感が生まれれば、安倍政権のような傲慢で自分勝手な政権運営はできなくなります。それは国民にとって大きなメリットです」
 総裁3選と憲法改正という個人的な野望しか頭にない安倍は、所属議員が何人落選しようと、自公で過半数を維持すれば、これまで通り好き勝手に国を動かせると考えているはずだ。「小池新党も改憲勢力だから、合わせて3分の2議席になれば改憲戦略に支障はない」くらいに甘く考えていたかもしれないが、フタを開けて真っ青という展開もあり得る。
 この解散・総選挙は民主主義と立憲主義を軽んじる安倍政権を倒す絶好の機会なのだ。今こそ野党の覚悟を見せて欲しい。

【日刊ゲンダイ 2017年9月27日

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国民感情を逆撫で 日本を壊した4首相のバカ笑い別荘写真
[Saturday,September2,2017]

「マトモな人間なら、あそこまで大笑いできません。歴代首相が4人もそろって何をふざけているのか。『こんな日本に誰がしたんだ、キミたちじゃないか!』と叱り飛ばしたくなりますよ」
 政治評論家の森田実氏はそう憤怒していたが、この写真を見れば誰もが嫌な気持ちになるはずだ。安倍首相の夏休み終了のタイミングに合わせたのか、25日大新聞がなぜか一斉に掲載した一枚。今月15日夜、日本財団の笹川陽平会長が山梨・鳴沢村にある自身の別荘に現職の安倍と森、小泉、麻生ら歴代首相を招き、会食した際の写真である。
 安倍は例年、夏休みには鳴沢村の別荘に10日近く滞在。加計孝太郎・加計学園理事長ら「腹心の友」を招き、ゴルフやバーベキューに明け暮れていたが、今年ばかりは加計学園疑惑がくすぶり続ける中、渦中の人物と一緒に遊びほうけるわけにもいかない。
大好きなゴルフを封印し、遊び相手もいなくなって歴代首相と会食の手はずとなったのだろう。それにしてもだ。大口を開けてバカ笑いしている森や、赤ら顔でのけ反って笑う小泉たちのザマは何なのか。
 ハッキリ言って、この大笑い4人組は日本をメタメタにブッ壊した張本人。経済失策の連続で、1991年のバブル崩壊以降の「失われた10年」を「20年」「30年」と長引かせた責任者。おまけに米国の言いなりで自衛隊と米軍の一体化をどんどん進め、シッポを振り続けてきた亡国の徒ではないか。
 2000年に5人組の密室談合で発足した森政権以降、歴代自民党政権はこの国を「貧困と格差」が渦巻くヒドイ社会に変えてしまった。政権トップを務めた4悪人の高笑いは国民感情を思い切り逆撫でするものだ。
 とりわけ、この国を破滅の道へと歩ませたのが、01〜06年の小泉政権時代だ。当時、森はキングメーカー気取りで、安倍と麻生は重要閣僚を歴任。「改革なくして成長なし」のワンフレーズ政治で、「構造改革」路線をひた走った結果、行き過ぎた規制緩和がもたらしたのは、社会の大きな「歪み」である。
その歪みの象徴が、高速バスツアー事故の頻発だ。貸し切りバス事業は国の規制緩和で新規参入業者が激増し、過当競争が勃発。安全コスト軽視の格安ツアーが横行するようになり、長時間労働を強いられるドライバーの運転ミスで、十数人が犠牲となる事故が相次いでいる。
 04年には労働者派遣法を改定。製造業への派遣を解禁して以来、非正規雇用者の数は年々増え続け、今や労働者全体の4割を超えてしまった。「派遣切り」「ネットカフェ難民」「ブラック企業」という言葉を頻繁に耳にするようになったのも、小泉時代からだ。
 当然、低賃金の非正規が増えれば国民全体が貧しくなる。厚労省の毎月勤労統計調査のうち、1人当たりの「現金給与総額」は、小泉政権発足直後の01年6月には48万5588円。対する今年6月の同じ数字は43万3043円だ。この16年間で労働者の平均賃金は5万円以上も減ってしまったのだ。経済アナリストの菊池英博氏はこう指摘する。
「小泉政権の大罪のひとつが『小さすぎる政府』を目指したこと。ただでさえ、日本の財政支出額は先進国の中で最低レベルだったのに、さらに切り詰めたのです。そのターゲットが社会保障費と地方交付税で、それぞれ数兆円単位で削減したため、医師不足で救急車たらい回しの『医療崩壊』が出現。そのクセ、大型店進出の規制緩和には歯止めをかけず、地方の商店街はシャッター通りと化したのです。地方がメタメタの惨状で内需は冷え込み、今なお続くデフレ不況を拡大させた罪は重い」
 これだけ国民を苦しめる大罪を犯した4人が、よくもまあガン首そろえてバカ笑いできるものだ。
■ナショナリズムに火をつけテロの標的に
 長引くデフレ不況のあおりで、日本の国際競争力も凋落の一途だ。主要国の名目GDPを比較すると、1997年を100とした指数は16年に米国が218、英国が205、ドイツが160と順調に成長を続けているのに、日本は88と独り負けだ。2010年には中国に抜かれ、約半世紀も死守してきたGDP世界第2位の座を明け渡した。
経済低迷で国の借金だけが膨れ上がり、13年には1000兆円を突破。国際競争から取り残されて日本人が自信を失った反動だろう。狭小なナショナリズムに火がつき、「反中嫌韓」「ネトウヨ」なる言葉が定着していった。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「世の中全体が右傾化する中、03年のイラク派遣以降は自衛隊の海外展開はなし崩し。内実は米国追従の軍事一体化一辺倒です。安倍政権による集団的自衛権容認の安保法制によって、さらに一体化は強固となりましたが、その代償として日本人はテロリストの標的になってしまった。中東で日本人が人質になっても、小泉政権からは『テロには屈しない』という勇ましい一言で見殺しにしてきたのです。この強硬路線を決定づけたのも、大笑い4人組。今も安倍政権は北朝鮮有事にクチバシを挟み、進んでミサイルの的になろうとしています。国民の生命をないがしろにしておきながら、よくぞOLのインスタグラムのようにチャラチャラした写真を撮影できるものです」
■自己責任のひと言で弱者を切り捨て
 日本社会を貧困と格差のドン底に叩き落としながら、政権とつるんだ一握りの“利権屋”が跋扈するようになったのも、小泉政権時代以降の弊害だ。
「労働法制の規制緩和に血道を上げ、派遣社員を増大させた竹中平蔵氏が、人材派遣会社の会長に収まったのが、いい例です。規制改革会議の議長だった宮内義彦氏が率いるオリックスに『かんぽの宿』が安値で一括売却されかけた騒ぎもありました。まるで『規制を破壊せよ、そこに利権がある』と言わんばかりで、獣医学部新設の加計問題に通じる権力の私物化の悪弊はこの頃から芽生えてきたのです」(菊池英博氏=前出)
「小泉チルドレン」や「魔の2回生」に代表される政治家の劣化。「政治主導」に名を借りた官僚制度の寸断による行政の公私混同。地元の意向を無視して辺野古移設をゴリ押し、沖縄の基地問題をこじれさせたのも4悪人の責任だ。
4悪人の罪状を挙げていけばキリがないほどだが、高笑いの一枚に歴代自民党政権の悪巧み、破廉恥、国民愚弄、権力の私物化、お気楽と全てが写っている。前出の森田実氏はこう言った。
「何より彼らが罪深いのは国民の人心を荒廃させたことです。新自由主義に根差した拝金主義を奨励し、『今さえ自分さえよければ、カネさえ儲かれば』という風潮が蔓延。日本古来の助け合いの文化はズタズタとなり、『自己責任』という言葉で弱者を切り捨てるようになったのです。ここまで日本を破壊しながら、他人の別荘で高笑い写真とはいい気なもの。『フザケルナ』の一言です」
 国民もいつまでも4悪人の跋扈を許し、バカにされている場合ではない。

【日刊ゲンダイ 2017年8月26日

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大谷昭宏氏「バカが権力を握っている」と報ずるべきだ
[Tuesday,July11,2017]

「巨大な権力者に批判的な目を向け、説明責任を果たさせる」――。今年1月の任期最後の会見で記者団に向かってこう訴えたのは米国のオバマ前大統領だった。不都合な報道を「フェイク(偽)」と批判するトランプ大統領を意識し、メディアの権力監視の重要性を強調したのだが、この言葉を日本メディアはどう受け止めただろうか。第2次安倍政権発足後、政権に辛口のテレビコメンテーターは次々と姿を消し、大手紙では以前と比べて政権批判の記事が減ったといわれる。最近では、前川喜平前文科次官の出会い系バー通いを報じた読売新聞に対し、「官邸の意向」との批判も出たが、今のメディアの体質を気骨のジャーナリストで元読売新聞記者の大谷昭宏氏はどう見ているのか。
■政権中枢と会食するならなれ合いになるな
――読売新聞の「前川前次官 出会い系バー通い」の記事について「官邸の意向を受けた前川潰し」との批判が出ました。読売OBとして、あの記事をどう見ましたか。
すぐに「マル是」(絶対外せない是非モノ)、「ワケアリ」と分かりました。というのも私は仕事の関係で東京と大阪を行ったり来たりしていて、東京では東京本社版、事務所や自宅のある大阪では大阪本社版を読んでいます。東京、大阪の紙面はふつう、ガラリと違います。
 例えば、都議選のアンケート結果を大阪版に大きく載せても意味がないし、逆に兵庫知事選のアンケートを東京版に入れても仕方がない。どちらかがベタ扱いなど、記事の大きさ、掲載場所、見出しは全く異なります。ところが、あの記事は東京、大阪、西部本社など、いずれの紙面でも記事の配置、見出し、行数が同じ。こんな偶然はあり得ず、読売関係者が見れば一目で「マル是」「ワケアリ」。おそらくトップの意向だったのでしょう。
――「官邸の意向」が働いたと思いますか。
 前川さんは1月に出会い系バーに通っていることを官邸から注意されていました。それがなぜ、5月の段階で表面化したのか。しかも、あの記事が出て、他紙やテレビは「通っていた歌舞伎町の店はどこだ」となったわけですが、歌舞伎町の出会い系バーなんて数百店舗あるのに、各社そろって同じ店に取材に駆け付けたのです。なぜそんなことができたのかといえば、官邸から伝わったからとしか考えられません。そうでなければ、多くの記者が歌舞伎町の出会い系バーを片っ端から走り回って大変なことになっていたでしょう。官邸筋がスキャンダル記事を書かせることで前川さんの“口封じ”を図った。そう考えるのが自然です。
――メディアが権力に迎合して個人攻撃の記事を掲載したとすれば恐ろしい話ですが、メディアの幹部が安倍首相と頻繁に会食していることも背景にあるのでしょうか。
 お義理で、というのか定期的なのか分かりませんが、私はメディアの幹部が安倍首相と会食しても構わないと思っています。問題は食事をしたからといって、それで筆が折れるようではどうしようもないということです。極端な話、安倍首相と毎晩、食事したっていい。ヘトヘトになるまで付き合って、そこで「あなたの本音はどこにあるのか」と徹底的に聞き出せばいいのです。それが、「今度の憲法記念日にはぜひ、総理のお話を載せたい。国会でその記事を熟読して、と言っていただけると大変ありがたい」――ということが仮にあったとすれば、それは単なるなれ合い。政権もメディアもお互いの距離感が分からなくなっているのだと思います。
■取材先のためにもダメな部分を指摘する
――かつての大阪読売社会部「黒田軍団」でスクープ記事を連発した敏腕記者から見て、今のメディアの記者はどう映っていますか。
 メディアが斜陽産業と言われて久しいわけですが、それでも例えば、テレビ局は8000〜9000人が採用試験に応募し、激烈な試験を越えた局員が入社してきます。ところが、何をしたいのかを聞いても答えが返ってきません。つまり、メディアに就職することがゴールになっている。
 我々の世代は、何が何でも新聞記者になって、その次にどんな記者を目指すのか――ばかりを考えていました。就職イコール出発点だったのです。言葉は悪いが、伸びしろのあるバカもたくさんいたわけですが、今はそういう大化けするバカがいなくなりました。ある意味、“完成形”で入社してくるため、社会悪と闘おうという気はないのでしょう。反権力なんて意識はもともと持ち合わせていないのではないかとも思います。
――サツ回り(警察担当)から始まり、その後、官公庁を担当する記者の教育システムが権力寄りの記者を生む、との指摘もあります。
 私は記者生活のほとんどが警察担当でしたが、爪と牙を抜かれて羊のようになったかといえば、そんなことはありません。ある大手紙の記者は「我々は取材先を大事にする。しかし、その取材先が腐っていて、インチキな情報を流したとすれば我々も同じように100%腐ってしまう」と言っていました。コンピューターウイルスの感染と同じようなもので、ダメなことはダメだときちんと指摘する。それが記者と取材先の本来の関係というわけです。取材先が怒るから書かないのではなく、取材先を大事にしているからこそ、書かないといけない。(権力寄りと言われる記者は)それが分かっていない。
――官邸の記者クラブでは、東京新聞の女性記者が菅官房長官に繰り返し厳しい質問をしたためにクラブの記者から注意されたとの話もありました。記者クラブについてはどう考えていますか。
 排他的になっていたり、女性記者の質問を他社が抑えつけたりしていたとすれば、それは記者クラブの問題というよりもクラブ員側の問題だと思います。要するに運用の仕方です。どうも(クラブの置かれた場所の)取材先が便宜を図ってくれているとカン違いしているのではないか。だから(記者発表が予定されている内容を示す)黒板協定を守らなきゃいけないと思っている。しかし、日本新聞協会が認めている唯一の協定は「誘拐報道協定」しかありません。黒板協定なんて守る必要はないのです。
 記者クラブ制度が悪いというより、(取材対象の発言をテキスト文書にまとめる)トリテキが仕事だと思っている記者たちが、今のクラブの在り方で本当にいいのか考えるべきなのです。そして、どんどんオープンにすればいい。フリー記者の厳しい質問で、(今村雅弘復興)大臣のクビが飛んだじゃないですか。トリテキのクラブ員だけの会見だったら、あんなに面白いことは起きませんよ。
――特定秘密保護法、安保法、共謀罪……。いずれも安倍政権が世論を無視して強行採決で成立させた法律ですが、大手メディアは一応、反対の姿勢は取るけれども、アリバイ的というのか、どこか腰が引けていますね。
 今の現有勢力から見れば、法案が委員会審議に付託された段階で通ったも同然です。そういう意味では、抵抗することの意味が記者の間で分からなくなっているのかもしれません。しかし、どうせ通るのだからと考えているのだとしたら、口も目も耳もふさがれたも同然ではないか。
■安倍首相は戦後最悪の宰相
――そこでジャーナリストの鳥越俊太郎氏らと一緒に議員会館や日本記者クラブなどで反対集会を盛んに開いているのですね。
「60年安保」や「70年安保」が今も語り継がれているように、世論に訴えることに意味がある。例えば国民の内心にまで踏み込む共謀罪については、「こんな危ないものを通していいのか」「通った時は大変なことになる」と国民に訴えていかなければならない。危ないということをアピールする必要があるのです。
――あらためてジャーナリズムとは何だと思いますか。
 この仕事を約50年やっていますが、ジャーナリズムが何かというのは今でも分かりません。ただ、あまたある仕事の中で、なぜ記者になったのか、何のためにやっているのかを問い続けるしかないと思っています。安倍首相は戦後最悪の宰相であり、メディアがやるべきことは、「バカが権力を握っている」ということを国民に知らせること。どんな理由があっても、決してなびいていてはならないのです。
(聞き手=本紙・遠山嘉之)
▽おおたに・あきひろ 1945年、東京生まれ。71歳。早大政経学部卒。読売新聞大阪本社入社、徳島支局を経て、大阪本社社会部で府警を担当。朝刊社会面コラム「窓」などを担当し、87年、退社。以降、大阪に事務所を設けてジャーナリズム活動を展開し、テレビ、ラジオにコメンテーターとして出演。「事件記者という生き方」(平凡社)など著書多数。

【日刊ゲンダイ 2017年7月10日

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読売新聞は権力に魂を売って官邸の下足番に成り下がった
[Friday,June30,2017]

読売新聞の衰弱がひどい。5月3日付の同紙に安倍晋三首相が改憲への真情を吐露したのはいいとしても、それを国会の審議の場で問われて、「読売新聞を熟読してほしい」と言ったのは筋違いも甚だしいことで、最も崇高であるべき論戦の場を総理が進んでおとしめるかの妄言であったし、逆に読売新聞はあたかも安倍後援会の機関紙であるかに扱われたことを恥とすべきであったろう。
 そのような安倍と読売の異常な関係がさらに浮き彫りになったのは、加計学園問題で勇気ある告発をした前川喜平前文科事務次官が「援助交際バー」のようなところに通っていたという“スクープ”を読売が掲げると、すかさず菅義偉官房長官がそれを「印象操作」に使って、記者会見の場で前次官を人格的におとしめるかの発言をしたことである。
 その記事は誰が読んでも取材不足の生煮えで、警察が得た尾行情報が官邸に上がってそれを読売に書かせた「やらせ記事」であることは容易に推測がついた。読売には読者から抗議が殺到し、中には「親の代からずっと購読してきたが、もうやめる」といった怒りの声も少なくなかったという。あまりの反響の大きさに、慌てて社会部長名でこの記事がいかに公正であったかを強調した弁解記事を出したが、恥の上塗りとなっただけだった。
もうひとつ、耳を疑うような出来事を聞かされた。それは6月8日の官邸定例会見で菅が「怪文書」と決めつけた政府内文書を「なぜ再調査しないのか」と執拗に食い下がってすっかり有名になった東京新聞の望月衣塑子記者に対する読売官邸キャップの“仕打ち”である。定例会見はいつも10分か15分で終わるというのに、彼女が食い下がり、それをジャパンタイムズのベテラン記者が援護射撃して20分も長引いた。
 すると、読売のキャップが東京新聞のキャップのところへ飛んできて「何だあいつは。あんなヤツを二度と会見場に入れるな! これはクラブの総意だからな」と怒鳴り上げたというのである。クラブの総会もキャップ会も開かれていないのに、なぜ彼の意見が「総意」になるのか、一同唖然としたそうだが、それほど逆上してしまったということなのだろう。
 こんな権力に魂を売って菅官房長官の下足番みたいなことをしているあさましい連中が作っている新聞はもう読むのはやめて、夕刊紙は日刊ゲンダイ、一般紙は東京新聞と決めたほうがよさそうだ。

高野孟ジャーナリスト1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

【日刊ゲンダイ 2017年6月29日

その通り、同感!!!私の引用文は、全て『日刊ゲンダイ』と『東京新聞』に依っている。

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中国人の邦人虐殺、通州事件を学べ
[Wednesday,January18,2017]

中国人の邦人虐殺、通州事件を学べ
『文藝春秋』元名物編集長の堤堯氏が嘆く。─氏と同年代(70代後半)の日本男児が余りにも歴史を知らないと。
「仙台の中学の同期生、12〜13人の集まりで通州事件を知ってるかと尋ねたら、知っていたのがわずか3〜4人。歴史呆けは若いモンだけじゃない」
詳細は後述するが、通州事件は昭和12(1937)年7月29日払暁に、中国河北省通州で発生した日本人虐殺事件である。日本人を守るべき立場にあった中国人保安隊が一挙に襲いかかり、日本人居留民225名に加えて日本軍守備隊32名の計257 名を尋常ならざる残酷な方法で殺した。
日中戦争のこの重要事件を知らないのは堤氏の友人だけではない。他の多くの日本人も同様ではないか。その理由について、『慟哭の通州 昭和十二年夏の虐殺事件』(飛鳥新社)を 上梓した加藤康男氏が非常に重要なことを指摘している ─ 「日本政府は戦後一貫して事件のことを口にしていない。奇妙なことだが、日中両国政府がこの事件を『なかったこと』にしてしまっているとしか思えない」。
中国への配慮からか、同事件に一切触れない外務省だけでなく、中国政府もこの事件を歴史から消し去ろうとしていると加藤氏が言うのは現地を取材したうえでのことだ。いま事件現場を訪れると、城壁や城門はおろか通州城の面影を示す建物全てが壊されているそうだ。破壊は90年 代に始まり、事件関連の建物の一切合切がすでに消えている。さらに通州は北京市に編入され、副都心化に向けた建設によって昔日の歴史がきれいさっぱり拭い去られようとしている。
「南京や盧溝橋はもとより、滿洲各地にある旧大和ホテルに至るまでが 『対日歴史戦』 の遺跡として宣伝利用されていることを考えると、雲泥の差である。『通州虐殺事件』の痕跡 は極めて都合が悪いので、完膚なきまでに消し去ったものとしか考えられなかった」との氏の直感は恐らく当たっていると思う。
凄惨な目撃談
中国人は長い時間をかけて歴史を書きかえつつあるのだ。彼らは、恐らく人類史上最も残虐な民族である。 だからこそ、日本人を中国人よりも尚残虐な民族に仕立て上げ、免罪符を得ようとしているのではないか。 そのためには、悪魔の所業としか思えない残虐な方法で中国人が日本人を殺害した痕跡の全てを消し去らなければならない。それがいま、通州で起きていることではないか。
通州事件が発生した前年の12月に、 蒋介石が張学良に拘束され、国民党と共産党が抗日で協力する体制が生まれた。西安事件である。国民党軍と共産党軍が対日戦で協力するとはいえ、中国各地には彼らの他に匪賊、馬賊が入りまじって戦う複雑な状況があった。しかし、通州城内は防共自治政府の保安隊(中国人部隊)によって守られているから安全だと信じられていたと、加藤氏は説明する。事件発生当時、邦人の安全を担う日本側の警備隊は用務員、小使らを加えても163名が全てだった。対する中国人保安隊は城内に3300 名、城外に2500名がいた。
この勢力が29日午前3時すぎ、一挙に日本人を襲い始めた。悪魔の所業は加藤氏の『慟哭の通州』もしくは今年出版されたもう1冊の本、『通州事件 目撃者の証言』(藤岡信勝編著・自由社)に詳しい。
中国人は日本人の目を抉り取り、 腹部を切り裂いて10b以上も腸を引っ張り出した。女性を犯したうえで無残に殺した。何人もの日本人を生きたまま針金で掌を貫いてつなぎ、 なぶり殺しにした。日本人の遺体は全て蓮池に放り込まれ、池は真っ赤に染まった。こうして書いていると息が苦しくなる。日本人には信じ難い地獄を、中国人は実際に次から次へとやってのけた。なぜこんなことが分かるか。 夫が中国人で通州に住んでいた佐々木テンさんが事件の一部始終を目撃していたのだ。佐々木さんはその後、夫と別れて、昭和15年に日本に戻った。50年後、彼女は佐賀県基山町の因通寺住職、調寛雅氏に凄惨な目撃体験について語り始めた。それがいま、前述の『慟哭の通州』と『通州事件』につながっているのだ。当時の歴史を振りかえると中国側が如何に対日戦争に向かって走っていたかがよく分かる。戦争をしたかったのは中国であり、日本ではなかった。このことは立命館大学の北村稔教授が林思雲氏と共著で出版した『日中戦争─戦争を望んだ中国望まなかった日本』 (PHP研究所)にも詳しい。
加藤氏も中国人の好戦性を書いている。昭和12年7月7日夜、北京郊外で勃発した盧溝橋事件は、国民党の宋哲元軍長麾下の第29軍が日本軍に発砲したことが契機である。日本政府はいち早く事件の不拡大を決定したが、中国側の挑発は続いた。10 日には中国人斥候が日本軍将校を銃撃、13日には日本軍のトラックが爆破され、4名が死亡する「大紅門事件」が起きた。
反撃の材料
25日には北京郊外の駅、郎坊で軍用電線が中国側に切断され、修理に向かった日本軍の補修隊が迫撃砲による砲撃を含む激しい攻撃を受けた。ここに到って日本側は先に閣議決定 しながら実施せずにいた派兵を実行することになったのだ。こうした歴史を日本人は余りにも知らない。意識しない。中国の歴史捏造に反論しないのは、そもそも、このような歴史を知らないからだ。
堤氏が語る。「岩波の『近代日本総合年表』は、世界の歴史を1日刻みで輪切りにして書いていますが、僕の手元にある版には通州事件が載ってない。これはおかしいと、岩波に問うたら、通州事件を加える必要を認めない、要は編集権の問題だというのです。ただ、その後に出版されたものには通州事件も入っていた。僕の抗議が功を奏したのかもしれませんね」 中国が歴史を捏造し、日本に酷い非難を浴びせでも、外務省は反撃しない。反撃の材料のひとつである通州事件にも、加藤氏が指摘するように一度も言及していない。学校でも通州事件を含めて歴史そのものを余り教えない。この奇妙な知的無関心の中で、通州事件は、中国の企むように忘れ去られていくのか。断じて、そんなことは許されないだろう。 私たちはもっと先人たちの思いや 体験に心を致すべきだ。日本を作ってきた先人たちの努力や誠実さを知るべきだ。日本人の歩みを知らない ことによって歴史の真実から遠ざかり、日本悪玉論を軸とする中国の歴史の見方に自ら転げ落ちてはなるまい。加藤氏の『慟哭の通州』と藤岡氏の『通州事件』を、日本人なら、いまこそ読むように強く勧めたい。

櫻井よしこ 20161117日号週刊新潮

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都政を食い物にした石原慎太郎氏 都知事時代の“黒歴史”
[Monday,October10,2016]

豊洲市場の「盛り土」をめぐり、「調査に協力したい」と口にしていたくせに、一転してヒアリングを拒否した石原慎太郎氏(84)。さすがに小池百合子都知事(64)も「あら、そうですか」と言うわけにいかず、質問書を送り付けている。さんざん都政を私物化し、食い物にしておきながら逃げ切ろうなんて許されるはずがない。慎太郎氏は知事時代、巨額の税金を浪費していたのだ。
 そもそも、舛添前知事時代に大問題になった海外豪華出張の先鞭をつけたのも石原氏だ。任期13年中、海外出張に出かけたのは34回、計201日に上る。都庁には週2、3回しか顔を出さなかったのに、外遊は4カ月に1回のペースだった(別表参照)。最高額は12人で連れ立った11泊12日のベルリン、ワルシャワ、クラクフ周遊。約4811万円も費やしていた。詳細が判明している30回分の平均は1681万8636円、計約5億455万円に達した。
 ツルの一声で2001年に始めたトーキョーワンダーサイト(TWS)では、芸術家として目立った受賞歴もない四男を「余人をもって替えがたい」と重用。外部役員を務めさせ、都の予算を注ぎ込んだ。初年度は約5600万円だったのが、5年後には8倍近い約4億4209万円に膨れ上がった。身内を優遇する事業に約7億2200万円も突っ込んでいたのだから、開いた口が塞がらない。
 猛反対を押し切って設立した「新銀行東京」はすぐに傾いて出資金1000億円がパー。追加で500億円も血税を回すハメになった。
 豊洲市場の移転も、盛り土問題も、石原時代に決まったことだ。知っていることは洗いざらい話すのが筋だろう。

【日刊ゲンダイ2016年10月9日】

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「日本人は教養不足」「習近平を見習え」鳩山由紀夫訪韓妄言録
[Thursday,January14,2016]

「学生を中心に、学者や一般市民も来ていました。鳩山氏は、韓国では“良心派” として人気が高い。2、3百人が入る大講堂は満席でした」(現地記者)
日本中の度肝を抜いた“土下座外交”から3ケ月鳩山首相元首相(68)が、また韓国を訪れた。
3年半ぶりの日韓首脳会談直後の11月5日、鳩山氏が講義を行ったのは名門・ソウル大学。
「テーマは『日韓国交正常化50年に日韓関係を再び見つめなおす』でしたが、依頼した韓国側の思惑通り、内容は安倍政権批判のオンパレード。相変わらずの外交センスの無さを発揮しました」(同前)
冒頭、これまでに天皇陛下が韓国の歴代大統領に話された内容を紹介。
94年の晩餐会で、陛下が金泳三大統領に「過去の歴史に対する深い反省の上に立って」と謝罪したことに触れると、暴走が始まった。翌年の村山談話について、「天皇陛下の気持ち更に具体的に表現して、日本の進むべき道を示したものとして評価をすべき」と、勝手に天皇陛下のお気持ちを代弁。
一方、8月に発表された安倍談話については、「侵略の過去をお詫びする形にはなっていない」「安倍首相は自らを愛国者とはき違えているのでしょうが、自信のなさの裏返し」仕舞には「このような内容になってしまったことを申し訳なく思う」と、得意の謝罪外交を展開した。さらには中国脅威論を煽る安倍首相に対して、中国の習近平主席は30万人の丙両区削減を表明したとして、「(習氏を)見習うべきではないかと、提言。まさか中国の二枚舌外交を見習うべきということでもあるまい。
8月には、ソウルの西大門刑務所跡地で慰霊碑にひざまずいて謝罪した鳩山氏。
当時、国内で、“土下座外交”と批判されたのを意識したのか、
「政治エリート層に反知性主義が蔓延している.反知性主義と戦うために、日本人一人ひとりの教養を高めることが求められている」と、日本人批判も忘れなかった。
そのほか、TPP批判や自身が提唱する「東アジア共同体」の必要性など、70分に渡って熱弁。韓国メディアは多数取材に来ていたという。
「土下座外交は安倍談話の直前、今回は日韓首脳会談の直後。韓国にとって、鳩山さんは便利な存在になっています」(政治部デスク)
鳩山氏周辺が語る。「8月に帰国した後『土下座はまずいんじゃないですか』というと『あれは、作法だから』と悪びれた様子は一切なかった。鳩山さんはいい人。今も彼を人間的に慕う人は多いですが、政治的には誰も何も言えない状況です」
今回の発言を報じた新聞は産経のみ。もはや各紙「発言内容のメモさえ回らない」(政治部記者)状況で、外務省も完全無視の方針だという。韓国での発言の真意を聞こうと鳩山氏に電話すると、「ちゃんと正確な記事を書いて頂けるならいいですけど、また批判的な話にもっていかれるんじゃないかと思うmpのですから。私が直接応じると問題になりますので、事務所に連絡してください」
外交にもこれくらい慎重になった方がいいのでは?

【週刊文春平成27年11月19日号】

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これが本当の「土下座外交」
[Wednesday,November18,2015]

2010年の首相退陣後、尖閣問題やクリミア併合などにおいて独自の“暴走外交”を繰り返してきた鳩山由紀夫氏(68)。今度の舞台は韓国だった。
8月12日、日本の植民地時代に独立運動家を収監したソウル・西大門刑務所の跡地。鳩山氏は追悼碑の前でひざまずき、、恭しく頭を下げて謝罪に意を示した。その格好はまさに土下座そのもの。終戦記念日を目前にしての身勝手な振る舞いに日本中から非難の声が上がった。
しかし、当の本人はどこ吹く風。「(お詫びの)表現は、傷ついた国々の国民が『やめてもよい』と言う時期が来るまで続けなければ」と語る始末なのだ。
京都大学名誉教授の中西輝政氏が痛烈に批判する。
「日本人なら鳩山さんがネジの外れた人間だとわかっていますが、諸外国から見たら元首相。行動を慎むべきです。タイミングや場所から、政治的意図が感じられるし、実際に韓国も報道で利用している。明確に国益を損なっています。日本にはない法律ですが、他国なら「国家反逆罪」にあたるレベルです」
“宇宙人”と呼ばれるだけあって日本語の批判は届かぬようだが、せめてテレパシーで国民感情を察していただきたいものだ。

【週刊文春2015年8月27日号】

【追記】民主党政権の3年間が失敗し、国民から手厳しく審判が下されたことの理由として「政権担当能力が欠如していた」という。これを当人風に解釈すれば、曰く、「初めての政権交代で・・・」とか「初めての官邸で官僚らとの折衝に不慣れで・・・」などと抗弁する。が、考えてみれば「初めては」理由にならない。初めてだから、が失敗の言い訳として通用するのは童貞の性交渉だけだ。『<特集>愚者の大行進 古谷経衡』より。

【新潮45 2015年10月号】

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原発交付金、再稼働なくても減額せず・・・政府方針
[Sunday,May5, 2012]

政府は、原子力発電所の立地市町村に支払っている電源立地地域対策交付金を、原発が再稼働しない場合でも減額しない方針を決めた。
同交付金の一部は原発の発電量実績に応じて支払われるため、再稼働できないと大幅な減額になり、立地市町村の財政悪化につながる可能性がある。こうした事態を避けることで、地元に再稼働への理解を得る狙いがあるとみられる。
対象となるのは、同交付金の中の「原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金相当部分」で、原発が発電した量に応じ、その2年後に交付金として支払われる。
ただ、安全上の理由で原発を動かさない場合は、「最大81%分の発電量実績があった」と見なして交付金を支払うとする“みなし規定”がある。政府は、昨年3月の東京電力福島第一原発事故以降の一連の再稼働の遅れは、みなし規定に該当すると判断しており、全国の商業原発50基すべてが対象となる見通しだ。

(5月5日 読売新聞)

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明らかになる「想定外」の虚構
[Thursday,May12, 2011]

歴史の中の災害が現在に繋がるリアリティを持つものだということは、何を意味するのか。それは、「起こりうる可能性があるものは、確率は低くても、現実には必ず起こる」ということだ。地殻変動の規模は何万年というスケールで見ないと正しくとらえられないのだから、地質学の調査データや古文書の記録に凄いもにがあれば、それを重視しなければならない。
だから、災害対策においては、「起こる可能性があるものは必ず起こる」という“災害・事故の掟”に対して、真摯に取り組んだかどうかが、問われるべき命題となるのだ。
だが、この命題は、日本の行政や企業や技術者の世界では、タブーと言ってよいほど、無視されてきた。そんな発想を持ち出したら、「おまえ馬鹿か。そんな可能性まで考えたら、いくら予算があっても足りないよ」と言われてしまう。つまり、起こる可能性がある事態の中で、確率の低いものについては除外して、経済的に対応可能なところの上限で線引きをして、それを最大の地震・津波としてしまう。そして、万一それを上回る地震・津波が発生した時には、「想定外」という一言で弁明する。これが、日本の行政、産業界、大半の技術者の長年にわたる思考の枠組み(パラダイム)だったのだ。
実際、東電の清水正孝社長は、地震の2日後の3月13日夜の記者会見で、「想定を大きく超える津波だった」と語った。
一体、「想定外」とは、何なのか。議論を進めるために、「想定外」のケースを分類しておく。
A本当に想定できなかったケース。
Bある程度想定できたが、データが不確かだったり、確率が低いと見られたりしたために、除外されたケース。
C発生が予想されたが、その事態に対する対策に本気で取り組むと、設計が大がかりになり投資額が巨大になるので、そんなことは当面起こらないだろうと楽観論を掲げて、想定の上限を線引きしてしまったケース。
この「想定外」の虚構については、メディアも3月下旬になって、福島第一原発の事態が深刻化する中で、追いかけ始めた。新聞紙上から根拠の明確な情報ピックアップしておこう。
【大津波の規模について】
ー略ー(朝日新聞3月25日、毎日新聞3月27日)記事内容
【原発の安全設計について】
▼2006年衆議院内閣委員会で、吉井英勝委員(共産)が、原発で非常用電源が失われたときにどういう事態になるかを質問したのに対し、当時の原子力安全委員長の鈴木篤之氏は、「日本の(原発の)場合は同じ敷地に複数のプラントがあることが多いので、他のプラントと融通するなど、多角的な対応を事業者に求めている」と答えて、安全性が確保されていることを強調した。
▼2007年2月中部電力の浜岡原発をめぐる訴訟で、東大教授だった斑目春樹氏(現原子炉宇安全委員長)は、中電側の証人と出廷し、原発用の非常電源がすべてダウンした場合の想定の有無を原告側から問われて、こう証言した。
「非常用ディーゼル2個の破断も考えましょう、こう考えましょうと言っていると、設計ができなくなっちゃうんですよ」「ちょっと可能性がある、そういうものを全部組み合わせていったら、ものなんて絶対つくれません。」(前項とも朝日新聞3月26日)
これは、いろいろな可能性を「想定外」のほうに押し込む線引きの発想の典型的な例で、ケースCに該当すると言えるだろう。斑目氏は、大震災後の3月22日の参議院予算委員会で、「割り切り方が正しくなかった」と言って、前期の法廷での証言を訂正した。
さらに、翌3月23日の記者会見では、「(原発の状態は)想像よりもどんどん先にいっちゃっている」と語った。
斑目氏のこの前言訂正は、原発を造る専門家だからといって・災害・事故の専門家ではないことを、はからずも露呈したものと言えるだろう。しかし、「想定外」の線引きは、そういう造る側の専門家と行政によって強行されてしまうのだ。その結果、どうなったか。福島第一原発の津波想定値は、最大で5・7メートルだったのに対し、今回の大津波は推定で3倍近い14メートルにもなり、防波堤を一気に超えて、敷地内の配管などの設備を目茶々々に破壊したのだ。

(文芸春秋5月特別号、柳田邦男『「想定外」か?─問われる日本人の想像力』より。太字表示は引用者による)

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「新・東京裁判」再読(阿川弘之)
[Thursday,April9, 2009]

本誌(2008年10月、文藝春秋)の「新・東京裁判」は中々読み応へある座談会であった。・・・その中から防衛大学校教授戸部良一氏の発言を一部引用する。
「私が東京裁判について感じるのは『負けたらこうした仕打ちを受けるのだ』ということです。当たり前のことですが、やはり負けてはいけないし、負けるような戦争をしてはならない」
まさに仰せの通り。それじゃ日本は、いつ何処で「負けるような戦争を始め」る方向へ踏み込んで行ったのか、振り返ってみれば結局、満州事変がそもそもの発端といふことになるだろう。・・・・事変は昭和6年の9月に起った。・・・その影響は21世紀のこんにちにまで及んでゐる。「あの鉄路爆破爆破こそ現場の暴走、下克上の最たるもの」と、半藤老探偵(半藤一利)が史実に基づいて指弾するのに対し、戸部教授は謀略に関与した主要人物の実名を挙げる。関東軍参謀石原莞爾中佐と石原の上司板垣征四郎大佐、彼らの企図をあらかじめ察知し得たはずなのに敢えて制止しようとしなかった関東軍指令官本庄繁中将、その要請に応じて、天皇の御裁可を得ないまま兵を満州領内へ進め、「越境将軍」ともてはやされた朝鮮軍指令官林銑十郎大将、以上4名。
「これは大元帥である天皇に対する命令違反にほかなりません。林も石原も、本来なら陸軍刑法で処罰されてしかるべきでした。これが処罰されないどころか、喝采と栄誉をもって受け入れられた(語句の一部省略)」
謀略で始まったくさの後始末が不適切で、罰すべき人物をきちんと罰しなかった結果は、国家のことなど二の次、支那事変の泥沼化から対米開戦、ミッドウェイ以後の敗戦に次ぐ敗戦、ソ聯の裏切りによる満州の惨状に至るまで13,4年間、国民に災厄を与へ続けるのです。
今年は極東軍事裁判の判決が出てから丁度60年、・・・・・それに気づいて私は2ケ月前の「文藝春秋」を取り出し、「新・東京裁判」を読み直しにかかったのだが自分流にあれこれ考へながら座談会記事を再読してゐるうち、・・・別の話が一つ頭に浮かんで来た。勝海舟晩年の片言隻語である。うろ覚えなので、巌本善治編「新訂海舟座談」(岩波文庫)を操ってみたら、勝が、「ナニ、忠義の士というものがあって、国をつぶすのだ」と言ひ、「国というものは、けっして人が取はしない。内からつぶして、西洋人に遣るのだ」と言ってゐた。
私は東京裁判を「復讐の儀式」と規定する半藤利一説に大賛成で、あれを国際正義の顕現、原告は文明などと肯定的に見る気は全く持ち合せない。しかし、市谷の法廷で裁かれたA級被告の中に、日本の国を内からつぶしてアメリカに渡してしまった「忠義の士」がかなり大勢混ってゐるのも亦否定しがたい事実であろう。その戦時中の言動を回顧すれば、彼らを今、復讐劇の犠牲者としてのみ遇することにはためらひを覚える。
偶々「海舟座談」を思ひ出したのがきっかけで、私はそんな風に考えた。まとまった所見ではないけれど、あの戦争とあの裁判とを私なりに考え改めてみることが出来て、それだけでも「新・東京裁判」再読の意義はあった。これを企画した編集スタッフと、半藤戸部両氏含めて6人の出席者に、おくればせながら謝意を表したい。

(文藝春秋、2008年12月号、「葭の髄から・140」より)

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公明党よ、権力に味をしめたのか
[Sunday,August19, 2007]

今度の参院選で公明党は5つの選挙区で候補者を立て、愛知、神奈川、埼玉の3つの選挙区では得票数こそ過去の実績を上回ったものの、議席を失いました。・・(中略)・・・投票率が高くなると勝てない公明党の限界が見えたと思います。・・(中略)・・公明党が自民党と連立を組むことになったとき、創価学会の秋谷栄之助会長(当時)は学会の機関紙・聖教新聞の中で、「自民党が暴走しないように、自民党を指導しに行く」旨を表明しました。・・(中略)・・その後の公明党は、自民党の暴走を止めるブレーキの役割を果たしてはいません。
それどころか、安倍首相が有権者の声に耳を傾けようとせず、ワガママで政権にしがみつくことを表明するや、公明党は早々とそれに乗っかり、支持を表明してしまった。・・(中略)・・
いまの安倍自民党の本質は、「明治憲法への回帰」にあります。顔立ちのソフトな印象とは裏腹に、安倍首相は極めて先鋭的な全体主義と軍国主義を露骨に押し出してきています。
全体主義とは愛国心を法的義務として教育基本法や新憲法草案に盛り込むなどの姿勢に代表されます。右向け右で国民の良心を縛り、まるで北朝鮮のような体制をつくろうとしている。また、解釈改憲で集団的自衛権の行使を容認し、アメリカの求めに応じて自衛隊の海外派兵へ道を開こうとする姿勢は、アメリカの「2軍」として自衛隊が海外で活動することにつながりかねない。
こうした安倍自民党の極端な「全体主義」と「軍国主義」を、本来ならば「人権」と「平和」を掲げる公明党が止めなければいけないのに、止めようとしないのはなぜなのか。公明党は権力の味を覚えてしまったのではないか。・・(中略)・・
宗教家には「殉教」という言葉があります。日本の政党の中で唯一、己が正しいと信じる主義のために「殉教」できる政党です。それが福祉予算という利権を与えられてか、自民党という強大な権力の前に、いやにおとなしいのはどうしたことでしょう。・・(中略)・・
創価学会の幹部や最前線の人たちに私の疑問を率直にぶつけると、みんないまの路線に疑問を感じてはいるんです。けれども、車は急には止まらなかった。その車が今回、惨敗という衝撃でぶつかって止まった。
今こそ公明党が、人権と平和という立党の原点に立ち返るときではないか。

(8月17日週刊朝日、「公明党よ、権力に味をしめたのか」より)

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原爆投下「しょうがない」久間発言
[Monday,July2, 2007]

久間防衛相が30日、米国の原爆投下に関し「しょうがない」と発言したことに対し、広島県被団協(坪井直理事長)の畠山裕子事務局次長(68)は「原爆で亡くなった人々は仕方なく死んだのか。被爆者の気持ちが日本政府に伝わっていなかったと思うと、悲しくて言葉が出ない」と述べた。
こうした声を受けて社民党の福島党首は久間防衛相の辞任を求める談話を発表した。
民主党の菅代表代行も島根県出雲市で、国民新党の亀井久興幹事長と共に記者会見し、「防衛相として全くふさわしくない」と述べた。
これに対し、自民党の中川幹事長は遊説先の奈良市内などで、記者団に、「原爆投下とソ連参戦の関係などは、歴史観の問題で、一個人の意見だ。久間氏も(補足の)コメントをしたようなので、これで誤解が解けると思う」と述べた。

(2007年7月1日 読売新聞)

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「従軍慰安婦」を米誌に‘広報した’安倍政権広報マン
[Thursday,May3, 2007]

従軍慰安婦問題で安倍首相への批判が世界に広がっている。・・・・・それにしてもなぜ今従軍慰安婦問題米マスコミで大きく取り上げられるのか。実は火付け役がいる。安倍首相の広報担当補佐官、世耕弘成氏だ。世耕氏が訪米したのは2月19日。米下院で提案されている「従軍慰安婦に関する対日謝罪決議案」について、「安倍首相の真意を説明に行く」と官邸関係者に大見得を切って出発した。しかし、「世耕氏の行動はピントはずれ」下院は祝日のため1週間休会、議員たちは地元に戻っていた。それを知っていて、世耕氏は訪米したのです。結局、ファーストクラスでの訪米で官費を200万円以上浪費しながら、一人の議員にも会えなかった」(官邸関係者)
何とか会えたのが、国務省のスティーブンス次官補代理。ヒル次官補の部下だ。「こんな下のランクの役人にわざわざ会いに来る国会議員なんていません。しかも、スティーブンス氏は慰安婦問題自体を知らなかった。それで、逆に『大変な問題だ』と思われてしまうのです」(同前)
さらに世耕氏の行動は裏目に出る。彼は騒ぎの発端となったニューヨーク・タイムズをはじめ三大TVネットワークなど大手マスコミをまわったのだ。在米記者の話。
「慰安婦問題は下院で何度も提案されている人権問題のひとつにすぎず、誰も関心がなかった。それをわざわざ首相補佐官が各マスコミをまわるものだから、寝た子を起こしたのです。そもそも法的拘束力のない決議案なので放っておけばよかったんです」
帰国後、世耕氏は安倍首相に「トータルで60人に会いました」と報告。しかし、説得すべき議員には一人も会わなかったことはひた隠し。最近は記者たちに、「訪米中、慰安婦の問題は一切話してない」とウソをついている。
官邸記者が嘆く。「補佐官を5人も起用したものの、みんな仕事がない。だからこんな事態が起きる」「広報のプロ」を自任する世耕氏の真価が問われる。

(週刊文春、3月22日号「THIS WEEK」より)

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